ドキュメンタリー『LIGHT UP NIPPON ~日本を照らした、奇跡の花火~』 ― 坂本龍一氏を迎えてトークイベントを開催。

  • 2012年07月19日更新

 ドキュメンタリー映画『LIGHT UP NIPPON ~日本を照らした、奇跡の花火~』が、2012年7月7日(土)より全国公開されている。7月9日(月)、新宿バルト9で、同作の“主人公”である高田佳岳さんと、テーマ曲を担当した坂本龍一さんによるトークイベントが行われた(左の写真、左が高田さん、右が坂本さん)。

 2011年3月11日、東日本大震災が発生。東北を中心に東日本の太平洋沿岸は津波による甚大な被害を受けた。

 その5ヵ月後の8月11日、岩手、宮城、福島の海沿いの町10箇所で同時開催された花火大会が「LIGHT UP NIPPON」だ。

 このプロジェクトの発起人が、東京に住む会社員の高田さんなのだ。開催に至るまで、「不謹慎」「まだ早い」という反対意見、会場での安全対策など、さまざまな壁にぶつかった。しかし、たった一人から始まった「被災地を花火で明るく照らしたい」という思いが多くの人を動かし、花火大会を実現させた。同作は、その姿を追いかけたドキュメンタリーである。

少しずつアクションを積み重ねて、大きな力に。

坂本龍一さん(以下、坂本) 聞きたいと思っていたんだけど、なぜ花火って思いついたの?

高田佳岳さん(以下、高田) 大学院時代、岩手県大槌町にある研究センターにいたことがあり、そのときにお祭りに連れて行ってもらいました。20代くらいの人たちがそのお祭りに出るために半年前からまじめに練習するような、地元ではとても大切にされているお祭りです。その祭りの最後に花火が上がるんです。でも震災があって、自分になにかできないかと考えていたとき、「今年は祭りもできないし、花火も見られないんだ」と頭に浮かんだんです。

坂本 東北の人にとって、祭りや花火というのは都会の人間が考える以上に大切なものなんだね。作品を見るとき、そのあたりを理解してもらうといいのかもしれないですね。

 本作の劇場公開と同時に、DVD発売およびオンデマンド配信もスタートした。これらの収益の一部が「LIGHT UP NIPPON」に寄付される。この異例の取り組みについて坂本さんは「どんどんやるべき」と語る。

坂本 僕のフィールドで言えば、すでに音楽ビジネス自体が衰退していて、既存の商習慣に拘泥していても先がないことが明らかになっています。新しいやり方に取り組んでいくのは当然ですね。

高田 今後、既存の方法でLIGHT UP NIPPON開催のための寄付や協賛を集めていくのには限界があります。特にこれから(震災の記憶が)どんどん風化していくと、支援も絶対に減っていくと思うんです。でも、こんなふうに普通の生活の中での楽しみがちょっとだけ寄付につながり、それらを少しずつ積み重ねて最終的に大きな力に変えていけたらいいと思っています。

信じることがあれば、勇気を持って飛び込んでいい。

 当初からこのプロジェクトに賛同していた坂本さん。協力するに至った理由について「発想がユニークで、高田君自身もユニークな人だったから」と語る。

坂本 会社勤めなのに仕事を何ヶ月もほったらかして、大丈夫なのかな、と。上司はなんて言ってたの?

高田 よくやったと言っていただいています(笑)

坂本 いい会社ですね。うらやましいというか(笑)

お二方の肩の力の抜けたやり取りに、観客も思わず笑顔になった一瞬だ。

 作中では、東北の人たちの葛藤や、花火を打ち上げることで未来に希望を見出したい、という切実な願いも映し出される。「震災前と同じ状態に戻るのではなく、もっとよくならなくては」という言葉が印象的だ。
「これからの日本にとって大切なアクションとは」という問いに対して、2人は以下のように答えた。

高田 昨年、花火を打ち上げるまで走り続けていく中で感じたのは、自分が思ったこと、信じたことは、しがらみとか難しいことがたくさんある中で多少怪我をするかもしれなくても、勇気をもって飛び込んでやってみてもいいのかな、ということ。
「よくそんなに頑張れるね」とも言われるんですが、自分自身は頑張っているつもりはまったくありません。本当に楽しくて、好きなことだからできる、信じているから進めていけると思っているので。どんなに小さくても、そういうアクションが多くの人の間で連鎖していくと、みんなが前向きになれて、日本中が明るくなるんじゃないかって、生意気ですが思っています。

坂本 国の形って人間で決まる。おもしろい人間がいるかどうかだと思うんです。日本からスティーブ・ジョブズのような人が出てくるのはいつなのかわかりませんが、過去には黒澤明という人がいました。黒澤明ひとりとソニーを比べると、黒澤明のほうが国際的には価値があると思う。そういう人間がたくさん出てくれば、日本は世界から尊敬されます。高田君はそういう素質を持っていると思います。

 高田さんは、今も都内の広告代理店に勤める傍ら、8月11日に開催される2回目の「LIGHT UP NIPPON」に向けて奔走している。
「LIGHT UP NIPPON」がめざすのは、東北の復興支援はもちろん、日本全体を明るく元気にすること。その目的は果たせているのか? 映画ラスト近くに次々と映し出される、花火を見上げる人々の表情がその答えだ。

映画を見て、東北に花火を上げよう。

 映画『LIGHT UP NIPPON ~日本を照らした、奇跡の花火~』の鑑賞料金の一部は、花火大会「LIGHT UP NIPPON」に寄付される。

 また、劇場公開と同時にスタートしたオンライン上映では、映画鑑賞料金が復興支援の花火に変わるプランを用意。鑑賞料金の一部およびすべての花火代金が「LIGHT UP NIPPON」に寄贈される(詳細は、「LIGHT UP NIPPON × KINEZO CINEMA Presents」をご参照ください)。

●プラン1:映画鑑賞のみプラン/上映料金:1,200円
●プラン2:3号玉(直径100m)プラン /上映料金:4,200円(内訳:3号玉3,000円+上映料金1,200円)
●プラン3:5号玉(直径150m)プラン/上映料金:11,200円(内訳:5号玉10,000円+上映料金1,200円)
●プラン4:10号玉(直径280m)プラン/上映料金:51,200円(内訳:10号玉50,000円+上映料金1,200円)

 映画館での上映は7月20日までだが、TSUTAYA ONLINE、amazon、Yahoo!にてDVDが発売中。こちらの収益の一部が花火大会の運営に充てられる。

《ミニシア恒例、靴チェック!》

左:高田佳岳さん

右:坂本龍一さん

▼『LIGHT UP NIPPON ~日本を照らした、奇跡の花火~』作品情報
監督:柿本ケンサク
プロデューサー:湯川篤毅
撮影:AKKI
ナレーション:黒木瞳 
テーマ曲:「赤とんぼ」by Ryuichi Sakamoto
音楽:坂本龍一 / コトリンゴ(commmons)
製作:LIGHT UP NIPPON
共作:(財)国際交流基金
制作:ロックンロール・ジャパン
配給:ティ・ジョイ
コピーライト:(c)2012 LIGHT UP NIPPON PARTNERS
『LIGHT UP NIPPON ~日本を照らした、奇跡の花火~』公式サイト
※7月7日(土)~7月20日(金)、新宿バルト9他にて全国ロードショー
※DVD:7月7日(土)~7月20日(金) 写真集付き特別DVD(予定)上映劇場窓口限定にて販売。(一部除く) 7月7日(土)よりTSUTAYA、TSUTAYA DISCASてDVDレンタル開始(予定)

取材・編集・文:柴崎朋実 スチール撮影:hal


  • 2012年07月19日更新

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