『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』ファラー・カーン監督インタビュー-ファラー・カーン監督の振付講座!マサラ上映で踊ってみよう!

  • 2013年04月11日更新

『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』は1970年代と2000年代のボリウッドに生きる人々の恋愛と復讐を描く大河ドラマ。中でも見どころのミュージカルシーンは振付師としても名高いファラー・カーン監督がインド古典舞踊とヒップホップやサルサなどを融合させて作り上げた極上ボリウッドエンターテイメントだ。今回はファラー・カーン監督に主演のシャー・ルク・カーンとの切っても切れない濃密な関係や、31人のスターが集まったお祭り騒ぎの撮影現場についてたっぷりとお話を伺いました。観客が歌ったり踊ったりできるマサラ上映のために監督直伝の振り付け講座も掲載。ぜひチェックを!





輪廻はインドの一つの映画ジャンル。私自身はどこかの宗教に属しているというものではありません。
-監督のご自身の宗教的背景を教えていただけますでしょうか?
私の母親はゾロアスター教、父親がイスラム教、私の夫はヒンズー教を信仰しています。私の子どもはヒンズー教に触れながら、キリスト教についても学んでいます。家族全員、この宗教を強く信仰するというところはなくて、私自身どこかの宗教に属しているというものはありません。


-『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』は輪廻をテーマにしていますが、様々な宗教背景を持つ人々が暮らすインドで『輪廻』はどのように受け入れられていますか?
インド映画の中には十年に一度位、輪廻ものが作られていまして輪廻ものと呼ばれるジャンルがあるため、インドの観客は輪廻ものに慣れています。これまでの輪廻ものにはラブストーリーが多くて、愛し合っていた二人が別々にならなければいけなくなり、生まれ変わってまたストーリーが始まるといった話が多かったのですが、『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』はラブストーリーに見えるけれども、もう一つは前世で満たされなかったものを次の人生で満たしていこうという面がありました。さらに復讐ものという側面が観客にアピールしたのではないかと思います。

シャー・ルク・カーンほどの情熱を注いで仕事をする人はいませんでした。
-シャー・ルク・カーンさんとの信頼関係が厚いと伺いましたが、監督からみたシャー・ルク・カーンとはどのような方でしょうか?
私とシャー・ルク・カーンは相性がいいのではないかと思っています。色々な役者さんを使った方がいいという意見もありますが、私は人と人との相性が重要ではないかと考えています。シャー・ルク・カーンと仕事をすると非常に楽しく仕事ができるし、彼と協力しながらする仕事はうまくいくことが多いですね。色々な役者さんを見てきましたが、シャー・ルク・カーンほどの情熱を注いで仕事をする人はいませんでした。撮影現場に来ると全エネルギーを注いで、周囲にもそのエネルギーを与えながら、全身全霊を捧げて撮影に臨んでくれます。こちらからのきつい要求-ヘリからつながれた状態でアクションをお願いしたり、顔に色を塗って欲しいと言ったり、腹筋を鍛えて欲しいと言っても答えてくれました。完成してギャラをもらったら終わりと言う人もいる中で、映画のプロモーションでもシャー・ルク・カーンのように宣伝に協力してくれる人は他にあまりいません。私自身もシャー・ルク・カーンと同じように映画に臨んでいます。撮影中は100%の力を注いでいるのでうまくいかないことがあったとしても、お互い後悔はありません。シャー・ルク・カーンと私は同じような映画に対する情熱を持っていて、冗談も分かり合えるので、きついことも言い合えるし、同時期に映画業界に入っているので、昔話も出来る仲間です。

31人のスターが出演。「Deewanagi Deewanagi(陶酔感)」の6日間の撮影中はずっとパーティー。
-『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』にはボリウッドの素晴らしい要素がたくさん入っていると思います。その中でもボリウッドで働く人々がいかに映画を愛しているか、映画産業の人々が家族のようにつながっているかという一面がでています。
たくさんのスターが出てくるシーンがあり、31人の俳優さんに出演していただきました。シャー・ルク・カーンに敬意を払って、ギャラを要求することもなく映画に出てくれたのです。「Deewanagi Deewanagi(陶酔感)」というシーンは撮影に6日間かかったのですが、ずっとパーティーをしているような状態でした。普段は忙しいということもあって、役者さん同士が会うということはありませんが皆が楽しんだシーンでした。誰とは言えませんが中にはお互いの関係が良くない役者さん同士というのがいて、二度と撮れないようなシーンが撮れたのでうれしかったです。映画には役者さんだけではなく、監督もたくさん出ていただきました。私の父が映画監督だったということもあり、子どものころから映画業界の華やかな面だけでなく、暗い部分も知っていました。ですが、私が撮ったあのシーンは映画業界のいいものを撮れたのではないかと思っています。

インドのダンスシーンはヒップホップと古典舞踊をバレエ、サルサと言ったものを融合させて成り立つような世界があります。特殊効果よりもダンサーを雇うほうがいい。
-ボリウッドの映画がアメリカに進出して、注目されているのがダンスシーンです。ボリウッドでは多くの人を採用して撮影していたものが技術によって(例えばCGなど)新しいイマジネーションが増えると思うのですが、海外の技術を使って生み出すダンスシーンのアイデアなどはありますか
アメリカ、ロサンジェルスだけでなく、イギリスでもボリウッド映画だけを上映する映画館というのが増えてきており、アメリカ、イギリスが大きな市場になっていることは確かです。MTVインディアが入ってきた時に振付師の多くがMTVの振付を真似しました。振り付けだけでなく、MTV的なカット割りまで真似をしていたのですが、私は編集の面白みがないのであまり好きではありませんでした。インドのダンスシーンの特徴はなんでも実現できるという所にあります。ヒップホップと古典舞踊をバレエ、サルサと言ったものを融合させて成り立つような世界があります。新しいスタイルについてですが、インドではダンサーの人件費が安いので、加工して特殊効果をかけるよりも人を雇った方が安上がりなのです。

ファラー・カーン監督の振付講座!マサラ上映で踊ってみよう!
インドでは映画館で映画を観る際に踊ったり歌ったりしながら楽しみます。『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』でもインド式に踊ったり歌ったり出来るマサラ上映が渋谷シネマライズとシネマート心斎橋で金曜日に開催されているということなので、振付師でもある監督からマサラ上映で踊れる振りを教えていただきました。

まずインドのダンスの基本は腰よ
前と
後ろよ
手の動きは右手を挙げて
左手を挙げて
右、左、右、左と動かすの簡単でしょ?


さあ劇場で踊ってみよう!マサラ上映スケジュールはこちら
★渋谷シネマライズ
4/12(金)、19(金)19:10~
★シネマート心斎橋
4/12(金)19:00~


ミニシア恒例の靴チェック
監督のクロックスのサンダルはインドで購入したもの。










文・編集:白玉 撮影:hal

  • 2013年04月11日更新

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