『パークランド-ケネディ暗殺、真実の4日間』〜歴史的事件の裏側で、人生を狂わされた数多の人たち〜

  • 2014年06月27日更新

1963年11月22日、テキサス州ダラスで大統領が三発の銃弾に倒れた。歴代最も愛されたであろうJ・Fケネディ大統領の暗殺。その日から容疑者オズワルドが埋葬されるまでの4日間を“裏側から”描いた真実の物語。大統領を敬愛する市民のひとりはその瞬間を8ミリカメラで撮影していた。受け入れ先の病院ではまだ若い医師が待機していた。捕らえられた容疑者オズワルドには、兄と母がいた。ケネディ暗殺後わずか4日間。その間に判明した事実や余波により起こった事柄は、彼らのその後の人生を変えるにあまりあるものだった。
6月28日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー
© 2013 Exclusive Media Entertainment, LLC


アメリカから最も愛された大統領が凶弾に倒れる。その瞬間から人々の運命の歯車が狂い始めた。
1963年11月22日、テキサス州ダラス。わずかに小雨の降るその日、アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディの訪れを歓迎する人々で、街は熱気を帯びていた。8ミリカメラ愛好家である生地店のオーナー、ザプルーター(ポール・ジアマッティ)は大統領夫妻のパレードを撮影しようと、意気込んでカメラを構えていた。やがて夫妻を乗せたリンカーン・コンチネンタルがザプルーターの視界に入った瞬間、乾いた銃声が三つ響く。大統領の頭部は血に染まり大惨事で人々はパニックに陥いる。大統領はパークランドメモリアル病院に搬送された。若き医師チャールズ(ザック・エフロン)、ベテラン看護師ドリス(マーシャ・ゲイ・ハーデン)らは必死に救命措置を施すが、その甲斐なく大統領は死亡。シークレットサービスの面々は、深い喪失感に襲われ動揺しながらも、新たな任務に奔走しなければならなかった。やがて容疑者オズワルト(ジェレミー・ストロング)逮捕のニュースに、FBIは震撼する。オズワルトは以前から別件でFBIを脅迫し、よりによってFBIがマークしていた人物だったからだ。一方、オズワルトの兄、ロバートも弟の逮捕をニュースで知り、ダラス市警に向かうのだった…。


現場に巻き込まれていく感覚。観客はあの瞬間に立ち会い、今まで知らなかった裏側を体験する。
あのケネディ大統領とジャッキーが自分たちの街にやってくる。「一目見たい、素敵な人たちだから!」登場人物たちは、明るく平和な高揚感で私たち観客を包み込み、ごく自然に1963年晩秋へと誘う。実際大統領はダラスに降り立ち1時間とたたぬうちに銃弾に倒れたというが、その感覚を体現するように、作品が始まるとすぐに“その瞬間”を迎える。パン、パン、パン、という乾いた銃声がリアルで不気味だ。恐らく当時その場に居合わせた多くの観衆が「何が起こった?」とキョトンとしたのではないだろうか。やがて違和感が忍び込む。理解、おびただしい血。「犯人はどこだ?」こみあがる恐怖、パニック。そこからはリアルな緊迫感とスピード感にとって変わる。そのころ病院では「VIP患者が来るらしい」まだ軽口も飛び交っている。若き医師は「重傷の大統領が搬送されてくる」という情報を実感する間もなく、見るからに絶望的な状態である血だらけのVIP患者の姿を目の当たりにする…。こうやって、この作品は観る者を巻き込み、ぐいぐいと内側に入り込んでくる。まるで関係者として、そこに立ち会っているような感覚に陥っていく。搬送先の医師、パレード撮影のフィルム提供を求められる一般市民、一夜にして犯罪者の身内となったオズワルト一家、暗殺を阻止できなかったシークレットサービス、マークしていた男が犯人だったFBI……。観客はあらゆる立場から、この歴史的暗殺事件を体験することになる。


多くの人々の人生がすっかり変わってしまう、わずか4日間の出来事。
J・F・ケネディ暗殺から50年が経った。当時は¬様々な理由や立場により、多くの人が真実を語ることなく、口を固く閉ざしたという。ケネディ大統領の暗殺は幾度もメディアに取り上げられてきた歴史的事件だが、本作では「今だから集められる証言」を掘り起こし、徹底的なリサーチをもとに、新たな切り口から作品を練り上げている。しかしながら、この作品で描かれているのは、わずか4日間。ケネディ大統領の暗殺の日から、容疑者オズワルトの埋葬までだ。この4日間が、登場人物(実際に事件に巻き込まれた人々)たちにとって、どれだけ濃厚で重要な日々であっただろうか。作品の最後には50年経った今、彼らがどうなったのかも紹介されている。それはこの4日間を体験することがなければ、全く違った人生を歩んだかもしれない人たちの、あまりに重い「今」なのである。



▼『パークランド−ケネディ暗殺、真実の4日間』作品・公開情報
監督・脚本:ピーター・ランデズマン
製作:トム・ハンクス/ゲイリー・ゴーツマン/ビル・パクストン/ナイジェル・シンクレア
原作:ビンセント・ブリオシ
出演: ザック・エフロン/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ビリー・ボブ・ソーントン/ジャッキー・ウィーバー/ポール・ジアマッティ/ジェームズ・バッジ・デール/ジェレミー・ストロング ほか
原題:Parkland
(2013 年/ アメリカ / 英語 /93分/カラー/アメリカンビスタ)
配給:ファントム・フィルム
●『パークランド-ケネディ暗殺、真実の4日間』』公式サイト
6月28日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー
© 2013 Exclusive Media Entertainment, LLC

文:市川はるひ

  • 2014年06月27日更新

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