『建築学概論』-再会で蘇る過去の甘く切ない想い。15年前の初恋の結末は?

  • 2013年05月17日更新

韓国で恋愛映画初の400万人超が見た大ヒット作。特に男性の人気が高く、2012年の韓国映画振興委員会主催のイベントで、「もう一度見たい映画No.1」に選ばれたという。誰もが経験する“初恋”をテーマに、15年ぶりに再会した1組の男女の心の揺れが描かれる本作。甘すぎず辛すぎず、ファンタジーのようであり現実的でもある、美しく透明感のあるラブストーリーだ。




初恋の人との再会に時間が巻き戻される
スンミンはソウルにある大学の建築学科の1年生。ある日、“建築学概論”の授業で音楽学科のソヨンという魅力的な女子学生に出会い、一目惚れをする。徐々に親密になっていく2人だが、奥手の彼はなかなか告白できず、やがて小さな誤解から疎遠になってしまう。
それから15年。建築士となったスンミンのもとに突然ソヨンが現われ、「家を建ててほしい」と依頼する。家の建築が進むにつれ、15年前の記憶が蘇り、2人の間に温かい感情が湧きあがる。だが、スンミンは同僚と婚約中だった……。

単なる夢物語ではない
想いを過去に残しておくと、今の人生に迷いが生じた時、ふとそれを思い出すことがある。「甘くて切ない」という形容詞がぴったりの“初恋”もそのひとつだろう。だが、この作品は、“初恋の人との再会”というロマンチックなストーリーを単にノスタルジックに描いたものではない。15年後の2人が直面する現実-責任ある立場、順調とはいえない私生活、老いた親との生活、人生の選択など-もしっかり見つめている。
スンミンとソヨン役は、それぞれ2人の異なる俳優(大学時代をイ・ジェフンとスジ、15年後をオム・テウンとハン・ガイン)たちが演じており、現在と過去を交錯させながら物語は進む。学生時代シャイだったスンミンは、責任感と包容力のある大人の魅力を持つ男性に、スンミンを振り回していたキュートなソヨンは、どこか寂しそうで憂いのある美しい女性となる。初めに覚えたダブルキャストの違和感が払拭され、空白の時間を超え過去と現在の2人が徐々に重なり合っていくのは、演技力や作品構成だけでなく、スンミンとソヨンの距離感がずっと変わらないという印象を受けるからだろう。

前に進むために必要な再会
この作品には、CDウォークマンやポケベル、当時のヒット曲など、90年代を彷彿させるアイテムが満載だ。また、建築士だったイ・ヨンジュ監督が特にこだわったものは、もう1つのテーマでもある“家”である。“家を選ぶこと”と“人生を選ぶこと”との関係が、彼らが大学時代に潜り込んだ空き家や実家、スンミンが造るソヨンのチェジュ島の新しい家に象徴されているという。2人がこの家を建てたことは、思い出に縛られず、しっかりと前に目を向けて進むために必要な共同作業だったのかもしれない。

人は“初恋”という言葉に弱い(?)
“初恋”を経験した時代や状況が違っても、どきどきして切ない想いは万国共通のもの。この言葉がキーワードである本作を観て、不器用だけど無邪気でキラキラ輝いていたあの頃が心に蘇り、涙腺が緩んでしまう人も多いのではないだろうか。
『建築学概論』という舌を噛みそうな堅苦しいタイトルが、今は初夏の爽やかな風のように響いてくる。


▼『建築学概論』作品・公開情報
2012年/韓国/117分/
監督:イ・ヨンジュ
製作:シム・ジェミョン
出演:オム・テウン、ハン・ガイン、イ・ジェフン、スジ(Miss A)
提供:ショウゲート/アット エンタテインメント
配給:アット エンタテインメント
宣伝:Lem
5月18日より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
●『建築学概論』公式ホームページ
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  • 2013年05月17日更新

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