【イケメン青田買い】 『富士見二丁目交響楽団シリーズ 寒冷前線コンダクター』 高崎翔太さん インタビュー

  • 2012年02月23日更新

オーケストラが舞台のボーイズ・ラブ小説の金字塔『富士見二丁目交響楽団シリーズ』、遂に実写映画化。

 秋月こお氏原作『富士見二丁目交響楽団シリーズ』は、ごとうしのぶ氏原作『タクミくんシリーズ』と肩を並べる、長編ボーイズ・ラブ小説の金字塔である。2007年から『タクミくんシリーズ』の映画化を手がけている配給会社・ビデオプランニングが、2012年、遂に『富士見二丁目交響楽団シリーズ』の映画化も実現させた。その第1弾となる『富士見二丁目交響楽団シリーズ 寒冷前線コンダクター』が、3月3日(土)からシアター・イメージフォーラムにて公開される。市民オーケストラを舞台に、ヴァイオリニストの守村悠季と指揮者の桐ノ院圭が、愛を育み、衝突を繰り返し、そして、音楽家としての互いを高めあっていく ― 恋物語でありながら、若い芸術家の成長物語でもある、このシリーズ。主人公の守村悠季役を演じた高崎翔太さんに、本作と悠季への想いを、たっぷりと語っていただいた。

― 守村悠季役に決まったときの、率直なご感想は?

「(ほかのボーイズ・ラブの作品とは違う)珍しい物語だ、と思いました」

高崎翔太さん(以下、高崎) 脚本を読む前に、原作の小説とコミック版を読んで、「激しい作品だな」と思ったんですが(笑)、(僕が知っている)ほかのボーイズ・ラブの作品に比べると、『富士見二丁目交響楽団シリーズ 寒冷前線コンダクター』は珍しい物語だと感じました。たとえば、悠季はもともとノンケですし、彼は当初、圭を「ホモ野郎!」と(失礼な言葉で)罵りもします。そういった部分が(多くのボーイズ・ラブの作品とは違って)珍しいと思ったんです。守村悠季という人を自然に演じることができるとよいな、と感じました。

― 桐ノ院圭役の新井裕介さんと、撮影前におふたりでうちあわせ等はなさいましたか?

「新井くんとふたりで、カラオケボックスで読みあわせをしたこともありました」

高崎 しました。新井くんと僕だけのシーンが多いので、(クランク・インの前に)ふたりで脚本の読みあわせをしました。最初、居酒屋でやったんですけど、お店がにぎやかすぎて全然無理で(笑)。だから、ふたりでカラオケボックスへ行って読みあわせをしたこともありました。金田敬監督に言われたことをもとにして、一緒にいろいろと事前に話しあって。(舞台で共演したこともある)新井くんとはもともと仲がよいので、互いに意見を言いやすいです。

― 新井さんは、圭役についてなんとおっしゃっていましたか?

高崎 「自分は攻めるほうでよかった」と言ってましたよ(笑)。

― 悠季を演じるにあたって、金田監督からどのようなご指示やご助言がありましたか?

「『悠季の心情を、大きく丁寧に作っていくように』とアドバイスをいただきました」

高崎 始めから終わりまで、悠季の心情がずっと流れている作品なので、「心情を大きく丁寧に作っていくように」とアドバイスをいただきました。
 また、これもボーイズ・ラブの映画では珍しいことだと思うんですが、金田監督はこの作品をコミカルに作られました。なので、撮影中は、「もっとコミカルに演じるように」とご助言をいただいたこともあります。同じく金田監督が手がけられたボーイズ・ラブの『愛の言霊』(2007)という作品があって、僕も拝見しましたが、こちらもコミカルで見やすい映画だな、と思いました。

― 逆に、高崎さんから金田監督へ、「ここはこのようにしたい」とおっしゃった点はありますか?

「原作に忠実に演じたい、と思いました」

高崎 全体的に明るくポップに描かれている作品ですが、ベッド・シーンはリアルにしたいと思ったので、監督とよく話しあいました。原作の小説や脚本のト書きで、ベッド・シーンの悠季の心情が詳しく書かれています。原作に忠実に演じたいと思ったので、そこは監督にずいぶん相談しました。

― 原作は悠季の一人称で書かれていますね。この映画を拝見すると、高崎さんが原作を読みこんで研究なさったことが、とても伝わってきます。

「他人とは思えないくらい、悠季は自分に近い存在です」

高崎 僕と悠季はすごく似ています。同じ新潟県の出身で、姉がいる末っ子であるところも同じです。悠季には両親がいませんが、僕は母子家庭で育ったので、家庭環境にも共通する点があります。性格も、悠季と僕はとても似ていると思います。守村悠季という人は、もう他人とは思えないくらい、自分に近い存在です。

― 原作は長編小説で、圭との出逢いをきっかけに、音楽に対する悠季の意識が変わっていくわけですが、『寒冷前線コンダクター』の頃の悠季は、自分の才能とコンプレックスの両方を見て見ぬふりをしたり、ヴァイオリニストとしての自分を「凡才」と呼んで卑下したりする部分があります。高崎さんが実際にお仕事等でコンプレックスを感じて壁にぶつかられたときに、その壁を乗り越えるきっかけになった印象的な出来事や思い出を聴かせてください。

「(デビュー作の)テニミュで、共演者のみんなに助けていただいたのは、とても印象に残っています」

高崎 子どもの頃からバスケットボールが大好きで、9年間くらい続けていたのですが、ほかの人よりもいまいち突出しないところにコンプレックスを感じていました。
 役者をやり始めてからは、ゴールや正解のない世界なので、いろいろと壁にぶつかることがあります。(ゴールや正解がないという意味では)ヴァイオリンの世界とも似ていると思います。僕の場合は、役者の先輩や、舞台の演出家、映画の監督といった、目上のかたに助けていただくことが多く、僕自身も(そういったかたがたに)積極的に質問をします。
 最も印象的だった出来事は……、テニミュ(『ミュージカル テニスの王子様』)は、役者として初めてのお仕事でもあったので、壁にぶつかることばかりでした。歌がとても苦手なのですが、ミュージカルは当然ながら舞台で歌うので、とても大変でした。そのときは、新井くんや馬場(良馬)くん、アッキー(林明寛さん)*をはじめとした共演者のみんなに、すごく助けていただいたので、とても印象に残っています。
*新井さん・馬場さん・林さんとは、今作『寒冷前線コンダクター』でも共演。

― ヴァイオリニストという役柄については、いかがでしたか?

高崎 これまでヴァイオリンに触ったことがなかったので、楽器を演奏するシーンはとても大変でした。すごく頑張りましたが、(演奏するシーンは)温かい目で見ていただきたいです(苦笑)。

― 本作は富士見市民交響楽団というオーケストラが舞台です。年齢・職業・性別が異なる人たちが集まって演奏をするわけですが、高崎さんも舞台や映画のお仕事で、歳や性別の違う多くのかたがたと、公演や撮影といったひとつの目的に向かって取り組むご経験をたくさんなさっていますね。集団で物事を成功させる秘訣や、現場でご自身が心がけていらっしゃることを聴かせてください。

「意見や本音を率直に伝えあうのが大切」

高崎 プロの役者が集まっているお芝居の世界では、「一番よいものを見せたい・作りたい」という同じ目的を全員が持っているので、自然にぶつかりあっていけばうまくいくと思います。気を遣いすぎるのではなく、意見や本音も率直に伝えあうのが大切だと感じます。アマチュアの集まりの富士見や学生の部活等も同じで、向かうべきところを全員で話しあってひとつにまとめたら、衝突することがあっても、最終的にはうまくいくと思います。

― 悠季は川島さんが好きでも告白ができなくて、圭は圭で悠季に対して不器用な愛情表現をしてばかりで、「みんな、恋愛に苦労しているな」と感じます。もし高崎さんが誰かから想いを伝えられるとして、どんな方法やシチュエーションで告白されたら、胸に響きますか?

「告白されたら、その人を好きになっちゃうタイプだと思います」

高崎 わからないです!(笑) もてないんですよ、僕。新井くんに訊いてくれればわかると思うんですけど(笑)、本当にもてなくて。だから、告白された時点で(よい意味で)だめかもしれないですね。「好き」と言われたら、その人を好きになっちゃうタイプだと思います。

― 逆に、高崎さんが好きな人に告白をするとしたら?

「告白するときには、お洒落なメールを送ります(笑)」

高崎 僕、女性と話すのが苦手なので、ふたりきりで会うのは(緊張して)絶対に無理です。……メールですね、メール。告白するときには、お洒落なメールを送ります(笑)。

― お忙しい毎日の中で、健康や美容のために心がけていらっしゃることは?

高崎 すぐに太ってすぐに痩せるという体質なので、(運動のために)歩くようにしています。早起きをして散歩をしたり、お仕事へ行くときに(電車に乗らずに)ひと駅分歩いたり。すごく歩いていますよ。お天気のよい日に歩くと、気持ちよいですし。だから、とても健康です(笑)。

― 本作の公開を待っている高崎さんのファンのみなさまと、原作がお好きで「どんな実写映画になっているのだろう」と期待していらっしゃるかたがたへ、悠季を演じた高崎さんだから言える、本作の見どころを教えてください。

「原作をとても研究して作った映画です」

高崎 僕のファンのかたがたはもちろんですが、原作のファンのかたがたにも、とても観ていただきたいと思っています。僕だけでなく、金田監督、出演者、スタッフ……、全員で(原作を)とても研究して作った映画になっています。
 実は、撮影の初日にベッド・シーンを撮って、(結果的に)とてもよくできた場面になったのですが、……撮影初日だったということもあって、想像していた以上の衝撃を受けたんですよ、僕。原作・コミック版・脚本を読んでいたので、「激しいシーンだ」と知ってはいたのですが、「(実際に演じてみたら)思っていたよりも、こんなにきついんだ」とわかって、すごく泣いちゃって(苦笑)。作品のすべてが見どころですが、このシーンは特に見どころだと思います。

― ベッド・シーンでの悠季は、とてもリアルでしたね。

「『悠季の心情の流れ』に注目して観ていただきたいです」

高崎 本当に嫌で、本気で泣いてしまいました。(OKの)カットがかかったあとも、泣きながら「ありがとうございます」と言いましたし(苦笑)。撮影があのシーンから始まったので、この出来事を経験する前の守村悠季と、そのあとの彼の感情の流れは、自分でもとても作りやすかったです。また、金田監督も、悠季の気持ちの変化がわかりやすく見えるように撮ってくださったので、「悠季の心情の流れ」に注目して観ていただけたら嬉しいです。

《ミニシア恒例、靴チェック!》
このお靴は高崎さんの私物だそうです。わざわざ脱いで、手に持ってくださいました。
高崎翔太さん
▼高崎翔太さん プロフィール
1988年9月21日生まれ。新潟県出身。2008年、『ミュージカル テニスの王子様』菊丸英二役にて、俳優としてデビュー。以後、舞台を中心に活躍し、数多くの主演舞台を務める。2011年には映画にも活躍の場を広げ、『ピンクの仕事』、『タクミくんシリーズ あの、晴れた青空』、『ゲキアツ 真夏のエチュード』等に出演。本作『富士見二丁目交響楽団シリーズ 寒冷前線コンダクター』が初の主演映画となる。
高崎翔太さんオフィシャルブログ:「雨ニモマケズ風ニモマケズ」

▼『富士見二丁目交響楽団シリーズ 寒冷前線コンダクター』作品・公開情報
2012年/日本/カラー/ビスタ/ステレオ/83分
原作:秋月こお(角川ルビー文庫・刊)
脚本:板谷里乃 箱田森介
監督:金田敬
製作:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント ビデオプランニング ビデオフォーカス
制作・配給:ビデオプランニング
出演:高崎翔太 新井裕介 岩田さゆり 林 明寛 馬場良馬 NAOTO(ゲスト出演) 木下ほうか 宮川一朗太 徳井 優 国広富之
コピーライト:(C)2012秋月こお/角川書店・富士見二丁目交響楽団シリーズ製作委員会
『富士見二丁目交響楽団シリーズ 寒冷前線コンダクター』公式サイト
※3月3日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにてロードショー!

取材・編集・文:香ん乃 スチール撮影:hal

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