サディスティックなバチ裁き、丁稚奉公マゾヒスティック―「春琴抄―お琴と佐助」

  • 2009年11月19日更新

春琴抄男の女の時代劇の第一回目は島津保次郎監督「春琴抄―お琴と佐助」です。1933年谷崎潤一郎によって発表されたこの作品。1935年には映画公開。話題作→映画化の流れは既に戦前からあったんですねぇ。   9歳で失明をした薬問屋の娘お琴と世話をする奉公人佐助の二人の物語。

目が見えないお琴は芸事に秀で、琴、三味線の名手。その音色を聴く佐助もまた三味線に魅せられ、一人稽古を始めるが、そのことがお琴の耳にも入ることになります。  

そこで、お琴の恐怖のセリフ「あたしが稽古つけてあげる、お師匠さんと呼び」
こわ~師匠イコール女王と言っても差し支えありません。お嬢様と使用人という雇用関係から、師匠と弟子の師弟関係へ。佐助、精神的絶対服従の世界へ行ってらっしゃーい。「お師匠さんと呼び」のセリフがむしろ上品で抑え気味なだけに、そこから転げるように加速する師匠サディスティックの恐怖をあおります。佐助への稽古中のお琴の表情必見です。確実アイドルNGの般若顔。  

稽古なのか折檻なのか区別がつかないほどのうなされ指導に耐える奉公人。ビジュアルはマゾヒスティックに豚か?の予想に反して「濡れた子犬」の佐助。あんだけ、いじめられてんのに、しっぽを振りながらついてくるところがツボ。女なら誰でも手を差し伸べたくなるような子犬の目をするのは歌える役者、高田浩吉。ちなみに、お孫さんは俳優大浦龍宇一。このおうちって、すごい子犬顔家系なのね~。  

お琴と佐助、傍からみたら、般若vs.子犬の関係。明らかに食って食われる関係性が、周囲のものを驚かせる、ある事実が発覚する。二人のもう一つの関係性が白日にさらされながらも、なおもその関係性を否定し、「女王様」であり続け、子犬にムチふるうお琴。もうこうなってくると、その女王っぷりにも後光がさしてくる。ひざまづいてもいいですか?   お琴は今年生誕100周年を迎える、田中絹代。当時はバリバリのアイドルスターだけど、このキレっぷりはアイドルを超えている。大女優田中絹代の底力見たり。二人のSM三味線稽古も見どころだが、最後に佐助の選んだ愛の形をかみしめて。  

☆     東京フィルメックス映画祭にて11/28(土)15:30上映  

▼作品情報日本/1935年/100分  *英語字幕付
出演 : 田中絹代、高田浩吉、斎藤達雄、藤野秀夫、葛城文子
改行

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