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2021年11月19日更新

広島を拠点に俳優・監督として活動する前田多美が、3ボーカル音楽ユニット”深夜兄弟”を主演にオール広島ロケで撮り上げた『犬ころたちの唄』が、現在（11月19日〜12月2日）、広島市の横川シネマにて先行公開中だ。それに続き、2022年2月19日（土）より池袋シネマ・ロサでの2週間単独上映も決定、来春には名古屋シネマスコーレ、新潟シネ・ウインドで上映されることも発表された。地方発信映画ながら、町田康、加藤ひさし、入江悠ほかそうそうたる文化人から支持やコメントが寄せられ、諏訪敦彦監督が劇場用パンフレットにレビューを執筆、前売券の特典であるオリジナルステッカーのイラストを大橋裕之が手がけるなど、本格的な全国順次公開を前にすでに盛り上がりをみせている本作。今後の動向にも要注目だ。

広島を拠点に活動する前田多美監督による
誰にでもあるここにしかない家族の物語

大阪出身で東京で俳優として活躍していた前田監督（写真）は、映画の撮影で訪れた広島に居心地の良さを感じ移住。新天地で監督経験も人間関係もない状態からキャリアをリスタートさせ、何も持たないが故の不器用さと初期衝動感を持ったまま、さまざまな人々の協力を得ながら長編２作目となる本作を完成させたという。脚本は役者・脚本家の梶田真悟、映画監督の村松正浩が構成・編集を務め、地元の人々が出演するなど、本作を取り巻く人々との物語や制作過程にも興味がわく。

主演を務めるのは、ミカカ、Jacky、のっこんの3人のボーカリストで結成され、広島を拠点に活躍する音楽ユニット”深夜兄弟”。個性も音楽性もバラバラな3人だが、ひとたび揃えば絶妙な親和性で聴き手を魅了する。そんな深夜兄弟が「もし本当に兄弟だったなら？」という着想から制作された『犬ころたちの唄』は、その土地に実在する人たちや風景と交流する、“どこにでもあるようなここにしかない”物語だ。

現在、地元の横川シネマで、新人監督によるインディペンデント作品としては異例の2週間ロードショーとして、スクリーンを彩っている本作。以下は、本作に寄せられた称賛コメントだ。

入江悠（映画監督）

どこか懐かしい匂いのするこの映画には、歌を口ずさみ、つまびかずにはいられないささやかな衝動と、誰かと集わないではいられない私たちの弱さが詰まっている。とても優しく、街で暮らす人の体温が伝わってくる映画でした。

吉岡睦雄（俳優）

この映画に完全にノックアウトされてしまった。メガトン級のパンチ力。3兄弟の歌声が耳から離れない。3兄弟の可笑しい右往左往が、恥ずかしい位に真っ直ぐな生き様が、下らない言い争いが、脳裏から離れない。どうやったらこんな映画が撮れるんだ？いつもニコニコしている前田多美。あの笑顔の裏には一体何が隠されてるんだ？大好きな映画。広島から世界に届け！

※以下、劇場用パンフレット掲載の対談より抜粋コメント

町田康（作家、ミュージシャン）

それぞれの苦しみに決着をつけなければいけないものの、半ば諦めのような気持ちで見届ける切なさ。

加藤ひさし（ザ・コレクターズ）

エネルギーが空回りしてても「言葉」を知ってるから力強く届いてくる。主人公たちが一番自分の言いたいことを、口下手で言えないから歌うっていうのがグッときた。

作品・公開情報

【STORY】街の小さな路地、ふと唄が聴こえる。祭囃子のようなアコースティックな響きは、木造家屋の古本屋上階から鳴っているようだ。山尾家三兄弟は音楽という共通点をもつものの、それに対する姿勢はてんでバラバラだ。全員30代半ばを過ぎ、それぞれの人生を歩んでいるが、時々、長男森男の部屋に集まっては唄う。兄弟仲はよくも悪くもないが、三人で唄う理由は約30年前に亡くした父の法事のため。呑んで唄う独自で唯一の家族行事だ。
ある日、森男の元に、生き別れた異母兄弟の葉月から手紙が届く。約30年音信不通だった遠い妹が三兄弟の縁に絡み始める。また、三男三樹の携帯に人生の選択を必要とする一報が。思いがけない便りを機に、弔いあげとなる父の三十三回忌の目前、山尾家の日々が動き出す。”犬ころ”たちの唄で紡ぐ兄弟の一歩の物語。

▼『犬ころたちの唄』
（2021年/91分/ステレオ/DCP）
出演：ミカカ、Jacky、のっこん（深夜兄弟）
前田多美、青山修三、梶田真悟、ウエノケンジ、こだまこずえほか
監督：前田多美　脚本：梶田真悟　構成・編集：村松正浩
撮影：西井昌哉　録音：松浦智也　整音：バッチグー・山本　音楽：久保モリソン　助監督：サトシコンドウサトシ　制作：大野郁代
製作・宣伝・配給：Donuts Films　©2021Donuts FIlms