『ふゆの獣』初日舞台挨拶-ロッテルダム国際映画祭でも“バッドボーイ”シゲヒサは大注目。

  • 2011年07月29日更新

それぞれに恋愛感情を抱きあう男女4人の関係をえぐり出す『ふゆの獣』。7月2日テアトル新宿にて初日舞台挨拶が行われた。東京フィルメックスでグランプリを受賞した本作品はミクシィを通じて俳優を募集し、ギリギリのスタッフで撮影、編集を行い110万円という驚くべき低予算で制作。生々しい恋愛の現場を映し出している『ふゆの獣』には脚本はなく大まかなストーリーだけが伝えられ役者が自由に演技するスタイルを取っている。舞台挨拶では内田伸輝監督と4人のキャストが役に入りきる役作りについて振り返った。またロッテルダム国際映画祭に出席したシゲヒサ役の佐藤博行さんからは観客から声をかけられたエピソードが披露され会場が暖かい笑いに包まれた。

製作費はお金を集めて撮影をしていって計算をしてみたら、110万円だったという感じ(内田監督)
内田伸輝(以下内田):今日は皆さん来ていただいて本当にありがとうございます。これからこの『ふゆの獣』がこのテアトル新宿を始めとして世の中に広がっていくことを僕自身願っています。

-『ふゆの獣』は東京フィルメックスでグランプリを受賞されました。おめでとうございます。製作費が大変少なく、110万円で制作された点に関心が集まると思うのですが。
内田:製作費に関しては、その時必要なお金を集めて撮影をしていって計算をしてみたら、110万円だったという感じです。特に110万円でやろうとかそういうことを考えずに作りました。僕自身、(他の)皆さんがどの位の予算で作られているのかというのがとても不思議な所でありまして。知りたいところです。ぜひ教えていただきたいです。

-脚本がないと伺っていたのですが、制作方法をお知らせください
内田:プロットが用意されていまして、大まかな道すじといいますか、ストーリーはできているんですけれど、基本的に役者さんには自由に即興で演じてもらい僕も即興で撮影をしていきました。リハーサルは全然やらず、集まって打ち合わせをして本番の撮影を行います。基本的に撮影はDVテープ60分を一気に長回しで撮り、修正点をあげてもう一回60分を長回しという形でやっていきました。

我を忘れて、「あっ、これ映画だ」みたいなそういう経験をしたのは初めて(加藤めぐみさん)
加藤めぐみ(以下加藤):はじめまして出演者の加藤めぐみと申します。自分たちのような自主映画が劇場公開をすることが出来て、信じられない気持ちです。今日は本当にありがとうございます。

- 役作りは大変だったと思うのですが
加藤:自分が持っていない感情をたくさん持っている役でした。彼女の性格を一言でいうと計算できない愛情を持っている人間だったと思います。(役との)ギャップを埋めるために撮影自体は2週間でしたが、4ヶ月間かけて役作りをしていきました。こんなに役作りをして臨んだはずなのに本番カメラが回って気持ちが高まったせいか我を忘れて、ここがどこかも分からなくなってそれでも内田さんがカメラを回していて「あっ、これ映画だ」と気づくそういう経験をしたのは初めてでした。

ロッテルダム国際映画祭ではカツアゲかと思ったら「『ふゆの獣』すっげえ良かったよ、お前はバットボーイだ」と話しかけられました(佐藤博行さん)
佐藤博行(以下佐藤):シゲヒサ役の佐藤博行です。(シゲヒサは)ひどいといわれることが多いんですけれど、世の中、社会的なものから生まれてきたような人間だなと思っているので、どこにでもいるんじゃないかなと思っています。

- ロッテルダム国際映画祭に行かれたということなんですが反応はいかがでしたか?
佐藤:コンペティション作品として日本では唯一選ばれて参加しました。4回上映されて全ての回がソールドアウトになりまして多くのお客さんに観ていただきました。上映終わった後にロッテルダムの街を歩いている時に、後ろから外人の方に「ヘイ、バットボーイ」と(会場笑)カツアゲにあったのか、ヤバいなと思ったら「『ふゆの獣』すっげえ良かったよ、お前はバットボーイだ」みたいに話しかけられて、結局20人ぐらいに声をかけられましたね。


誘って断られ、画像を待ち受けにしてキモがられ、自分なりに片思いの感じは役作りをしていました(高木公介さん)

高木公介(以下高木):ノボル役を演じました高木公介です。僕はミクシィで応募したんですけれで、僕が見た時には)(募集)期限が終わっていまして。過去の内田さんの作品を見たことがあってどうしても出たいと思って、人生で初めてパソコンに向かってどうにか受けさせてほしいという長いメールを書きました。

- 監督相当長いメール来たんですか?
内田:そうですね、長かったですね。何を言っているのか分からない長いメールでした。

- 役作りの上でチャレンジしたようなことはありましたか
高木:色々あるので一つだけ。前川さん演じるサエコに思いを寄せていまして、撮影前にメールをしたりして仲良くなろうと試みたんですけれども全部断られました。誘って断られ、前川さんの画像を待ち受けにしてキモがられ、自分なりに片思いの感じは役作りをしていました。

浮気相手という事は理解しているけれど、それでも好きという気持ちを信じて走ってしまう女の子はやっていてつらかった。(前川桃子さん)
前川桃子(以下前川):サエコ役の前川桃子です。本日はご来場いただきありがとうございます。この映画がこれからたくさんの方に観てもらえることがうれしいです。サエコという役は毎日を楽しく生きている女の子にしたいなと思っていて「明るく楽しく」を心がけていたのですが、恋人がいる男の人を好きになってしまって、浮気相手という事は理解しているけれど、それでも好きという気持ちを信じて走ってしまう女の子はやっていてつらかったです。

- 監督の演出はどうでしたか?
前川:あまり細かく言われなかったのですが、大きく二つ、緊張感と爆発力が欲しいといわれました。すごく抽象的でどうしたらいいんだろうと思ったんですけれど、緊張感は4人で作り出せたらいいなと思っていて、爆発力というのは浮気相手というつらい気持ちをどんどん積み重ねて集まった時に爆発出来たらいいなと思ってやりました。

-監督からひとことお願いします。
内田:今日がスタートです。今日ここにきてくれた皆様がいいなと思ったら、一人百人ぐらい連れてもらえると本当にありがたいです。よくないと思った皆さんもネットで感想を書くなり広めていっていただければと思います。いいなと思ったお客さんもどんどん日記でツイッターなどで書いていただけるとありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

『ふゆの獣』公開を記念して、内田伸輝監督作品『えてがみ』『かざあな』を劇場初上映!
▼『えてがみ』『かざあな』劇場情報
東京 K’s cinema 7/23(土)-7/29(金)
京都 京都みなみ会館 8/2(火)-8/7(日)
詳しくは『えてがみ』『かざあな』公式サイトをご覧ください。

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文・編集・撮影:白玉


  • 2011年07月29日更新

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