『SHORT HOPE』

  • 2010年03月01日更新

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男の子たちの会話に、つい耳を傾けてしまったとき、「男って、女とHすることしか考えてないわけ!?」と、呆れたり憤慨したりした経験のある女子は多いはず。まあ、いわゆる「ガールズ・トーク」は、男性からしてみれば、「女って、色恋の話だけで、何時間しゃべっていられるんだよ!」と呆気にとられる対象だと思うので、お互いさまではあるのだろうが。

『SHORT HOPE』でドライブをしている勇と真治も、「もし、この会話を女性に聴かれたら、幻滅されちゃうよ」という話題で盛りあがっている。彼らが花を咲かせているおしゃべりは、いわゆる手柄話。つまり、「どんな女と、どんなふうにヤッたか」という話題。勇も真治も、相当なイケメン。だから、テンションあげてこんな話をしているなんて、もったいないなぁ、とお節介なことを感じてしまう。イケメンにとって、シモネタは諸刃の剣。容姿に恵まれているからこそ、シモに走った時点で「もてる男」から除外されてしまうかもしれないのだから。

……などと、男の人たち特有の日常や生態をのぞき見させていただいて、「あーだ、こーだ」と勝手な感想を胸中でつぶやいたり、最初は呆れて見ていた彼らを、いつのまにか愛しくかつ可愛く感じてしまったりする ― 『SHORT HOPE』は、そんな作品。少なくとも、女子の私にとってはそう。男性は、どんな独り言を心中に落としながら、この映画をご覧になるのかな?

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演劇をしているジョーとみちるは、連れ立って銭湯へ赴く。「役者は常に、役になりきることが必要だ!」とみちるに説くジョーは、次回の公演でヤクザを演じることになっている。というわけで、日常生活でもヤクザになりきることにした彼は、銭湯でも「そのスジの人」を演じていた。ジョーの「なりきりヤクザ」からは、リアルな匂いがぷんぷん漂っていたのだろう。なぜなら、本物の「そのスジの人」が、ジョーに目をつけてきたのだから。

親が営む文房具店を手伝っている潤は、ギターを手放さないバンド・マン。潤の親友で美容師の竹田が、文房具店のレジにいる潤を、いつものように訪ねてきた。しかし、その表情と態度は、「いつも」とかけ離れている。竹田がうちあけたところによると、離れて暮らしている父親が会いにくるから憂鬱だ、ということ。今は美容師の潤だが、高校時代はプロを目指して、本格的に野球をプレイしていたのだが……。

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勇と真治、ジョーとみちる、潤と竹田 ― 3組6人の男たちが織り成す群像劇の『SHORT HOPE』。

“SHORT HOPE”という単語から真っ先に連想するのは、煙草の銘柄だろう。その煙草も、劇中では印象的なアイテムとして使われているが、まったく異なる意味の”SHORT HOPE”がこの映画には存在していて、作品に特別な個性をもたらす要素となっている。観始めたときは戸惑うかもしれないが、6人の男たちが関わる”SHORT HOPE”のありかたを理解するにつれて、おもしろさはもちろん、「登場人物たちへのいとおしさ」が増してくる作品である。一度だけでなく、繰り返して本作を味わえば、そのたびに新たな「納得」を発見できるに違いない。

フリーのカメラマンとしても活躍の郡司掛雅之監督は、本作が初の劇場公開映画である。また、俳優・大森南朋さんがカメオ出演しているので、スクリーンにはじっくりと目を凝らして。更に、本作の音声を担当したのは、『ルナの子供』(鈴木章浩監督作品)の音声担当で、当サイトでもトークショーを取材させていただいた北野雄二さんである。音声の妙にも神経を研ぎ澄まして、『SHORT HOPE』をご覧いただきたい。

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▼『SHORT HOPE』作品・公開情報
日本/2009年/90分
監督・脚本:郡司掛雅之
出演:須賀貴匡 永井努 日向丈 高橋宏治 片山享 松林慎司 他
配給:RDA PROJECT
コピーライト:作品:(C)2009 RDA PROJECT 宣伝材料:(C)2009 RDA PROJECT
『SHORT HOPE』公式サイト
※2010年2月27日より3月5日まで、渋谷シアターTSUTAYA(東京)にてレイトショー。当サイトでは、上映最終日3月5日に渋谷シアターTSUTAYAにて開催されるトークショーを、ライター・白玉が取材予定ですので、そのリポートも、どうぞお楽しみに!

文:香ん乃
改行

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