善良な“いい人”大森南朋が豹変?注目の24歳監督が描く情けなくも愛すべき東京の夜-『東京プレイボーイクラブ』

  • 2012年02月24日更新

働いていた工場でのもめごとから傷害事件を起こした勝利は東京に住む友人、成吉の経営するサロン『東京プレイボーイクラブ』に転がり込む。カッとなると手につけられなくなる勝利は居酒屋で絡んできた若者を殴り倒すが、殴り倒した相手は土地を仕切るヤクザの兄弟。この一件をおさめるために出された条件はなんと「ヤクザの兄のためハードSMの相手をさせる女を差し出す」事だった。ユーモアあふれる情けない日常を描き、海外映画祭で注目を集める24歳奥田庸介の商業映画デビュー作。渋谷・ユーロスペース、シネマート新宿ほか全国にて公開中


情けなくも愛すべき男達が集う『東京プレイボーイクラブ』へようこそ
勝利(大森南朋)は働いていた工場でのもめごとから傷害事件を起こし、東京に住む友人、成吉(光石研)の経営するサロン『東京プレイボーイクラブ』に転がり込む。場末のサロンにはたわいもない会話をしながら客を待つ女の子達と調子のいいボーイ、貴弘(淵上泰史)がゆるく勤務中。ボーイの貴弘の恋人・エリ子(臼田あさ美)はバイトをクビになり「人間失格」を読んで時間をつぶしていたが、突然、不始末を起こした貴弘のために『東京プレイボーイクラブ』に連れさられ働かされることになる。一方、勝利は居酒屋で絡んできた若い男(三浦貴大)に我慢できなくなり、相手を殴り倒す。なんとその相手は土地を仕切るヤクザ三兄弟の末弟だった。その場は成吉のお陰で収まったものの、勝利は二番目の兄(赤堀雅秋)をも殴り倒す。この一件をおさめるためにヤクザの長兄(佐藤佐吉)が出した条件は『ハードSMの相手をさせる女を差し出す』事。『東京プレイボーイクラブ』がハードSMの相手として差し出したのは誰なのか?後戻り出来ない夜が動き出す。


感情のコントロール不能。いい人?!じゃない大森南朋に注目。
特筆すべきはなんといっても、某コーヒーメーカーのCMで、日本で一番の“いい人”を好演中の大森南朋の変貌ぶり。夜の東京で生きていく人々の生活の中に溶け込むことなくはみ出し、暴力という形でしか他人と接することができない勝利の姿は受け入れがたい社会の鼻つまみ者そのもの。社会から切り捨てられた勝利の視点は卑屈。それでも社会の片隅で同じようにギリギリの状態で生きる人々に向けるもう一つの勝利の視線にも注目をしていただきたい。“いい人”を超えた大森南朋を発見できるはず。


強面でも小心者?!世界が期待する24歳監督が紡ぎだす『愛すべき日常』
本作は自主製作作品『青春墓場~明日と一緒に歩くのだ~』でゆうばりファンタスティック映画祭のグランプリ受賞し、国内外の映画祭でも高い評価を受けている奥田庸介監督の商業映画デビュー作。一見コワモテ、なのにコンビニでジャンボフランクフルトを頼むのも周りの目を気にしてしまうという筋金入りの小心者だと語る奥田監督。日々の生活の中で監督のアンテナにかかったはずかしさや、可笑しみといった愛すべき出来事を紡ぎあげて出来上がった「奥田ワールド」は繊細でユーモアたっぷり。場末のピンクサロンで起きるたわいもない日常を愛すべき世界へと昇華させる恐るべき24歳、奥田庸介。世界が注目する若き監督の記念すべきデビュー作をチェックしよう。



▼『東京プレイボーイクラブ』作品・上映情報
2011年/日本/96分
監督・脚本:奥田庸介
プロデューサー:甲斐真樹
出演:大森南朋 光石研 臼田あさ美 淵上泰史 赤堀雅秋 三浦貴大 佐藤佐吉
エンディングテーマ:「パワー・イン・ザ・ワールド」/エレファントカシマシ
製作:スタイルジャム、ミッドシップ 配給:スタイルジャム 配給協力:ビターズ・エンド
『東京プレイボーイクラブ』公式サイト
※ 渋谷・ユーロスペース、シネマート新宿ほか全国にて公開中
Ⓒ2011 東京プレイボーイクラブ

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文:白玉

  • 2012年02月24日更新

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