『僕が星になるまえに』-友情が叶えた青年の人生最後の願い。カンバーバッチ初主演作。

  • 2013年10月26日更新

あらゆる命はいつかその時を迎える。ジェームズは29歳、末期がん患者。普通なら「死はまだ先のこと」「別の世界の話」だと感じる年代だ。だが、彼のように、思いもかけない出来事にその考えが打ち砕かれることもある。自分の余命を知ったジェームズは、友人たちと旅に出て生と死に真っ向から向き合おうとする。BBCのTVシリーズ『SHERLOCK/シャーロック』で大ブレイクしたベネディクト・カンバーバッチ初主演作。



病を押してまで出かけた旅の真の目的とは
29歳の誕生日を迎えたばかりのジェームズ。だが彼の身体は末期がんに侵され、これが最後の誕生日になるということは、自分にも周囲にも分かっていた。彼は最後の夢を叶えるために、親友のデイヴィー、ビル、マイルズの3人を誘って“世界で一番好きな場所”、ウェールズのパラファンドル湾にキャンプ旅行に出る。体力のないジェームズをカートに乗せた旅は思いのほか過酷で、さまざまなトラブルに見舞われ、口論も絶えなくなる。そして、目的地までもう少しというところでジェームズの病状が悪化。激痛を耐え抜き、ようやく辿り着いた目的の場所で、ジェームズはこの旅の本当の目的を皆に告白する。



願いを叶えてくれた厚い友情
旅の舞台となるのは、美しいが、どこか寂寥感漂うウェールズ。そのウェールズの旅を手助けするジェームズの友人たちは、彼の前でも死に関して率直に口に出す。美談になりがちな友情がリアルに描かれるが、ジェームズに対する温かさは変わらない。こうした友人に囲まれた彼は、病気にすべてを奪われたわけではないのかもしれない。これは、ベネディクト・カンバーバッチが『SHERLOCK/シャーロック』でブレイクする前の作品だが、当然ながら変人で頭脳明晰のシャーロック・ホームズの片鱗はなく、死に対して時に達観したり時に怯えたりする繊細な青年を好演している。



今この瞬間を思う存分生きる
体力が次第になくなっていく中、必死に前に進み、生きることを実感するジェームズの姿には鬼気迫るものがある。旅の途中、彼は友人たちの生き方に容赦のない批判を投げかけるが、それは未来を持つ彼らが漠然と時を過ごす姿がもどかしく、また悔いのない人生を生きてほしいという気持ちの表れだろう。今生きているこの瞬間を思う存分生きる大切さや、自分自身のエンディングにどう向き合うかということも、否応なく考えさせられる。ジェームズの生き様は、彼の友人たちと同様、“生”がこれからも続くと感じ、無意味に時間を浪費する人々に衝撃を与えるはずだ。



▼『僕が星になるまえに』作品・公開情報
2010年/イギリス/93分
原題:Third Star
監督:ハッティ・ダルトン
脚本:ヴォーン・シヴェル
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、JJ・フィールド、トム・バーク、アダム・ロバートソン
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
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10月26日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
『僕が星になるまえに』公式サイト

  • 2013年10月26日更新

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