三軒茶屋で一人、サガンの悲しみをかみしめることができるのか?

  • 2009年12月21日更新

DSC00828劇場おんな一人第一回

「たったひとりの観客になること」を狙って、映画館に出かける企画「劇場おんな一人」ひとりぼっちの劇場に流れる空気と作品についてレポートします。記念すべき第一回は三軒茶屋中央劇場からお送りいたします。                                                                

一人になるならこんな劇場。
1952年に建てられた老舗映画館、松竹系封切館から日活ロマンポルノ、そして現在ミニシアター系上映館へ。酸いも甘いもかみ分けたミヤコ蝶々のような映画館だ。三軒茶屋駅近く、世田谷通りから、サミットの前の横道に入るとそこが「三軒茶屋中央劇場」。シネコン華やかなりし、ご時世に、こんなにも頑なに昭和の匂いを漂わせる劇場があるなんて。平日の最終回なら私しかいないはず。そう、申し訳ないが、一発目から確実に劇場で一人になっちゃいますよ。
女一人でみる作品は「サガン―悲しみよこんにちは」。一人っきりでサガンの悲しさをかみしめる贅沢。劇場一人に期待が高まります。

午後8時15分前、劇場入り口。
DSC00826右から左へ「特選映画封切場」の堂々たる文字。そのうえ壁面には河童が踊っている。懐かしいのか、新しいのか咀嚼しきれない昭和のニューシネマパラダイスだ。入口に人は見えない。自信をもって自動券売機で最終回割引の1000円のチケット購入する。半券とともに渡されるのが「三軒茶屋中央ニュース」。作品のあらすじが書かれた黒一色刷りのチラシは10枚たまると1回無料で入れるという、常連にやさしいシステム。地道な営業努力に涙。

そして劇場へ、一人になれるのか?
時間があるので、ふらっと場内を歩くと、とにかくすべてが手書きだ。「タイムスケジュール」も「殿方手洗所」も「喫煙所」もうまいとは言えない味のある手書き。そこで、なんと!喫煙所でカップル発見。え、え、え?ここデートスポットなの~?

DSC00829一気に脱力。ここで第一回、「劇場おんな一人」終了~。

失意の中、劇場に。またもや敗北感。今回の観客は私を除いて7人。女3人、男2人にカップル1組。平日8時に河童の映画館に集う8人。カップル以外はすべて一人のお客さん。スプリングのきいていない褪せた色のシートはガタガタ、床はむき出しのコンクリート。なのに、流れてくるジャジーなクリスマスソングにほっとする。7時50分照明が落とされる。

一人?一人じゃない?
サガンー悲しみよこんにちは18歳で「悲しみよこんにちは」で鮮烈な作家デビューを果たした、フランソワーズ・サガンの一生を描く。地位もお金も名声も手に入れたサガンだが、常につきまとう孤独感。2度の結婚。生まれてくる息子。そんな濃密であるはずの人間関係もサガンの孤独を埋めることない。孤独が物語を包んでいる中、サガンがさまよう世界とは?
まったく見も知らない知らない人8人だけど、8人で同じ場所で見ていると「むしろ一人じゃない」とやたらポジティブになる。最後まで人のあったかさを感じながら、映画を終了。
帰りは裏の道を入ってルースターでタイ風焼きそばを。遅くまでやっているおひとり様でも入れるお店でまったりしましょう。

取材:白玉

改行

  • 2009年12月21日更新

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