『シチリア!シチリア!』

  • 2010年12月15日更新

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『ニュー・シネマ・パラダイス』で世界的な人気を不動のものにした、ジュゼッペ・トルナトーレ監督待望の最新作。素朴でシンプルなストーリーの中に盛り込まれた、感傷と郷愁、愛情を、切なく心に響く旋律にのせて描いている、トルナトーレ監督ファンの期待を裏切ることのない、新たな感動作である。

1930年代のイタリア ― シチリアのバーリアという田舎町で牛飼いの家に生まれたペッピーノは、チーズ3つと引き換えに出稼ぎに出たり、教科書をヤギに食べられたりしながらも、毎日を力強くたくましく生きている。大人に混じって働き、学校に行く暇もない少年時代を過ごすペッピーノにとって、その地方に伝わる「3つの岩山の頂にひとつの石を連続してぶつけられたら、黄金の詰まった洞窟の扉が開く」という伝説に胸を躍らせたり、父に連れられていく映画館で無声映画を観たりすることは、楽しくかけがえのない時間だった。

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やがて成長したペッピーノは運命の女性マンニーナと恋に落ちる。家柄の違いなどもあり周囲に反対されるが、愛し合うふたりは駆け落ちし、永遠の愛を誓う。幸せに満ちた生活を送り、正義感に燃えて政治的活動を始めるペッピーノだが、そこで世の中の矛盾を知り、父親の死にも直面する。そんな中、今一度、岩山の伝説を試そうと石を投げてみる。幸せな時も悲しみの日も、そこにあるのは家族の絆だった。激動の時代の中で、常に前向きに生きる彼らの姿に心打たれ、勇気をもらえる作品である。

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ペッピーノとはジュゼッペの愛称で、主人公に自分の名前を使っていることからも分かるように、これはトルナトーレ監督の半生を描いた作品でもある。監督はシチリアで生まれ、28歳までその地で過ごしている。また、2007年にローマで暴漢に襲われ、生死の境をさまよった。怪我から快復した監督が人生の素晴らしさを描きたいと思ったことから本作品が生まれ、いつか故郷シチリアの素晴らしさを伝えたいと思い続けてきた願いが実現した。シチリア人であることを誇りに思い、自分自身の体験をふんだんに盛り込み、シチリアを象徴する太陽と地中海と大地の匂いを織り交ぜながら美しく故郷を表現している。空調がない当時、暑さから逃れるため家族で床に寝転ぶという微笑ましいシーンも、監督の実体験である。

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主人公ペッピーノを演じるのは、本作をきっかけに、今イタリアで最も期待される俳優の1人、シチリア州パレルモ生まれのフランチェスコ・シャンナ。妻のマンニーナ役には同じくシチリア出身のトップモデル、マルガレット・マデが、美しくたくましいイタリア女性を演じている。音楽は『ニュー・シネマ・パラダイス』以来、すべてのトルナトーレ監督作品を手がける、エンニオ・モリコーネ。イタリアの輝ける宝石、『マレーナ』のモニカ・ベルッチが出演しているのも見逃せない。トルナトーレ監督作品のファンにはおなじみの顔ぶれが、作品を盛り上げている。

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▼『シチリア!シチリア!』
作品・公開情報

イタリア/2009年/151分
原題:”BAARIA”
監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影:エンリコ・ルチディ
美術監督:マウリツィオ・サバティーニ
衣装:ルイジ・ボナーノ
出演:フランチェスコ・シャンナ マルガレット・マデ アンヘラ・モリーナ
リナ・サストリ サルヴォ・フィカッラ ヴァレンティノ・ピコーネ ガエタノ・アロニカ
ルイジ・ロ・カーショ ミケーレ・プラチド ラウル・ボヴァ モニカ・ベルッチ 他
後援:イタリア大使館 イタリア文化会館
配給:角川映画
コピーライト:(C)2009 MEDUSA FILM
『シチリア!シチリア!』公式サイト
※2010年12月18日(土)より、シネスイッチ銀座、角川シネマ新宿他にてロードショー!

《サウンドトラック》

Ost: Baaria Baaria

改行
文:秋月直子
改行

  • 2010年12月15日更新

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