最新作品情報

第 23 回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 - 多様なあり方を観る映画祭。共通なものを感じる映画祭

7月12日より東京国際レズビアン & ゲイ映画祭がスタート。セクシュアルマイノリティを題材にした13作品がユーロスペース、スパイラルホールにて上映される。映画祭がセレクトしたのは昨年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞し、「カイエ・デュ・シネマ」誌で年間 1 位に輝いた「湖の見知らぬ男」やサンダンス映画祭監督賞を獲得した「52 チューズデイ」など国際映画祭でも評価が高い、刺激的な作品がずらり。単に同性間の恋愛を描くにとどまらず、家族、社会、政治の中で生きる人間の多様な在り方を問う作品はセクシャルマイノリティだけではなく、映画を観る全ての人に問題を投げかけてくる。日本初上陸の作品が多く、いち早く話題作をチェックできるチャンスだ。会期中は監督のトークイベントも予定されている。ミニシアおすすめ作品とイベントをご紹介します。

『パークランド-ケネディ暗殺、真実の4日間』〜歴史的事件の裏側で、人生を狂わされた数多の人たち〜

1963年11月22日、テキサス州ダラスで大統領が三発の銃弾に倒れた。歴代最も愛されたであろうJ・Fケネディ大統領の暗殺。その日から容疑者オズワルドが埋葬されるまでの4日間を“裏側から”描いた真実の物語。大統領を敬愛する市民のひとりはその瞬間を8ミリカメラで撮影していた。受け入れ先の病院ではまだ若い医師が待機していた。捕らえられた容疑者オズワルドには、兄と母がいた。ケネディ暗殺後わずか4日間。その間に判明した事実や余波により起こった事柄は、彼らのその後の人生を変えるにあまりあるものだった。
6月28日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー
© 2013 Exclusive Media Entertainment, LLC

『オープン・グレイヴ-感染-』-記憶を失った6人は終末世界で生き残れるか!?

目を覚ますと、夥しい数の死体の山の中にいた-という冒頭のショッキングなシーンからぐいぐい引き込まれる。記憶喪失、凶暴化した人間の襲撃、終末世界など、ミステリー、パニック、ホラー映画の醍醐味が詰まった102分。『第9地区』で注目され、『エリジウム』『オールド・ボーイ』『マレフィセント』と話題作への出演が続くシャールト・コプリー主演。6月14日(土)よりヒューマントラスト渋谷他全国順次ロードショー。

『バチカンで逢いましょう』-ドイツ人のおばあちゃんが活躍する『ローマの休日』

80年代末、ミニシアター系で大ヒットした『バクダッド・カフェ』(’87)。心温まるストーリーと、主人公のふくよかな中年女性ジャスミンを覚えている人も多いだろう。そのジャスミンを演じたマリアンネ・ゼーゲブレヒトが、とてもチャーミングなおばあちゃんになって戻ってきた! 今度の舞台はローマ&バチカン。敬虔なクリスチャンだがちょっとはじけたドイツ人のオマ(おばあちゃん)の奮闘ぶりに注目。4/26(土)より新宿武蔵野館にてGWロードショー! 以下全国順次公開。© 2012 Sperl Productions GmbH, Arden Film GmbH, SevenPictures Film GmbH, Co-Produktionsgesellschaft “Oma in Roma” GmbH & Co. KG, licensed by Global Screen GmbH.

『アクト・オブ・キリング』 〜大量虐殺を実行者本人が嬉々として再現する、前代未聞のドキュメント〜

60年代、インドネシアで密かに行われた大虐殺。その被害者は100万人を超えたという。実行者たちは、今でもインドネシアの“英雄”として優雅に暮らし、マスコミによる被害者遺族たちへの取材は御法度だ。そこで米国出身の映像作家ジョシュアは、カメラを向ける先を“英雄”の殺人部隊のリーダーに切り替え、こうもちかけた。「あなたが行った虐殺を、もう一度カメラの前で演じてみませんか?」鼻高々な“英雄”たちは、その申し出を快諾。かくして前代未聞の手法で、人間のモラルを揺さぶる衝撃のドキュメンタリーの撮影が始まった。虐殺者の心理とは? そして撮影が進むにつれ、彼らに起こる変化とは? 監督はこの恐るべき企画にユーモアまでも盛り込み、破格の問題作を誕生させた。
4月12日(土)よりシアター・イメージフォーラム他全国順次公開。(c) Final Cut for Real Aps, Piraya Film AS and Novaya Zemlya LTD, 2012

『悪魔の起源 -ジン-』-巨匠トビー・フーパーが贈るアラブの妖魔の恐怖

ジン(DJINN)とは、変幻自在に姿かたちを変えることができる、イスラム世界における魔人や精霊のこと。そんなジンの怒りに触れた人間が襲われる、アラブを舞台にしたパラノーマル・スリラーだ。『悪魔のいけにえ』『ポルターガイスト』のトビー・フーパー監督最新作。2014年3月29日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開。

20年後の巨匠に会える映画祭―第26回東京学生映画祭

5月23日より北沢タウンホールにて第26回東京学生映画祭がスタート。東京近郊の学校、団体制作から寄せられ、最終選考に残った17作品(アニメーション部門9作品、実写部門8作品)を一挙公開する。東京学生映画祭は25年間の歴史の中で青山真治、中村義洋、園子温、熊澤尚人など国の内外を問わず目覚ましい活躍を続ける映画人を輩出している映画祭。これから芽吹く日本映画の才能をいち早く見つけることのできる絶好のチャンスだ。今年度は橋口 亮輔監督はじめ「秘密結社 鷹の爪」シリーズ作者FROGMAN監督、横浜 聡子監督 小林 啓一監督など多彩な映画人がゲスト審査員として登場する。ゲスト審査員と学生が議論を戦わせるトークセッションも見逃せない。

『GET ACTION!!』― 90年代で最も重要なガレージ・パンク・バンド、TEENGENERATEの短くも鮮烈な軌跡

90年代で最も重要なガレージ・パンク・バンドとして多くの人を熱狂させた、TEENGENERATE。その活動期間は1993〜96年の3年弱という短い期間ながら、年間80本にも及ぶ欧米ツアーと下北沢シェルターを中心とした国内での精力的なライブ、70曲を超える音源制作、そして世界10カ国からの楽曲リリースなどを通して、すさまじい熱とうねりを伴いながら世界中のファンを魅了した。そんな彼らの彼らの短くも鮮烈な足跡を追ったドキュメンタリー。2014年 3/15(土)~3/28(金)新宿シネマカリテにて 2 週間限定レイトショー!
Photo by Masao Nakagami(TARGET EARTH) 

『ランナウェイ・ブルース』 〜きっとどこかに実在する傷だらけの兄弟。若手俳優の秀逸な演技と、主人公の内面を表す劇中アニメの世界観〜

固い絆で結ばれた不遇な兄弟の物語。若手実力派のエミール・ハーシュとスティーブン・ドーフが主人公の兄弟を演じる。さらにダコタ・ファニングが陰のある恋人役で出演。 三人の繊細な演技がリアルで切ない。兄弟の「空想の産物」として劇中に流れる、キュートでシニカル なアニメーションも印象的だ。モーテルの寂しげな風景が彼らの哀しい宿命、そしてかすかな希望を際立たせる。ローマ国際映画祭では4冠を受賞、一粒の宝石をのぞき見たような秀作だ。3月15日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー ©2012 Motel Life LLC

「パラダイス3部作」-図々しい裸体とぞんざいな愛撫が同居する欲望の天国

3人のオーストラリア女性が経験したバカンスを描くウルリヒ・ザイドル監督『パラダイス三部作』。3つの物語は刺激的だ。50代の白人シングルマザーがアフリカ・ケニアで現地青年とのセックスにのめりこむ『パラダイス:愛』、イスラム教徒を夫に持つキリスト教徒が過剰なまでにイエス・キリストに愛情を向け、救いを求める『パラダイス:神』、ダイエット合宿で父親ほどの年の差のある男性に初めての恋心を抱く女子学生を描く『パラダイス:希望』。オーストリア、ウルリッヒ・ザイドル監督はフィクションをドキュメンタリーの手法で撮るため、架空の物語でありながら、登場人物から生々しく激しい欲望が浮かび上がらせる。2012年カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、2013年ベルリン国際映画祭と世界三大映画祭のコンペティション踏破した3部作。