ミニシアターに行こう。

常に2本立ての興業で映画ファンを喜ばせてくれる名画座・目黒シネマ。2010年9月25日（土）～10月8日（金）の2週間は、　『ハングオーバー！ 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』＆『セックス・アンド・ザ・シティ2』の2本立てです。

まさに、アメリカの「男子映画」と「女子映画」の代表作が競演という印象。どちらも大口あけて笑いたいときにばっちりのコメディ。どちらも「結婚」にまつわるどたばたを描いたコメディ。上映時間は、2本合わせて247分　―　約4時間強、酸欠になるほど笑わせていただくとしましょう。

「プロム」、「ベビー・シャワー」、そして、「バチェラー・パーティ」　―　アメリカ映画を観ながら、これらの言葉に憧憬と興味をそそられたことがある、というかた、多いのではないでしょうか。

日本人には経験する機会があまりない、こういった行事。『ハングオーバー！』は、ただでさえ悪ふざけが過ぎるバチェラー・パーティが、花婿の結婚すら危ぶまれる大騒動に発展してしまうコメディです。

バチェラー・パーティとは、結婚を控えた花婿ないし花嫁が、独身最後の夜を同性の仲間たちと楽しむ会。そんなわけで、花嫁側もおこなっているはずなのですが、花婿側のイベントとして有名になっている気がしますね。アメリカの映画やドラマなどで、結婚を控えた男性のために、男友達がストリッパーを呼んであげたり、ポルノを上映してあげたりする会を見たことがあるでしょう？　あれです、あれ（注：バチェラー・パーティに関する筆者の知識は極端です）。

『ハングオーバー！』では、結婚式を2日後に控えたダグのために、悪友のフィルとステュがラスヴェガス旅行を計画します。「いざ、ヴェガスへ！」という当日、ダグの「未来の義理の弟」となるアランもなぜか参加することになりますが、まあ、それはよいとして。ラスヴェガスで記憶をなくすほど飲んで遊んだ彼らがホテルで目を覚ますと、室内が荒れに荒れていて、本物の「虎」や、誰の子かわからない赤ん坊までいる始末。でも、事態の深刻さはそれどころではありませんでした。だって、もうすぐ結婚しなくてはならないダグの姿が消えていたのですから！

いったい、ダグはどこへ行ったのか？　どうして、見ず知らずの赤ん坊が部屋にいるのか？　そもそも、ホテルに虎がいるってどういうわけ!?　―　もちろん、映画を最後まで観れば、すべての謎が解決します。笑いすぎて涙が出るので、ハンカチをお忘れなく。

▼『ハングオーバー！ 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』作品情報
アメリカ/2009年/100分
原題：”THE HANGOVER”
監督：トッド・フィリップス
出演：ブラッドリー・クーパー　エド・ヘルムズ　ザック・ガリフィアナキス
ヘザー・グラハム　ジャスティン・バーサ　ジェフリー・タンバー　他
配給：ワーナー・ブラザース
コピーライト：(C)2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
●『ハングオーバー！ 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』公式サイト（注：音が出ます）
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続いては、『セックス・アンド・ザ・シティ2』。ここ数年の、女性の支持率が最も高い映像シリーズといえば、『SATC』こと『セックス・アンド・ザ・シティ』でしょう。支持していない女性も、別に興味がないという男性も、『SATC』の名はご存知の場合が多いはず。それだけでも、このシリーズの「強さ」がわかるというものです。

もともとはシーズン6まで続いたテレビ・ドラマの『SATC』。ニューヨークを舞台に、ライターのキャリー、弁護士のミランダ、実業家のサマンサ、ギャラリーで働くシャーロットという4人の女性が、呆気にとられるほどセレブすぎる生活を送っているくせに、恋愛では悲惨な目に遭ってばかりという、「夢」と「リアリティ」が並行している物語です。

彼女たちのようにリッチで華やかな毎日を過ごしている女性は、めったにいないはず。でも、同時に、彼女たちのように恋愛の問題で一喜一憂する女性は、古今東西老若問わず、そこら中にいるわけです。だから、おのれとかけ離れたライフスタイルを持つキャラクターたちに、自分も同じだと共感できるという矛盾が成り立つわけですね。……この矛盾、はまると心地よいのです。

『セックス・アンド・ザ・シティ2』は、その名の通り、劇場版の第2弾。映画第1作目の『セックス・アンド・ザ・シティ』で晴れて結婚したキャリーが、「夫との関係に、恋人時代のようなときめきがなくなった」と悩んでいるところから、物語は始まります。

劇場版は2本とも、テレビ・シリーズ・ファンのための豪勢な特典映像という印象が強いので、過去のストーリーを知っていればそれだけ映画版を堪能することができますが、これまで『SATC』をご覧になったことがないかたに、「テレビの6シーズン、総て観て」と命じるのは酷でしょうから、せめて目黒シネマへ『セックス・アンド・ザ・シティ2』を観に行く前に、劇場版第1作目だけでもご覧になっておくことをお勧めします。劇場版第2弾は、第1弾の完全なる続編ですので。

メイン・キャラクター4名が、「恋に翻弄される」という日常に別れを告げて、新たに築いた家族に、生活に、それぞれ忙しくしているのが『セックス・アンド・ザ・シティ2』。でも、相変わらずリッチでゴージャスな彼女たちは、「中東のアブダビで気分転換をする」というセレブ旅行へ繰りだします。旅先で起こる騒動は、爆笑必至に非現実的。テレビからスクリーンへ飛びだした4人には、共感するのは難しくなったかもしれないけれど、どたばた喜劇の度合いはアップしています。

テレビ・シリーズ時代からのファンは、主人公たちの「今」を明るく見届けるために、『SATC』になじみの薄いかたは、「金に糸目をつけないどんちゃん騒ぎ」で終始笑わせてもらうために、『セックス・アンド・ザ・シティ2』を観て、ひとときだけでも現実を忘れてみるのはいかが？

▼『セックス・アンド・ザ・シティ2』作品情報
アメリカ/2010年/147分
原題：”SEX AND THE CITY 2″
監督：マイケル・パトリック・キング
出演：サラ・ジェシカ・パーカー　キム・キャトラル
シンシア・ニクソン　クリスティン・デイヴィス　他
配給：ワーナー・ブラザース
コピーライト：（C）2010 New Line Productions, Inc. and Home Box Office, Inc
●『セックス・アンド・ザ・シティ2』公式サイト（注：音が出ます）

▼目黒シネマ
住所：東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビル地下１階
TEL：03-3491-2557
●目黒シネマ・公式サイト
※入場料金、タイム・スケジュール等は、上記公式サイトをご参照ください。
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文：香ん乃
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