『メモリーズ・コーナー』-フランス人ジャーナリストが追う「孤独死(KODOKUSHI)」に込められた阪神・淡路大震災死者の思い。

  • 2013年03月03日更新

神戸を訪れたフランス人ジャーナリストのアダ(デボラ・フランソワ)は通訳の岡部(西島秀俊)とともに震災によって住居を失った人々が住む復興住宅を取材する中、うつろな目をした男性、石田(阿部寛)の部屋に迎え入れられる。『地震はどうやって生まれるのか?』と尋ねる石田にアダは強く興味をひかれる。新聞記者だという石田の記事を見つけたアダは “孤独死(KODOKUSHI)”の問題が頭から離れず再び石田の部屋を訪ねていく。熱心に石田を取材するアダに岡部は取材をやめるように忠告するが。※2013年2月23日(土)よりシネマート六本木他、全国順次ロードショー


フランス人ジャーナリストが追う「孤独死(KODOKUSHI)」に込められた震災の死者の思い。
震災の実情を広く海外に知ってもらうため、海外メディアを招聘するプログラムに神戸を訪れたフランス人ジャーナリストのアダ(デボラ・フランソワ)はボランティア通訳の岡部(西島秀俊)とともに震災によって住居を失った人々が住む復興住宅を取材することになる。15年たった今でも震災について口を開こうとする人は少なく、なかなか住民の声を聴くことができない。そんな中、うつろな目をした男性、石田(阿部寛)がアダたちを迎え入れた。ぶっきらぼうに『地震はどうやって生まれるのか知っているか?』と尋ねる石田に、言葉を詰まらせるアダだったが、その切実な問いに石田がなにか伝えたがっているのではないかと強く興味をひかれる。新聞記者だという石田の記事を見つけたアダは記事の中に震災後に家族を失った人々が直面する“孤独死(KODOKUSHI)”の問題が頭から離れず再び石田の部屋を訪ねていく。熱心に石田を取材するアダに岡部は取材をやめるように忠告するが。


神戸の震災「亡くなったもの」の思いの行き先はどこ?
オドレイ・フーシェ監督が描く神戸は“驚きに満ちた”日本の姿だ。公園で日がなおしゃべりをしているおばあちゃんの笑顔、商店街を行きかう自転車、たこ焼きの上を踊るかつお節。日本を訪れる外国人が興奮気味に語る文化や習慣は風変わりでエキゾチックに美しい。その一方で大きなテーマとして監督が描くのは、震災で日本が直面した「孤独死」である。フランス人ジャーナリスト、アダの目にとまったのは新聞記者、石田の「孤独死」に関する記事だ。震災で家族を失い、「亡くなった家族を思う気持ち」を抱えて孤独に過ごす人が、その存在をほとんど知られることなく孤独に人生を終える。「亡霊は信じない」というアダは「残された思い」や「魂」を語る日本人の考え方にとまどいながら、石田への取材を続けていく。石田から語られる生々しい震災の話を聞いた時、アダは家族への目に見えない思いを体感していく。はたして日本人が語る「亡くなったもの」の思いの行き先をアダは辿ることができるのだろうか?


阿部寛、西島秀俊。無敵のキャスティング
フランス人ジャーナリスト、アダに阪神・淡路大震災を語る石田役には阿部寛。日本では知らぬもののいない名優であるがフーシェ監督は是枝裕和監督の『歩いても 歩いても』を観て石田役にぴったりだと夢中になったという。家族人としての阿部寛と震災の苦しみを背負う一人の男としての阿部寛のたたずまいは世界水準。またアダの通訳岡部を演じるのは西島秀俊。石田へのインタビューにのめりこむアダを観て「あなたを守りたい。」と距離を置きながら見守る姿は日本の西島ファンなら必ずチェックしておきたい一本だ。



『メモリーズ・コーナー』作品・上映情報
2011 /日本語・仏語・英語/フランス=カナダ製作/82 分)
原題:MEMORIES CORNER
監督・脚本:オドレイ・フーシェ(初監督作品)
編集:ニコラス・ドメゾン/マキシム・クロード・レキュヤ―
撮影:ニコラス・ゴラン 美術:アンドレ・フォンスニィ 音楽:ザ・べナール・レイクス
出演:デボラ・フランソワ/西島秀俊/阿部寛/ フランソワ・パピニュ/國村隼 /塩見三省/ 倍賞美津子
配給:ディンゴ
提供:メダリオンメディア/アクセスエー
ⓒ NOODLES PRODUCTION, FILM ZINGARO 2 INC., FRANCE 3 CINEMA, 2011
※2013年2月23 日(土)よりシネマート六本木他、全国順次ロードショー

文:白玉

  • 2013年03月03日更新

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