日活向島と新派映画の時代展 『うき世』(1916年)上映会―早稲田大学の構内で、大正の無声映画をピアノ伴奏とともに。

  • 2012年03月01日更新

 2012年の今年は、日活の創立100周年。記念企画が続々と催される中、早稲田大学坪内博士記念 演劇博物館において、「日活向島と新派映画の時代展」が、3月25日(日)まで開催されている。大正時代、日活 ― 当時の日本活動写真株式会社は、隅田川の河畔に向島撮影所を建設し、多くの「活動写真」を撮影した。後年、これらの作品は「新派映画」と呼ばれるようになる。演劇博物館にて開催中の展覧会は、この向島撮影所の歴史と魅力を回顧する企画展だ。

3月2日(金)、大正5年の作品『うき世』が、ピアノの生伴奏付きで上映。

「日活向島と新派映画の時代展」の関連企画として、3月2日(金)に『うき世』の上映会が開催される。

 大正5年(1916年)に製作された『うき世』は、現存する数少ない、向島撮影所の作品のひとつ。96年前に作られたこの無声映画が、今回、サイレント映画ピアニスト・柳下美恵氏の生伴奏とともに上映される。また、上映前には映画史家・小松弘氏による解説も予定されているので、「新派映画や向島撮影所について、よくわからないのだけど……」というかたも、安心して楽しめる上映会だ。

▼『うき世』(1916年)上映会
日時:2012年3月2日(金) 17:45開場 18:15開演 19:30終演(予定)
会場:早稲田キャンパス小野梓記念館(27号館)地下2階 小野記念講堂
上映作品:『うき世』(1916)
解説:小松弘(映画史家・早稲田大学文学部学術院教授)
ピアノ伴奏:柳下美恵
定員:200名(入場無料・予約不要)
「日活向島と新派映画の時代展」公式サイト
※当日、先着順にて受付。定員に達すると、ご入場いただけない場合もございます。開演前に、展覧会も併せてゆっくりとお楽しみいただければと存じますので、ぜひ、お時間に余裕をもってご来場ください。アクセス方法等、詳細は、上記の公式サイトをご参照ください。

『うき世』に出演している立花貞二郎は、25歳の若さでこの世を去った、女形の大スター。

 女優ではなく、女形が女性の役を演じていたことが、新派映画の特徴のひとつ。中でも、『うき世』にも出演している立花貞二郎は、愛らしい美貌で人気を集めた大スターである。立花は1918年 ― つまり、『うき世』からわずか2年後の大正7年に、25歳の若さでこの世を去った。3月2日の上映会は、早逝の美しいスターの名演をこの目で見られるチャンスでもある。ぜひ、お誘いあわせの上、早稲田大学へ足を運んでいただきたい。

文:香ん乃

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