中国インディペンデント映画祭2013-「世界に向けて描かれるべき」中国映画をチェックしよう

  • 2013年11月30日更新

11月30日よりオーディトリウム渋谷で『中国インディペンデント映画祭2013』が開催。四回目を迎える今年はフィクション6本、ドキュメンタリー3本のほか特集上映を含む14本を一挙上映。中国のインディペンデント映画は劇場公開の映画とは異なり、検閲がないため、政府による表現の制約を受けない。今回の映画祭では検閲に通らない同性愛をテーマにした作品や中国と北朝鮮との国境の町を描く作品など、劇場公開では見ることのできない けれど「世界に向けて描かれるべき」作品揃い。インディペンデント映画にしか描けない生々しい“中国の今”をチェックしよう。会期中には張律監督を始め多くの監督によるQ&Aも予定され、映画作家達が世界に発信したい中国を直接聞くことができる。 今回は「ミニシアターに行こう。」の注目作品をご紹介します。




フィクション部門
白鶴に乗って
2012年/99分
監督:李睿珺(リー・ルイジン)

中国西部の農村で暮らす大工の馬さんは、棺桶作りの名人でもある。政府が土葬を禁ずるようになった今では、棺桶を注文されることもめっきり減ったが、多くの老人たちは依然として土葬を望んでいる。彼の親友は死後密かに土葬されたが、役人にバレて掘り返されてしまう。それを目の当たりにした馬さんが下した決心とは…。蘇童の小説を、若手監督として注目されている李睿珺が自分の故郷に舞台を移して映画化。甘粛の美しい風景も魅力的。ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門参加作品。
李睿珺監督がQ&Aに登壇します。



ドキュメンタリー部門
マダム
2010年/120分
監督:邱炯炯(チュウ・ジョンジョン)

服飾デザイナーをする傍ら、派手な女装をし、マダム・ビランダと名乗ってステージに立つクラブ歌手。同性愛者がまだまだ生きづらい中国にあって、ゲイである彼がここに至るまでには様々な苦労があった。赤裸々に語られるインタビュー映像と、クロスして流れる彼のステージシーンが、ときに笑わせ、ときに涙を誘う。画家としても活躍する邱炯炯監督によるドキュメンタリー。撮影後、この歌手は亡くなってしまったため、彼のステージが見られる貴重な映画となってしまった。
邱炯炯監督がQ&Aに登壇します。



チャン・リュル(張律)監督特集
豆満江
2010年/90分
監督:張律(チャン・リュル)

中国と北朝鮮の国境を流れる豆満江(とまんこう)沿いの、中国側の村で暮らすチャンホは、北朝鮮からやってきた少年・ジョンジンと知り合う。ジョンジンは病気の妹のために食べ物を探そうと、危険を犯してやって来たのだった。チャンホは彼を助け、二人の間には友情が芽生える。だが、次第に増えてくる脱北者のせいで村の治安は悪化。二人の関係も険悪になってくる。実際に豆満江沿いの村で育った朝鮮族の張律監督だからこそ作れた作品。ベルリン映画祭ジェネレーション部門受賞作。
張律監督がQ&Aに登壇します。




▼中国インディペンデント映画祭2013開催概要
開催日程: 2013年11月30日(土)~12月13日(金)の14日間
会場: オーディトリウム渋谷
主催:中国インディペンデント映画祭実行委員会
●中国インディペンデント映画祭2013公式サイト

文:白玉

  • 2013年11月30日更新

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