『スガラムルディの魔女』公開記念! アレックス・デ・ラ・イグレシア監督&カロリーナ・バングさんトークショー

  • 2014年10月24日更新

ペドロ・アルモドバル監督やクエンティン・タランティーノ監督といった名だたる個性派監督に才能を絶賛され、2010年には『気狂いピエロの決闘』でヴェネチア国際映画祭の銀獅子賞と脚本賞を受賞したスペイン映画界の鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシア監督と妻で女優のカロリーナ・バングさんが、新作映画『スガラムルディの魔女』のPRのために来日。2014年10月14日には、東京・六本木のYouTube Space Tokyoで行われたトークショーに登壇した。ウィットに富んだアグレシア監督の受け答えに会場に集まった多くのファンは大興奮。トークショー終了後は、2人を囲んでのパーティーも催され、終始にぎやかなイベントとなった。

女性は悪意に満ちた存在、男性はバカ。悪いとバカを比べれば、悪い方がはるかに良い

― 本作のあらすじを、監督ご自身から簡単にご紹介ください。

アレックス・デ・ラ・イグレシア監督(以下、イグレシア監督):この作品は、女性との悲しい過去を持つ3人のダメ男たちが繰り広げるコメディ。ある日、強盗をはたらいて警察から逃れるためにスガラムルディという魔女の村に足を踏み入れてしまう、悲壮な逃走劇です。主人公は失業中で、離婚した妻に息子の親権を取られた男。強盗を決行する日が息子との面会日と重なってしまったことで子どもも犯罪に巻き込んでしまう。もう一人は夜の営みを強制する妻に耐えきれない夫。あと一人は図らずも彼らの逃走に加担することになるタクシー運転手。彼にとって最も恐ろしいのは、警察に追われることよりも帰宅が遅くなって妻に怒られることなのです。

― 本作では「女性」を1つのキーワードにしています。その理由をお聞かせください。

イグレシア監督:わたしはフェミニストです。女性というのは悪意に満ちた存在だと思っていますが、男性はバカ。悪いとバカを比べれば、悪いの方がはるかに良い。女性は男性のあばら骨の1本ではないことを強調したかったのです。

― コメディ的な要素と緊張感が共存するシーンや、シュールなシーンが印象的です。

イグレシア監督:2つの要素が共存する雰囲気こそ、人生においての楽しいことではないでしょうか。例えば、パーティーで笑うことより、葬式で笑うことのほうが意味がある。わたしにとってシュールなことは人生の一部だと思うのです。わたし自身の話をすると、幼少のころ一緒に暮らしていた祖母がいわゆる常軌を逸した人で、来客中に暴れ回り家族みんなで取り押さえ付けたことがありました。もちろん、その時は大変でしたけど、後になって振り返るととてもおもしろい出来事。自分も含めた誰かが苦悩する場面ほど、おもしろいシーンが生まれるんです。

自分に一番影響を与えているのは、ロクな作品を書かない作家や退屈なプログラムを作るディレクター

― 緊迫した状況にもかかわらず、男たちがカロリーナさん扮する魔女のエバを口説いたり、エバ自身も「わたしと友だち、どっちが大事!?」と主人公に詰め寄ったり。非日常の中に日常的な要素を持ちこむ演出が絶妙です。

カロリーナ・バングさん(以下、カロリーナ):おそらく、すべての女性たちが恋人や夫に一度は言ったことがあるセリフですよね(笑)。女性たちの強さを表すセリフでもあります。

イグレシア監督:わたしは、映画『ハルク』の作品シリーズが好きなのですが、ハルクは変身して体が巨大化する度に服が破れます。いい加減に伸縮性のある素材の服にすれば良いのにと思うんですが、そういう細かなおもしろ味を感じさせる作品を作りたいですね。最近のアメリカのアクション映画などは、アクションのスピードがあまりにも早くておもしろいセリフを言うひますら与えないのが気に入らない。

― おっしゃるように、作品の細部にまでこだわりを感じます。

イグレシア監督:時間をかければ良い作品ができるわけではないと思いますが、自分の作品においては、時間をかけるほど細部にまでこだわった作品にできると思っています。予算やスケジュールの都合で実現は難しいですが、あと1年いただけたらこの作品も今より25パーセントくらいおもしろくなるんじゃないかな(笑)。作品のディテールをほめていただくのはとてもうれしいですが、まだまだやりたいことは10分の1もできていないですね。

― エバのヘアスタイルもすごく個性的ですよね。

カロリーナ:ヘアスタイルはわたしが提案したのですが、監督に言うとすぐに飛びついて。彼に話したのはちょっと失敗でした(笑)。

イグレシア監督:あのヘアスタイルは僕のせいじゃないよ(笑)。

― 現在のイグレシア監督に影響を与えた作品や、人物を教えてください。

イグレシア監督:自分に一番影響を与えているのは、ロクな作品を書かない作家や退屈なプログラムを作るディレクター。死ぬほど退屈な作品を観ることは反面教師となり、常に人を楽しませる作品を作らねばという強迫観念としてわたしをプッシュしてくれます。

最新作『スガラムルディの魔女』、過去作『刺さった男』が同日日本公開。違った味わいの2作品を一緒に楽しもう!

『スガラムルディの魔女』
白昼堂々と強盗計画を実行したホセとその仲間。逃走の末に魔女伝説の地として知られる町、スガラムルディに迷い込み、世にも恐ろしい魔女たちの洗礼を受けることに……。ホセたちは人喰い魔女たちから逃げられるのか――? 笑いと恐怖がてんこ盛りの奇想天外ジェットコースタームービー!
2013年/スペイン/104分/R-15
原題:Las brujas de Zugarramurdi
監督・脚本:アレックス・デ・ラ・イグレシア
出演:ヒューゴ・シルヴァ、マリオ・カサス、カロリーナ・バング、テレール・パベス、カルロス・アレセス、カルメン・マウラ
配給:松竹メディア事業部
©2013 ENRIQUE CEREZO P.C., S.A. – LA FERME PRODUCTIONS ARTE FRANCE CINEMA

 

『刺さった男』
2012年の第9回ラテンビート映画祭で上映され話題をさらった作品。失業中の元宣伝マン、ロベルトはひょんなことから頭に鉄筋が刺さって動けなくなってしまう。しかし、その様子がテレビで放送されると、ロベルトは一夜にして有名人に……。マスコミへの痛烈な皮肉を込めたブラックコメディ!
2012年/スペイン、フランス/93分
原題:LA CHISPA DE LA VIDA
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
脚本:ランディ・フェルドマン
出演:ホセ・モタ、サルマ・ハエック、サンティアゴ・セグーラ、カロリーナ・バング
配給:松竹メディア事業部
© Alfresco Enterprises y Trivision

●『スガラムルディの魔女』『刺さった男』 公式サイト

※2014年11月22日( 土)より《2作品》ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

取材・編集・文:min スチール:hal

  • 2014年10月24日更新

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