第15回東京フィルメックス―映画に刺激される9日間

  • 2014年10月22日更新

11月22日より第15回東京フィルメックスがスタートする。カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭をはじめとする国際映画祭が今後必ずや注目するであろう映画作家を、世界に先駆けて、いち早く紹介し続けてきた映画祭、東京フィルメックス。15回目の今年は『長江哀歌』を始め国際映画祭で高い評価を受けるジャ・ジャンクー監督を審査委員長に迎え各賞が決定される。コンペティション部門9本をはじめ「映画好きを刺激する」25作品がそろい踏み。「ミニシアターに行こう。」流の楽しみ方をご紹介します。(作品画像は『マップ・トゥ・ザ・スターズ』) (C) 2014 Starmaps Productions Inc./Integral Film GmbH

1. 韓国の師弟作品を見比べる
東京フィルメックスでも観客の支持が高いキム・ギドク監督が特別招待作品として登場。一方コンペティション部門には、キム監督の下で映画製作をしていたパク・ジョンボム監督作品が出品されている。一作目の『ムサン日記~白い犬』が東京フィルメックス審査員特別賞受賞のパク監督だけに本作にも期待が高まる。師と弟子、作品に流れる共通点、またそれぞれの監督ならではの個性を見比べてみてはどうだろ
『生きる』 Alive / SANDA
韓国 / 2014 / 177分
監督:パク・ジョンボム(PARK Jungbum)

建設現場での職を失ったジョンチョルは、江原道の味噌工場で働き始める。彼の家族は妹のソユンとその娘のハナ。彼が困窮状態から抜け出すためにできる唯一のことは、工場のオーナーから課せられたノルマを達成することだ。だが、ジョンチョルを始めとする工場労働者たちを待ち受けていたのはあまりにも厳しい現実であった……。『ムサン日記~白い犬』で東京フィルメックス審査員特別賞を受賞したパク・ジョンボム待望の監督第2作は、自らが置かれた境遇から抜け出そうともがく人々をパワフルに描いた作品だ。とりわけ雪に覆われた山村での労働の場面は圧倒的である。前作に続いてパク・ジョンボム自身が主役を演じる。ロカルノ映画祭で上映された。
『ONE ON ONE(原題)』 One on One
韓国 / 2014 / 122分
監督:キム・ギドク(KIM Ki-duk)
配給:キングレコード、太秦
(c) 2014 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.

ある夜、女子高生が男たちに無残にも殺害される。しばらくの後、その事件に関わった一人の男が武装した謎の集団に誘拐される。集団は男を拷問し、自分が起こした事の告白を強要する。やがて7人組のその集団は事件に関わった7人の容疑者たちを次々と誘拐し、拷問してゆく……。奇想天外な設定の中に韓国社会に対する様々な批評を込めたキム・ギドクの最新作。娯楽映画でも幅広く活躍するマ・ドンソク演じるリーダーに率いられた謎の集団が軍隊、警察、清掃員など出てくるたびに異なる制服を着用している点が興味深い。一人8役を演じるキム・ヨンミンの熱演も見どころ。ヴェネチア映画祭「ヴェニス・デイズ」部門のオープニングを飾った。

2. 日本映画の今と60年代を見比べる
中毒性の強い作品を作り続ける映像ユニット「群青いろ」。2012年に東京フィルメックスで学生審査員賞を受賞した、群青いろの高橋泉監督がコンペティションに再び挑む。また特集上映では「破壊と創造の時」と題し1960年代の日本映画を東京フィルメックスがセレクト。高経済成長と学生運動の時代、映画は世界をどう映し出していたのか。大島渚監督の『青春残酷物語』はもちろんのこと、髙橋治監督、森川英太朗監督作品にもぜひチェックを。1960年代と2014年現在。オリンピックを前に盛り上がりながらもさまざまなひずみを抱えながら進む時代。それぞれ時代を映画を通して見比べてみてはどうだろう。

『ダリー・マルサン』 DARI MARUSAN / ダリー・マルサン
日本 / 2014 / 103分
監督:髙橋泉(TAKAHASHI Izumi)
製作:群青いろ 製作協力:カズモ

幸せな日々を送りながらも耳が聞こえないことのハンデから逃れられないペット探偵のダリー。友人に対して自分がとった行為への後悔の念からロッカーに閉じこもり続ける男、善川。ある日、善川はかつて友人から預かり、逃がしてしまったインコの捜索をダリーに依頼する。そして、それまで接点のなかった二人の人生が交錯する……。近年は脚本家としての活動で大きな注目を集める映像ユニット「群青いろ」の髙橋泉が、心の中に葛藤を抱えた者たちの交流の可能性を問う最新作。廣末哲万、並木愛枝、新恵みどりといった「群青いろ」作品常連俳優たちの見事な演技アンサンブルに加え、聾唖者であるダリー役を演じた大下美歩の存在感が強い印象を残す。
『彼女だけが知っている』 Only She Knows
1960年 / 63分
監督:高橋治
出演:小山明子、渡辺文雄、笠智衆、水戸光子
(C) 1960松竹

四日ごとに起きる強姦殺人事件を追う捜査班。だが捜査に加わる刑事の恋人が次の犠牲者になった。かろうじて一命をとりとめた恋人に、刑事は四日後の捜査協力を依頼するのだが……。今年の第71回ヴェネチア映画祭クラシック部門に招待された。初デジタル化。

▼第14回東京フィルメックス概要
期間:2014年11月22日(土) ~ 11月30日(日)  (全9日間)
会場:有楽町朝日ホール(有楽町マリオン) (メイン会場:11/22(土)〜11/30(日))
TOHOシネマズ 日劇 (レイトショー会場:11/22(土)〜11/30(日))
(セミナー会場)三菱地所 レジデンス ラウンジ
(共催企画 Talents Tokyo 2014) 有楽町朝日スクエア (11/24(月)~11/29(土))
(連動企画 特集上映1960-破壊と創造のとき-)ヒューマントラストシネマ有楽町
主催:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
●第15回東京フィルメックス公式サイト

文:白玉

  • 2014年10月22日更新

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