無為な恋愛をくり返す27歳・書店員~『すべては海になる』より

  • 2010年01月08日更新

すべては海になる

ファイル002: 夏樹(日本)

~『すべては海になる』より~

 

夏樹は過去を全てチャラにできるのか?

 

 

恋愛経験豊富でスタイル抜群の書店員、夏樹(佐藤江梨子)は、勤務先の書店で「愛のわからない人へ」という名のコーナーを担当している。並べる本のセンスや手書きポップが独創的なその空間には、いろんな人が引き寄せられるように集まってくる。

大手出版社の営業マン、鹿島慶太(要潤)もその棚を高く評価している。
そして挨拶でもするように、会えば夏樹を口説いている。
仕事では周りから認められ評価されている上、イケメンにも口説かれる。
傍からみると、なんとも羨ましい人生だ。

しかし書店員になったのは、ツラい過去がきっかけだった。
夏樹には、克服できないトラウマがある。
寂しさから無為な恋愛(援助交際など)を繰り返し、傷ついてばかりいたのだった。

夏樹はある事件をきっかけに、10歳年下の男子高生、光治(柳楽優弥)と出会う。
光治は学校でのイジメや家庭問題で死にたいと思いながら、本を読むことで心の拠り所を求めていた。
心に傷を負ったもの同士、二人の出会いは、互いの人生に希望を与えるのだろうか?

 

それにしても、夏樹は「ノー」と言えない女だ。
本に関する感想や意見はきちんと言えるのに、恋愛となると求められるがまま。
「SEX AND THE CITY」のサマンサのように、あっけらかんと割り切って楽しむぐらいだったらいいのだけど、見ていて痛々しいし、結局誰も救われない。
「言えない」「割り切れない」女の感情を、佐藤江梨子の困ったような不満顔が語る。
要潤とのベッドシーン、怖いぐらいシラけています…。

また、光治(柳楽優弥)の若さゆえ?のストレートすぎる気持ちも、大人の女気取りで受け止めてしまう。
いったい何によって夏樹は救われるのだろうか?

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07)の澄伽(すみか)役でもそうだったけど、佐藤江梨子は「勘違いがイタいけど、根はピュア」という女性を演じたらピカイチだと思います。たぶんピュアの部分の見せ方が絶妙なのだと思います。

本作は、「時効警察」や「やっぱり猫が好き」を手がけたTVディレクター、山田あかねによる初監督作品。援助交際をしていた女性の、その後の話などを描きたかったという。

☆1月23日(土)より新宿バルト9梅田ブルク7他全国ロードショー

▼作品情報
出演:佐藤江梨子、柳楽優弥、要潤、安藤サクラ、吉高由里子、渡辺真起子
日本/2009/119分
監督: 山田あかね
配給: 東京テアトル
公式サイトはこちら
コピーライト:(C)メディアミックス・ジャパン

文:おすず

▼佐藤江梨子関連DVD
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ [DVD]キューティーハニー [DVD]
改行

  • 2010年01月08日更新

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