『真夜中のパリでヒャッハー!』-超ハイテンションコメディ『世界の果てまでヒャッハー!』の前日譚!

  • 2017年01月20日更新

今年もバラエティに富んだ作品が揃った「未体験ゾーンの映画たち」。この「日本未公開作品ばかりが集結する劇場発信型映画祭」(劇場HPより)は、諸般の理由で劇場公開されない傑作・怪作を鑑賞できるまたとない機会だ。今回は数ある作品の中から、昨年日本でも話題を呼んだ大爆笑映画『世界の果てまでヒャッハー!』の前日譚、『真夜中のパリでヒャッハー!』を紹介したい。こちらも本国で大ヒットし、7週連続トップ10入りを果たしている。



残された動画から突拍子もない事実が発覚!
勤務先の社長から夜通し子守りを頼まれた、さえない部下のフランク。翌朝、社長は警察に呼び出される。帰宅すると家はメチャメチャに荒らされ、息子もフランクも行方不明になっていた。家に残されていたのは一台のハンディカメラ。そこに映っていたのは、なんともクレイジーな映像だった。






タブーも笑いに変えるハイテンションパワー
『世界の果て~』よりも先に作られた本作は、主演を兼ねるフィリップ・ラショーの監督デビュー作でもある。邦題通り“真夜中のパリ”を舞台にした正真正銘のフランス映画だが、この作品もフランスの雰囲気が全く味わえない迷作だ。イスラム教を冒涜するギャグにヒヤヒヤし、相変わらずの下品な描写に半ばあきれることも。いや、もしかしたら笑いを隠れ蓑にしてタブーに切り込むという意図があるのかも、というのは深読みしすぎか。

だが、製作者の優しさが滲むハッピーな結末に心が和むことも確か。真面目で、典型的な巻き込まれ型の主人公という王道パターンに加え、ノンストップギャグ、登場人物とともにハンディカメラの映像を観客が見るという二重構造など見応えは十分。さらに、『世界の果て~』への伏線や共通項もあり、それを探す楽しみもある(もちろん本作だけでも十分OK)。

不穏なニュースが続き、国内外での混乱が予想される2017年、「せめて映画の世界だけでも大笑いしたい!」という人にぜひおすすめしたい。



▼『真夜中のパリでヒャッハー!』作品・公開情報
2014年/フランス/84分
監督:ニコラス・ブナム、フィリップ・ラショー
脚本:ジュリアン・アルッティ、タレック・ブダリ、フィリップ、ラショー、ピエール・ラショー
出演:フィリップ・ラショー、アリス・ダヴィッド、ヴァンサン・ドゥサニア、タレック・ブダリ、ジェラール・ジュニョ、クロチルド・クロ
配給:「真夜中のパリでヒャッハー!」上映委員会
© Rudy Waks-Axel Films-Madame Films-Cinefrance 1888-Good Lap Production
1月21日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、順次シネ・リーブル梅田にて公開!!

「未体験ゾーンの映画たち2017」ヒューマントラストシネマ渋谷では1月7日から3月31日、シネ・リーブル梅田では1月21日から3月24日まで開催。スケジュールは各劇場HP参照。
●「未体験ゾーンの映画たち2017」公式HP

文:吉永くま

  • 2017年01月20日更新

トラックバックURL:https://mini-theater.com/2017/01/20/34385/trackback/