トーキョーノーザンライツフェスティバル 2012―日本初上映作、幻のフィルム、伝説の無声映画まで。北欧映画が渋谷に大集結!

  • 2012年02月05日更新

北欧映画の祭典、今年も渋谷で開幕!

 北欧映画を満喫できる1週間が、今年も渋谷で待っている ― 2012年2月11日(土・祝)~17日(金)、「トーキョーノーザンライツフェスティバル 2012」が、ユーロスペースとアップリンクファクトリーにて開催される。新旧の北欧映画から選ばれた上映作品は、長編がなんと14本。「どの作品を観るか。何本、観に行けるか」、さあ、思いきり頭を悩ませていただきたい。

『ネクストドア/隣人』と『マンマ・ゴーゴー』は、日本初上映。

『ネクストドア/隣人』
監督:ポール・シュレットアウネ(Pål Sletaune)
2005年/ノルウェー他/ノルウェー語/75min
原題:Naboer/英題:Next Door

 今回の開催では、ジャパン・プレミアとなる作品が2本含まれている。フリドリック・トール・フリドリクソン監督特集で上映される『マンマ・ゴーゴー』と、ポール・シュレットアウネ監督の『ネクストドア/隣人』がそれだ。

 サイコ・スリラーの『ネクストドア/隣人』は、本国ノルウェーでの劇場公開時に、この国で17年ぶりとなるR指定を受けた。暴力や性の描写に過激な部分があるからだが、無論、本作の見どころはそこだけではない。ひとりの青年と、謎の美人姉妹が繰り広げる、緊張感にあふれる心理劇を、息をつめてはらはらしながら愉しんでいただきたい。

三島由紀夫も絶賛した、安部公房原作の戯曲『友達』が、スウェーデンで映画化されていた。

『友達』
監督:シェル-オーケ・アンデション(Kjell-Åke Andersson)
原作:安部公房
1988年/スウェーデン・日本/英語/87min
原題:Friends

 作家の安部公房は、演劇の脚本・演出も数多く手がけていた。1967年に劇団青年座で初演された『友達』は、三島由紀夫も絶賛した人気演目のひとつである。

 この『友達』が、日本からの依頼を受けて、スウェーデンで映画化されていた。バブル景気真っ只中の1989年、日本でも劇場公開されたが、本作の存在をご存じなかったかたも多いだろう。「幻のフィルム」とも言える本作をスクリーンで観られる機会は、今回が最後かもしれない。安部公房とシェル-オーケ・アンデション監督の、日本とスウェーデンの、国と時代を超えたコラボレーション ― 体感しなかったら損をする。

日本劇場未公開のサイレント映画『魔女』を、ピアノとシンセサイザーの伴奏付きで堪能。

『魔女』
監督:ベンヤミン・クリステンセン(Benjamin Christensen)
1922年/スウェーデン・デンマーク/スウェーデン語(text)/ 104min
原題:Häxan/英題:Witchcraft Through the Ages

(画像は、『魔女』の伴奏者として出演する、サイレント映画ピアニストの柳下美恵氏)

 ベンヤミン・クリステンセン監督の1922年の作品『魔女』は、「ホラーの聖典」と言われるサイレント映画である。中世ヨーロッパの魔女の世界をドキュメンタリー・タッチで描いた、神秘的かつ異色の1本だ。

 魔女狩り、悪魔、魔女裁判、拷問 ― 中世暗黒時代に生きた魔女の有りようが、数多くの資料をもとにして、綿密に解説されている。背筋が凍りそうな拷問具や腐乱死体、不気味な化粧を施した魔女等、1920年代当時の美術や特殊メイクを知ることができるのも見どころのひとつだ。

 また、本作は、サイレント映画ピアニスト・柳下美恵氏による、ピアノとシンセサイザーの伴奏付きで上映される。おどろおどろしくも幻想的で美しい魔女の世界を柳下氏の演奏が彩る、ここでしか味わえないライヴ上映、堪能しない手はない。

▼「トーキョーノーザンライツフェスティバル 2012」
開催情報

期間 2012年2月11日(土・祝)~17日(金)
会場 ユーロスペース アップリンクファクトリー
主催 トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
「トーキョーノーザンライツフェスティバル 2012」公式サイト
※上映スケジュール、イベント情報等の詳細は、上記の公式サイトをご参照ください。
(画像は、アンドレアス・エーマン監督作品『シンプル・シモン』)

文:香ん乃

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  • 2012年02月05日更新

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