最新作品情報
『祭の馬』 ―3.11以降、タブーの存在となった馬たちの生を追ったドキュメンタリー
東日本大震災で津波に飲み込まれながら、奇跡的に生き延びた南相馬市の馬たちの姿を追ったドキュメンタリー『祭の馬』。本作は、松林要樹監督が震災後の福島県南相馬市江井地区を取材し2012年に発表した『相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶』の第二部に位置づけられる作品である。本作に登場するのは、震災後、世間に居場所を公表することを禁止された馬たち。タブー視された馬たちの運命を、松林監督はユーモアあふれる視点で切りとる。震災が過去のこととして語られようとしている現在、本作がドバイ国際映画祭アジア・アフリカ・ドキュメンタリー部門でグランプリを受賞したのは、非常に喜ばしいことだ。2013年12月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー、ほか全国順次公開 © 2013記録映画『祭の馬』製作委員会
『少女は自転車に乗って』―自転車で走る少女の姿にこめられた、サウジ女性の勇気と希望―
これは世界に一石を投じたと言ってもいい! 映画館の設置すら禁じられているサウジアラビアで、初の女性監督とともに奇跡の傑作が誕生した。本作は10歳のオテンバ娘が自転車を手に入れようと奮闘するシンプルなストーリー。少女の勝気な笑顔と活躍ぶりが印象的だ。しかしその芯には、重い因習を打破しようと果敢に戦うサウジ女性の苦悩と反骨精神が詰まっている。世界の国々で公開され、多数の映画賞を受賞し評判を呼んでいる、宝石のような輝きを放つ作品だ。12/14(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー。© 2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved.
『SAVE THE CLUB NOON』― 大阪のクラブ「NOON」摘発をめぐる、奇跡のライブドキュメンタリー
2012年4月、大阪中崎町の老舗クラブ「NOON」が風営法違反により摘発された。メジャー、インディーズを問わず、さまざまな音楽とカルチャーの発信源として、関西のクラブシーンを牽引してきた「NOON」。この場所に特別な思いを抱く人々の声は瞬く間に広がった。そして同年7月、「NOON」への感謝と救済を訴えるミュージシャン約100組が集結し、4日間にわたるイベント『SAVE THE NOON』が開催される。本作は、そのライブの模様と出演ミュージシャンたちの、貴重なインタビューを収めたドキュメンタリー作品だ。
(c)「SAVE THE CLUB NOON」製作委員会
中国インディペンデント映画祭2013-「世界に向けて描かれるべき」中国映画をチェックしよう
11月30日よりオーディトリウム渋谷で『中国インディペンデント映画祭』が開催。四回目を迎える今年はフィクション6本、ドキュメンタリー3本のほか特集上映を含む14本を一挙上映。中国のインディペンデント映画は劇場公開の映画とは異なり、検閲がないため、政府による表現の制約を受けない。今回の映画祭では検閲に通らない同性愛をテーマにした作品や中国と北朝鮮との国境の町を描く作品など、劇場公開では見ることのできないけれど「世界に向けて描かれるべき」作品揃い。インディペンデント映画にしか描けない生々しい“中国の今”をチェックしよう。会期中には張律監督を始め多くの監督によるQ&Aも予定され、映画作家達が世界に発信したい中国を直接聞くことができる。
ポーランド映画祭2013-今年も開催! スコリモフスキ監督監修、戦後ポーランド映画の傑作を一挙上映
昨年大盛況のうちに幕を閉じた「ポーランド映画祭2012」。今年もファンの熱い要望に応え、「ポーランド映画祭2013」が開催される。今回メインとなるのは、戦後ポーランド映画界を代表するアンジェイ・ワイダ監督の作品。50年代後半ポーランド派時代の代表作や、70年代後半、“連帯”を支持していた時期の社会派作品群など、多彩な7本が揃った。また、上記のワイダ映画を含め、60年代を中心とした作品を新たに10本、昨年人気の高かったアンコール作品7本、さらに60年代の人気児童アニメやジャパンプレミア作品を上映。そのラインナップの充実ぶりに注目が集まる。同映画祭は、11月30日(土)~12月13日(金)の2週間限定で、渋谷シアター・イメージフォーラムにて開催。
第14 回東京フィルメックス―映画人が特別な思いを抱く映画祭
11月23日より第14回東京フィルメックスがスタートする。園子温、行定勲、SABU、ロウ・イエ、アピチャートポン・ウィーラセータクン、ジャ・ジャンクー…カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭をはじめとする国際映画祭が今後必ずや注目するであろう映画作家を、世界に先駆けて、いち早く紹介し続けてきた映画祭、東京フィルメックス。今年もコンペティション部門10本をはじめ「映画でドキドキしたい人が見るべき」作品が目白押し。「ミニシアターに行こう。」流の楽しみ方をご紹介します。(作品画像は『罪の手ざわり』)
『ゆるせない、逢いたい』-デートレイプ。激しい憎しみと楽しかった思い出が複雑に入れ乱れる感情に向き合う。
17歳の高校生、はつ実は引っ越先で古紙回収業者の青年、隆太郎と偶然出会い、恋が芽生える。しかし、はつ実が母親に隆太郎の存在を隠したことから、隆太郎はふられたと誤解し、彼女を襲う。デートレイプ―友人や知人などによる強姦-の被害者になったはつ実は激しい憎しみを持ちながら、その一方で楽しかった隆太郎とのデートを思い出し、複雑な気持ちに苦しむ。解決することのない思いに向き合うためにはつ実はある決断をする。「誰も知らない」の柳楽優弥演ずる隆太郎のセリフがなくても“語る背中”に注目。第18回釜山国際映画祭出品作品。11月16日(土)より ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館 にて全国ロードショー ©S・D・P/2013「ゆるせない、逢いたい」
ブエノスアイレス恋愛事情―都会のひとごみで意中の人とどう出会う? リアル版『ウォーリーを探せ』
恋人と別れて何週間か過ぎた頃、ふと、こんな不安が頭をかすめる ―また誰かと出会うことができるのだろうか? 目的地までの距離がわからない時、その道のりがひどく遠く感じるように、誰かとの出会いを待つ時間というのは永く果てしない気がするものだ。
『ブエノスアイレス恋愛事情』は、人であふれかえる都市のなかで、交差し、接近し、けれど互いの存在に気がつかない男女を追った物語。観客は、彼らの共通の友人であるかのごとく、「この2人はうまくいくかもしれない」なんて恋のキューピッド役を買って出たい気持ちになるかもしれない。果たして、2人は出会うことができるのだろうか? 彼らが歩くブエノスアイレスの街の素晴らしき建築群とアートの数々もどうかお見逃しなく!© Rizoma Films 2011
「もうひとりの息子」-パレスチナ、イスラエル。18年前に湾岸戦争の最中、取り違えられた子どもと家族の物語。
イスラエル軍の兵役検査を受けたヨセフ。検査の結果、血液型が両親と一致しないことを母オリットは知らされる。ヨセフが産まれた病院での調査の結果、ヨセフの本当の両親はパレスチナ人であることが判明した。湾岸戦争の混乱の最中、子どもの取り違えが起こっていたのだった。イスラエル人の両親に育てられたパレスチナ人ヨセフ、パレスチナ人の両親のもとで成長したイスラエル人ヤシン。今日まで愛を注ぎ続けた子どもが敵対する壁の向こうの民族であることが分かった二つの家族を描く。昨年の東京国際映画祭のグランプリと監督賞をダブル受賞したヒューマンドラマ。シネスイッチ銀座にて絶賛公開中、ほか全国順次公開
『父の秘密』―喪失感と暴力に飲み込まれ、光を失った父娘がたどり着く場所は―
事故により、親ひとり子ひとりになった父娘。悲痛な記憶から立ち直るために移り住んだ新天地で、娘は壮絶ないじめを受け、父は自分の感情と闇に飲み込まれ、それぞれ孤独を募らせていく。そこは一筋の光も届かぬ世界だった……。メキシコの新たな才能、マイケル・フランコ監督が、暴力や哀しみを、澄み切ったまなざしでうつしとったヒューマンドラマ。美しい情景が相まって、傷みがボディブローのように効いてくる。第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ受賞作品。11月ユーロスペース他全国順次公開
Después de Lucía © 2012