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映画の街に50年ぶりに映画館 東京都青梅市に「シネマネコ」近日オープン
- 2021年05月03日更新
映画とネコの街、東京都青梅市に、およそ50年ぶりとなる映画館が誕生する。その名も「CINEMA NEKO(シネマネコ)」と名付けられたこの劇場は、かつて都立繊維試験場だった築85年を超える木造建築をリノベーション。外観や柱、梁はそのままに、ブックカフェを併設した63席のミニシアターに生まれ変わった。当初は5月2日(日)のオープン予定が、緊急事態宣言に伴って延期を余儀なくされたが、4月29日(木)には菊池康弘支配人(39)の対談イベントも行われ、街の新たな文化拠点をお披露目した。
【取材・撮影:藤井克郎】
地元に恩返しをしたい
シネマネコの菊池康弘支配人(左)と、 ユーロスペースの北條誠人支配人 |
青梅と言えば、商店街に手描きの映画看板がいくつも飾られている「映画の街」として知られてきたが、実は50年ほど前から映画館は1館もない。幼少期からこの町で育ち、舞台俳優を経て10年ほど前から飲食店を経営している菊池さんは、かなり以前から映画館が必要だなと感じていた。
「小さいころから映画が好きで、その影響で俳優の道に進んだのですが、何か地元に恩返しをしたいという気持ちが強かった。青梅にはエンターテインメント的な部分が少ないし、お芝居や映像といった若いころの経験を生かすということと、昔は3館あった映画館を復活させるということが自分の中で合致して、これだったらできるんじゃないかと思ったんです」とシネマネコ設立の思いを語る。
この日のイベントは、東京・渋谷の老舗ミニシアター「ユーロスペース」の北條誠人支配人と対談。北條さんが「木造の映画館ということで木の香りがいいですね。でもご苦労があったんじゃないかと思うんですが」と尋ねると、菊池さんは「木造建築で正規の劇場となると法律の壁が厳しくて、設計チームが審査機関と掛け合って、どうしたら映画館として営業できるかを相談しながら、一つ一つ障害を乗り越えました。途中、審査が通らないんじゃないかということもあったのですが、頼れるスタッフがいっぱいいて、何とか許可を得て完成することができました」と打ち明ける。
63席のシアターは最高水準の音響設備が整っている |
ちなみにシネマネコの館名は、青梅がネコの街でもあることに由来する。もともと青梅は織物工場が盛んでネズミが多く出たために、ネズミを退治するためにネコが重宝がられたという歴史があり、今も「西ノ猫町」と称した祭りが開かれるなどネコを大事にしている。
「最初は、うーん、という反応もありましたが、響きがいいかなということもあって名付けました。ネコはみんな好きだし、最近ではいい名前だね、と言ってくれます。それに覚えてもらいやすいかな」と、菊池さんはシネマネコの名前を大いに売り出していくつもりだ。
座席数は63席で、エントランス、シアターとも天井のない吹き抜けになっており、木造の梁がむき出しになった高い空間が特徴だ。ロビーにはブックカフェも併設されていて、映画を見るだけでなく、本を読みながらコーヒーなどを楽しめるようになっている。
オープンは非常事態宣言後、様子を見てということになるが、オープニングのプログラムは館名にちなみ、「ねこ映画まつり」を実施。スタジオジブリ制作のアニメーション『猫の恩返し』(2002/森田宏幸監督)のほか、トルコのドキュメンタリー『猫が教えてくれたこと』(2016/ジェイダ・トルン監督)、写真家の岩合光昭初監督作『猫とじいちゃん』(2019)、イギリスのベストセラーの映画化『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(2016/ロジャー・スポティスウッド監督)が用意されている。
「映画とネコの街」青梅には、映画のタイトルをしゃれたネコ仕様の公衆電話も |
▼CINEMA NEKO(シネマネコ)劇場情報
住所:東京都青梅市西分町3-123
JR青梅線 東青梅駅下車 徒歩7分
JR青梅線 青梅駅下車 徒歩15分
※提携の駐車場あり
問い合わせ先:メール kikuchi@cinema-neko.com
※シネマネコのオープン日や今後の予定は、決まり次第、公式SNSなどで告知予定。
●CINEMA NEKO 劇場公式サイト ●公式Twitter
藤井克郎(ふじい・かつろう) 1985年、フジ新聞社に入社。夕刊フジの後、産経新聞で映画を担当する。社会部次長、札幌支局長などを経て、2013年から文化部編集委員を務め、19年に退職。facebookに映画情報ページ「Withscreen.press」を開設し、同年12月にはwebサイト版「Withscreen.press」をオープン。ほか執筆は週刊朝日、赤旗新聞、劇場用映画パンフレット等。
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