「フィルメックスが待ち遠しい!Vol.2」-行定監督が語る、東京フィルメックスの楽しみ方。

  • 2010年11月23日更新

IMG_1305ついに開幕した第11回東京フィルメックス。開催に先駆けて行われたトークイベント、「フィルメックスが待ち遠しい!Vol.2」では11年前の第1回東京フィルメックスのコンペティションに参加後、数多くの国際映画祭で活躍する行定勲監督をゲストに迎え、作り手としての国際映画祭の面白さ、存在意義について熱のこもったトークが来り広げられた。東京フィルメックスで行定監督が「気になる」作品の話も満載。世界基準の監督のお墨付き作品をチェックしよう。

 

 

 

 

 閉塞的な日本映画界に新たな可能性を運ぶ国際映画祭の力
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第11回東京フィルメックスに先駆けて行われた「フィルメックスが待ち遠しい!Vol.2」のゲストは行定勲監督。第1回東京フィルメックス、コンペティション部門に「贅沢な骨」で参加、第8回東京フィルメックスでは審査員も務めた行定監督は閉塞的な国内映画の突破口として「アジアの映画人」がつながることが必要だと熱く語る。「セカチュウ」のヒットで日本中が純愛映画に向いていく中で、その殻を破るヒントはもっと大きな世界に触れること。東京フィルメックスは日本の枠組みを越えた新しい映画の提案のヒントになっていく大きなチャンスだ。今回は行定監督の“気になるアジア映画”を3本ご紹介。日本映画に影響を与えそうなエネルギーあふれる作品を楽しもう。
 
第一回の(出品)メンバーというのは、今考えると、結構すごい人達。(市山)
世界は広いなと。こんなに自由でいいのかと思ったんです。(行定)
IMG_1361市山尚三東京フィルメックスプログラムディレクター(以下、市山):
行定監督は第一回フィルメックスの時に「贅沢な骨」という作品を上映させていただきまして。早いものであれから11年。その時が「贅沢な骨」で、その後に「GO」。すぐに高い評価をされたので、良かったなと思ったんですが。あの頃っていうとまだ「GO」は撮ってなかったんですかね。

行定勲監督(以下、行定):撮ってないですね、ちょうどフィルメックスが終わって、その翌年すぐに。フィルメックスで「贅沢な骨」を見てもらい、「GO」に抜擢されたんです。

市山:第1回のメンバーというのは、今考えると、結構すごい人達。現在「スプリング・フィーバー」(2009年カンヌ国際映画祭脚本賞受賞作)を公開しているロウ・イエ監督は中国を代表するするインデペンデントの監督になっていますし、アピチャッポン監督(2010年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞)のデビュー作、『真昼の不思議な物体』、ウィルソン・イップ監督の「ジュリエット・イン・ラブ」も上映していました。ウィルソン・イップは東京国際映画祭でも上映された「イップ・マン」を撮って、娯楽映画で成功しています。あの時、ご覧になった作品はありましたか?

行定:アピチャッポン(監督)の作品は観ました。「贅沢な骨」は自主映画なんですよ。プロの役者さんは出ているんだけれど、ノーギャラでスタッフ集めて、800万で作った映画なんですね。(その一方で)世界は広いなと。こんなに自由でいいのかと思ったんです。同じ時期に映画を作った人たちがこんな自由に色んな事をやっているんだと一番思ったのはアピチャッポン監督の映画を観た時ですね

ここで選ばれている作品は平等、フィルメックスの審査が一番に“腑に落ちる”審査会ですね。(行定)
IMG_1424市山:
その後(第8回)に審査員をお願いしました。この時はイ・チャンドンさんが審査委員長でしたね。

行定:国際映画祭の審査員をいくつかやらせていただいていますけれど、フィルメックスの審査が一番“腑に落ちる”審査会ですね。審査委員長のイ・チャンドンさんは仙人みたいな人で(天から)声が降ってくるような感じでまとめられるんです。だからむちゃくちゃなことを言っていいなっていう気持ちが芽生えてきました。『アイ・イン・ザ・スカイ』(日本公開は「天使の眼、野獣の街」)が好きだったんですが、最初の投票で、一票も入っていない。そこで、推してみようと。(推してみると、審査員達は)宗教的なものであるとか、人の道といったものが映画の本質の中にあってとか、もっともらしく語るんですよ。でも、エンターテイメントをなんで選べないの?と問い掛けたら、イ・チャンドンさんの「エンターテイメントとしては素晴らしく良くできている」という一言で、政局が変わるんです(笑)。最後に『アイ・イン・ザ・スカイ』は準グランプリを受賞したんですね。自分が作った映画じゃないけど、授賞式後に(審査員達からは)「行定よかったな」って言われました。(笑) ここで選ばれている作品は平等。フィルメックスは他にはない映画祭なんだということを感じました。よく映画祭って政治的なんじゃないの?って言われるけれど、そこに集まった審査員がその時どういう会話をしたかのかが結果なんですよね。

もう一つの映画祭の目的。「セカチュウ」の先にある新たな挑戦のためのアジア映画人のつながり。
IMG_1364行定:
もう一つの映画祭の目的として、アジア人がもっと手を組んでアジアの映画を作っていくべきだとういのが10年前からあるんです。僕が林海象さんの助監督をしている時に、林さんは色んな国の監督と知り合いになるために『アジアンビート』という企画を作った。こうやって国を超えて色んな人と手を組むというのは新たな自分の本質をもう一度見たり、覆す機会になっていく。日本国内は非常に閉塞しているんです。「セカチュウ」が当たったら、みんな純愛ものやっちゃう、そうすれば売れるから、生き延びられる。生き延びなければならないというのが日本のクリエイター達の中にはあるけれど、生き延びるだけでは物足りないんですよ。生き延びるためにやる「春の雪」というお題を出された上で、自分の殻を破るために考えたのは(カメラマンの)リー・ピンビンを使うことでした。リー・ピンビン連れてくるのって大事(おおごと)なんです。でもその大変なことを乗り越えて、300館ぐらいかかるメジャー映画でリー・ピンビン―ホウ・シャオシェン、ウォン・カーウァイを支えているカメラマン-の映像を使う贅沢さが自分の中にはある。それができたのもホウ・シャオシェンさんと映画祭で出会ったからです。

市山:先週の「フィルメックスが待ち遠しい!」のゲストはアミール・ナデリ監督と俳優の西島秀俊さんだったんですけれど、この二人はフィルメックスで出会っているんですね。(ナデリ監督が西島さんに)「我々の映画に出ろ」と言って、本当に今年、撮影をして、編集をしています。イランの監督と日本の俳優が映画祭で出会って、紆余曲折ありながらもついには一本映画を撮ってしまった。すごい映画になりそうな予感がしています。

行定監督が“気になる”フィルメックス上映作品
fc06main『ビー・デビル』
監督:チャン・チョルス
韓国 / 2010年 / 115分   
これ、見たかったんです。カンヌの批評家週間に出品作品ですね。キム・ギドク監督の助監督をやっていたチャン・チョルス監督は完全にキム・ギドク監督の世界観をちゃんと受け継いでいます。

GC01main『本日休診』
監督:渋谷実
日本/1952年 / 97分
小津のようにスタイリッシュじゃけど、ちょっとおしゃれで演出がうまい。渋谷実は職人で、スタイルじゃなくて、物語を的確に捉える。ちょっとこじんまりとした映画に見えるんですけれど、こじんまりとした中の豊かさは自分自身も作品を作るうえで目指しているところです。(C) 1952 Shochiku Co.,Ltd. All rights reserved.

ss08main『詩』
監督:イ・チャンドン
韓国 / 2010年 / 139分
これは期待大ですね。『シークレット・サンシャイン』は相当すごかったんですけれど、韓国では『シークレット・サンシャイン』よりもこっちのほうが上だとみんな言っています。イ・チャンドン監督自身はキャストに相当気を使って大変だったらしいですが(笑)。

 

FILMeX2011_poster0924▼第11回 東京フィルメックス
期間 : 2010年11月20日(土) ~ 11月28日(日)
会場 :有楽町朝日ホール(有楽町マリオン) (メイン会場:11/21(日)〜28(日))
東劇 (特集上映会場:11/20(土)〜28(日) )
TOHOシネマズ 日劇 (レイトショー会場:11/20(土)〜27(土))
主催: 特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
●第11回東京フィルメックス公式サイト
※上映スケジュール、チケット購入方法等の詳細は、公式サイトをご参照ください。

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文、スチール撮影:白玉

  • 2010年11月23日更新

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