最新作品情報
『ラサへの歩き方~祈りの2400km』― チベットの聖なる巡礼が教えてくれるシンプルで大切なこと
仏教信仰の深いチベットの村に暮らす人々が、聖地のラサとカイラス山を目指して往復2400キロの道のりを“五体投地(ごたいとうち)”という礼拝を行いながら旅する姿を描くロードムービー。監督・脚本を手掛けたのは『こころの湯』『胡同(フートン)のひまわり』のチャン・ヤン監督。一見ドキュメンタリーのようだが、プロットに基づいて撮影されたフィクションである。実在の村人たちに自身と重なる役柄を演じさせ、カメラを通してその暮らしぶりを忠実に映し出していく本作は、“フィクションを軸に描いた事実の記録”という側面をもつ作品だ。7月23日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
『マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』-サイモン・ペッグ主演。オトナの男女が「イタさ」を炸裂させながら繰り広げるラブ・コメディ。
7月16日(土)から8月19日(金)まで開催される「カリテ・ファンタスティック! シネマコレクション2016」。3回目の今年はバラエティに富む70本の作品を上映。今回はその中からイギリス映画『マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』を紹介したい。
サイモン・ペッグが主演・製作総指揮を務め、『ショーン・オブ・ザ・デッド』『宇宙人ポール』『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』のスタッフが参加したこの作品、面白くないわけがない。『007 スペクター』でMI6の幕僚長ビル・タナーを演じたロリー・キニアの暴走変態ぶりにも注目! 7月16日(土)より新宿シネマカリテにて公開。
『カンパイ! 世界が恋する日本酒』〜日本・英国・米国の魅力溢れるアウトサイダーと、彼らの挑戦〜
日本酒に携わる異色の人物たちを追ったドキュメンタリー。「南部美人」五代目蔵元の久慈浩介氏、京都の酒造で杜氏を務める英国人フィリップ・ハーパー氏、”日本酒伝道師”と呼ばれる米国ジャーナリストのジョン・ゴントナー氏の3人をメインに、日本酒に導かれた彼らの情熱的な人生と、現在の活躍を綴る。メガホンをとったのは、映画ジャーナリストでもあるL.A.在住の小西未来監督。
2016年7月9日(土)、シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
© 2015 WAGAMAMA MEDIA LLC.
『ブレイク・ビーターズ』-冷戦時代末期、東ドイツの若者たちはブレイクダンスに自由と希望を見た
1980年代末、東欧諸国の社会主義体制が次々と終わりを告げ、40年以上続いた東西冷戦は終結する。東西ドイツを隔てていたベルリンの壁の崩壊は、その象徴ともいえる出来事だった。その数年前、東ドイツに流入してブームを巻き起こしたのは、アメリカ発のブレイクダンスだ。本作の主役は、ブレイクダンスに魅せられたダンスチームの若者たち。チームは政府の監視・統制下に置かれるが、彼らはそうした状況に疑問を持つようになる。自由と希望を追い求める彼らの姿は、自分の好きなことに妥協しないことの素晴らしさを教えてくれるだろう。6月25日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー。
『ミスターダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』〜 音楽を愛するすべての人へ…JBドキュメントの決定版!〜
これぞJB! ファンクの帝王、ジェームス・ブラウンのドキュメンタリー映画、決定版。ミック・ジャガーが愛とリスペクトを込めてプロデュース。JBの知られざる素顔や全盛期のライブシーンなど、貴重な未公開映像満載。さらに関係者によるステージウラ話などのインタビューもあって、たっぷり楽しめる。
2016年6月18日より、角川シネマ新宿、渋谷アップリンク、吉祥寺オデヲンほか全国順次ロードショー
©2014 Mr. Dynamite L.L.C.
ディストラクション・ベイビーズ―柳楽優弥がまとう獣性。真利子哲也監督の描く暴力というエネルギー
身寄りのない将太(村上虹郎)と泰良(柳楽優弥)の兄弟は愛媛の港町で暮らしていた。喧嘩ばかりしている兄、泰良は近隣の少年たちから集団リンチをうけ、生まれた町から姿を消す。消えた泰良は松山で、強そうなやつを見かけては、執拗に喧嘩をしかけていた。圧倒的な強さを見せつけていた泰良をみて、高校生、北原裕也(菅田将暉)は二人で組んで暴れまわろうと持ち掛ける。大通りで無差別に人を殴り、騒ぎを起こした二人は大きな喧嘩を求めて、キャバクラの送迎車を奪う。偶然居合わせたキャバ嬢、那奈(小松菜奈)乗せ、暴力を求める旅が加速していく。柳楽優弥君の獣性を秘めた表情と体中を駆け巡る暴力に息をのむ一本。インディーズ映画界の巨匠、真利子哲也監督のメジャーデビュー作。
『若葉のころ』-セピア色の初恋が、あの映画の名曲とともに色づき始める
初恋の人から「会いたい」というメールが届いたら? そんな胸がときめく状況にひとひねり加えてみせるのは、これが長編初監督作となる台湾のジョウ・グータイ。『小さな恋のメロディ』の挿入歌でもあるビージーズ「若葉のころ」の旋律とともに、30年前の母親の初恋の思い出と、今を生きる娘の恋愛を交錯させながら描き出す。これまでMVを手掛けてきた監督の美しい映像とともに、甘く切ないトーリーは、一服の清涼剤のように爽やかな印象を残すだろう。5月28日(土)、シネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国順次公開。
『ランバート・アンド・スタンプ』― 挫折や確執までも生々しく映し出す、ザ・フー成功の立役者を追ったドキュメンタリー
1960〜70年代のブリティッシュビートを代表するバンド、ザ・フー。彼らを成功に導き絶大な影響を与えた2人の青年、キット・ランバートとクリス・スタンプにフォーカスした映画が『ランバート・アンド・スタンプ』だ。ザ・フーのマネージャーでありプロデューサーでもあった彼らが、バンドを成功に導く上でいかに重要な役割を果たしたのかを、豊富な貴重映像とクリス本人、バンドメンバーであるピート・タウンゼント、ロジャー・ダルトリーほか、当時の彼らと深い関わりをもつキーパーソンたちのインタビューを交えて描き出す。
© 2014 Magic Rabbit, LLC. All Rights Reserved.
© 2015 Layout and Design Sony Pictures Home Entertainment Inc. All Rights Reserved.
『君がくれたグッドライフ』― 尊厳死を決意した主人公が選んだ幸せな時間の使い方
不治の病を発症し、30代半ばで尊厳死を決意した男性と仲間たちとの最期の旅を描いたヒューマンドラマ。尊厳死を選択するまでの苦痛や葛藤ではなく、限りある人生をどう生きるかという前向きな問いに焦点を当て、きらめきに満ちた人生の瞬間を切り取っていく。主人公ハンネス役には『ヴィンセントは海へ行きたい』でドイツ映画賞主演男優賞を獲得したフロリアン・ダービト・フィッツ。世界各国の映画祭で賞賛を受けた本作は、ヨーロッパの美しい自然を背景にしたロードムービーとしての魅力にも溢れた作品だ。
©2014 Majestic Filmproduktion GmbH / ZDF
『ひそひそ星』〜アンドロイドが見つめる、絶滅種となった人々の姿…鬼才・園子温の、作家性むき出しの静かな意欲作〜
鬼才・園子温監督が、20代で書き留めていたオリジナルの物語を、今を映す作品にして、満を持して撮りあげたモノクロSF映画。3.11の傷あと濃い、福島県の双葉郡富岡町・浪江町、南相馬市でロケを敢行。人間が絶滅種となった世界の記憶と時間、距離への焦燥を、“ひそひそ”と声のトーンを落としたセリフで描く。園子温作品に欠かせぬ女優・神楽坂恵をメインに、ミュージシャンの遠藤賢司なども出演。
2016年5月14日(土)新宿シネマカリテほかロードショー ※大島新監督ドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』と同時期ロードショー
© SION PRODUCTION