『タリウム少女の毒殺日記』倉持由香インタビュー-ロッテルダム国際映画祭で実感。女子高生の制服は日本の財産です。

  • 2013年07月18日更新

7月6日より公開中の『タリウム少女の毒殺日記』は2005年に実際に起こった「タリウムによる母親毒殺未遂事件」をモチーフした物語。「毒物投与によって変化する母親」や「友達にいじめられる自分」を創造主のような視線をもって冷静に観察し、容姿を含め自己をいかようにもコントロールできる世の中に存在する「どうにもコントロールのつかない感情」を浮き彫りにしていく本作は、ロッテルダム国際映画祭でバッシングと大絶賛のどちらも受ける賛否両論の問題作。『ミニシアターに行こう。』では主演の倉持由香さんに監督との出会い、ロッテルダム国際映画祭での反応、そしてグラビアアイドル倉持由香としての顔についてたっぷりうかがってきました。タリウム少女倉持由香とグラビアアイドル倉持由香両方の顔をお楽しみください。




ミクシィのアカウントに監督からメッセージが入っていました、ゴミ箱にいれていたらロッテルダムに行けませんでした。
-この作品に出演した経緯をお聞かせ下さい。
倉持由香(以下倉持):私が事務所を移籍する前にフリーの時に頂いたお話でした。連絡先がないのでミクシィのアカウントに監督から「主演で映画に出てみませんか」とメッセージが入っていたのです。最初はいたずらかと思っていましたが(笑)、よく読むと監督の熱心な思いがつづられていました。タリウム少女の事件は知っていたので、少し興味を持ち、お会いしてお話を伺うことになりました。あそこであのメッセージをゴミ箱に入れていたらロッテルダムに行けませんでしたね。


「タリウム少女の考えに共感してしまう自分が怖かった」という同年代のつぶやきもありました。
-「タリウム少女の毒殺日記」という作品は「コントロール」というのが一つのキーワードだと思います。神の目線で少女が自ら他人の人生をコントロールできるところまでコントロールしてみたいという側面がありますがそういう部分に共感する部分はありますか?
倉持:人間じゃないものになりたい、人間のフォーマットを飛び越えたい、書き変えたいっていう願望はあります。小さいときから夢見がちで、魔女になりたいとか天使になりたいとか、人間じゃないものに対する憧れがありました。神さまなんかいない、だったら私が全部コントロールして、私自身が神になってやるという気持ちを理解できる部分もあります。東京国際映画祭で作品を見てくださった、同世代の女子高生が「タリウム少女の考えに共感してしまう自分が怖かった」ということをつぶやいて、同年代にこういうことに共感をする子もいるのではないかと思いました。


女子高生の制服は日本の財産です
-この作品はロッテルダム国際映画祭の出品作です。倉持さん自身もロッテルダムに行かれたという事ですが、現地での反応はいかがでしたか。
倉持:ロッテルダムの上映では、最初の解剖のシーンから「オー、ノー」と声が聞こえてきていました。上映後の反応も「良くなかった」という人もいましたが、同時に「最高だった」と握手を求めてくる人がいて賛否両論。日本よりもロッテルダムの反応のほうがストレートですね。ロッテルダムでは観客投票があるのですが、その投票結果でも高い評価を頂いて、受け入れられている感じを実感することができました。ロッテルダムは観客との距離が近く、観客の方が感想を気軽に言ってくれて、「君は最高だった」と言っていただいたりしました。ありがたかったです。それからロッテルダムのDVDショップの店員の方「ジャパニーズクールアクトレスクラモチユカは今後ミツシマヒカリと並ぶだろう」とがつぶやいてくださっていました。今後は世界でも通用するような演技を勉強していきたいですね。


-ロッテルダムでは日本の女子高生のファッションが好評だったとうかがっていますが。
倉持:日本語で「日本から来ました、倉持由香です。」と紹介をして制服姿でクルっと一回転をしたら、観客から「おおおー!」「クールジャパン!」と大好評でした。制服ってすごいなと思いました。日本の財産ですね。





『チルノのパーフェクトさんすう教室』を踊ってみた動画は現代を象徴するシーン
-もう一つ、日本らしいというのでしょうか、作品中、倉持さんが『チルノのパーフェクトさんすう教室』を踊るシーンも見どころですよね。
倉持:恥ずかしかったです。ダンスや歌がまるっきりできないんです。ニコニコ動画の「踊ってみた」の動画を見て練習していてくださいと言われ、家で一人、自己練習しました。あのシーンは現代を象徴するシーンなのかなと思います。いじめのYou Tubeもそうですが、「踊ってみた」「歌ってみた」といった動画を素人の子がどんどんネットにあげる。ネットにあげて“自分を観察してもらいたがる一般の人”が多く存在する世の中になっていますよね。

『チルノのさんすう教室』を踊ってみた 倉持由香さんバージョン
みんな~チルノのさんすう教室が始まるよ~
キラキラ ダイヤモンド 輝く星のように
バスが出て 始めに三人乗りました
三本の針なんて ちんぷんかん


グラビア表現を研究している毎日。コンビニで立ち読みしながら、このポーズいいなとか、このシチュエーションいいなとか研究しています。
-映画という「他人から見られるお仕事」を通して、こういう自分を観てもらいたいというのはありますか。
倉持:メインのお仕事としてグラビアのお仕事をずっとやらせていただいて、グラビアに強い興味があります。身体の美しさが大好きです。グラビアという仕事を足がかりではなく、グラビア(をメインに)生きていこうと思い、グラビア表現を研究している毎日です。今日も空き時間にコンビニでプレイボーイを立ち読みしていました(笑)このポーズいいなとか、このシチュエーションいいなとか研究して。

-タリウム少女と倉持さんご自身ではかなり違う部分がありますね。
倉持:グラビアは集中して仕事が出来るので、そういうのめりこむところはタリウム少女と重なる部分があるかと思います。オタク気質です。タリウム少女は数式にしか興味がなかったけれど、私はグラビアにしか興味がない(笑)


昔からネットが好きでよく見ていたので、ネット住民の気持ちが分かりやすいというのがありますね。
-倉持さんのブログを拝見すると本当にその集中した思いが分かります。
倉持:ファンの方々が楽しめるブログを心がけています。つける画像によって観た方の満足度というのは確実に変わってきます。特にブログとツイッターは気合いをいれてメッセージを発信しています。ファンとのコミュニケーションですから。「倉持春の尻祭り」とか(笑)自分で ロゴを作ったりして楽しんでいます。昔からネットが好きでよく見ていたので、ネットの住民の気持ちが分かりやすいというのがありますね。(グラビア界では)負けないものを作っていかないと厳しいですから。





-観察日記を密かに公開しているタリウム少女のような裏の使い方とグラビアアイドルとして表の使い方に徹している倉持さんは対極的ですね。
倉持:ブログだけを見ている人が『タリウム少女の毒殺日記』を観たら驚かれるでしょうし、『タリウム少女の毒殺日記』をご覧になった方がブログを見ると「なんかイメージ違う」と言われたりしますね。そのギャップを驚き、楽しんでいただけたらと思います。










恒例の靴チェック
靴の撮影しますとお話をしたら「変な靴履いて来なくて良かった~」と倉持さん。キュートな夏らしいサンダルです。









▼『タリウム少女の毒殺日記』作品・上映情報
日本/2012/カラー/HD/82分
監督・脚本・編集:土屋 豊
出演:倉持由香、渡辺真起子、古舘寛治、Takahashi
特別出演:住田正幸(広島大学大学院理学研究科附属両生類研究施設・教授)、松岡孝明(湘南美容外科クリニック・副総括院長)、八代嘉美(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)、伊藤通朗(日本ラエリアンムーブメント・代表)
配給:アップリンク
7月6日(土)より渋谷アップリンクほか全国順次公開

文・編集:白玉 撮影 hal

  • 2013年07月18日更新

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