4月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2019年04月01日更新

4月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが気になるのは、どの映画!?

LINE UP
4/5(金)公開 『ザ・プレイス 運命の交差点
4/19(金)公開『アガサ・クリスティー ねじれた家
4/19(金)公開『幸福なラザロ
4/27(土)公開『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード


『ザ・プレイス 運命の交差点』

欲望を叶えるための代償が、他人の人生だったら……

映画『ザ・プレイス』メイン画像『おとなの事情』(2016)がイタリアで大ヒットを記録したパオロ・ジェノヴェーゼ監督の最新作。街角のカフェ「ザ・プレイス」に居続ける男の元には、悩みを抱えた人々がひっきりなしに訪れる。男はどんな願いも叶える不思議な力の持ち主だが、望みを叶えたければ、男が告げた行為を遂行しなくてはならない。そしてその行為には、他人の人生を犠牲にするという代償がつきまとう。交差してゆく相談者たちの運命。その先にあるものは……? アメリカの大ヒットドラマ『The Booth〜欲望を喰う男』を豪華なイタリア俳優陣でリメイクした本作は、『おとなの事情』同様にワンシチュエーションで繰り広げられる巧みな会話劇。物語は多くの謎に包まれたまま進行し、真相をどう捉えるかは観客に委ねられる。不可思議な余韻に包まれたまま、心をえぐられたような何とも言えない後味の作品だ。(min)

2019年4月5日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2019年/イタリア/101分)原題:The Place 監督・脚本・原案:パオロ・ジェノヴェーゼ 出演:ヴァレリオ・マスタンドレア、マルコ・ジャッリーニ、アルバ・ロルヴァケル ほか 配給:ミモザフィルムズ © 2017 Medusa Film SpA .


『アガサ・クリスティー ねじれた家』

大富豪殺人事件の驚くべき真相とは?

映画『ねじれた家』メイン画像ミステリーの女王A.クリスティーが自ら最高傑作と認める同名作品の初映画化。『サラの鍵』のジル・パケ=ブレネール監督作。私立探偵のチャールズは、元恋人のソフィアから彼女の祖父の大富豪レオニデスの毒殺事件の捜査を依頼される。豪奢な邸宅には、前妻の姉、美しい後妻、映画製作の資金がほしい長男、会社経営に悩む次男などが住んでおり、皆が動機を持っていた。捜査は進むと思われたが、第2の殺人事件が起こる。一族の会話から浮かび上がるのは、嫉妬や欲にまみれた“ねじれた”家族の心。ラストは名探偵が関係者を集めて推理を披露……ではなく、想像もつかない結末に。その展開に愕然とする。(吉永くま)

2019年4月19日(金)より全国公開 公式サイト 予告編動画
(2017年/イギリス/115分)原題:Crooked House 監督:ジル・パケ=ブレネール 出演:グレン・クローズ、テレンス・スタンプ、マックス・アイアンズ、ステファニー・マティーニほか 配給:KADOKAWA © 2017 Crooked House Productions Ltd.


『幸福なラザロ』

聖人ラザロの無垢な魂に、あなたは何を感じるか?

映画『幸福なラザロ』メイン画像キリスト教の聖人ラザロと実際の詐欺事件から着想し、第71回カンヌ国際映画祭で脚本賞に輝いたイタリア発の寓話的ミステリー。北米公開時には、本作に感動したマーティン・スコセッシがプロデューサーに名乗りを挙げた注目作だ。監督は『夏をゆく人々』で注目された新鋭女性監督、アリーチェ・ロルヴァケル。社会と隔絶した村で、侯爵夫人にこき使われていた青年ラザロと村人たち。しかし、小作制度はすでに廃止されていたのだった。事実を隠蔽していた侯爵夫人だが、夫人の息子が起こした誘拐騒動をきっかけに村人たちは真実を知り、外の世界へ出ていく……。どこまでも純粋なラザロが、はじめは愚鈍な変わり者に見える。しかし、彼の無垢な魂に触れているうちに、ラザロの見え方が愚者から聖人へと変化していく。人々の中にある無意識の偏見や価値観を、自然と浮き彫りにしてしまうロルヴァケル監督。その手腕に思わず拍手! ラザロ役の新星アドリアーノ・タルディオーロはまさにハマり役。歩きながらズッコケるシーンなど、いちいち愛おしい。(min)

2019年4月19日(金)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2018年/イタリア/127分)原題:Lazzaro Felice 英題:Happy As Lazzaro 監督・脚本:アリーチェ・ロルヴァケル 出演:アドリアーノ・タルディオーロ、アニェーゼ・グラツィアーニ、アルバ・ロルヴァケル ほか 配給:キノフィルムズ/木下グループ © 2018 tempesta srl ・ Amka Films Productions・ Ad Vitam Production ・ KNM ・ Pola Pandora RSI ・ Radiotelevisione svizzera・ Arte France Cinema ・ ZDF/ARTE


『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード

貴重映像で辿る“ジャズピアノの詩人”ビル・エヴァンスの音楽人生

映画『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』メイン画像“ジャズピアノの詩人”、ビル・エヴァンスの生誕90周年を記念したドキュメンタリー。今なお多くのファンを魅了する彼の生涯を、貴重な証言・映像・写真の記録で辿る。「時間をかけた自殺」と呼ばれる51年の人生には、薬物依存、信頼していたベーシストのスコット・ラファロの事故死、内縁の妻と兄の自殺といったスキャンダラスな出来事が付きまとったが、本作はその裏に隠された真実に迫るとともに、音楽を始めた幼少期の愛らしい姿や、才能を開花させたマイルス・デイヴィスとの出会いなどの輝かしい表情にもフォーカスする。エヴァンス本人の肉声、縁の深いアーティストや肉親たちの証言といった貴重な映像のなか、何より強烈な印象を残すのは、エヴァンスの執念とも呼ぶべき音楽への情熱だ。鍵盤と一体化しそうなほど首を傾けて演奏する姿は、音楽にのめり込んだ彼の人生そのもののように見えた。(min)

2019年4月27日(土)より全国順次公開 公式サイト 予告編動画
(2015年/アメリカ/84分)原題:Time Remembered: Life & Music of Bill Evans 監督:ブルース・スピーゲル 字幕:行方均 出演:ポール・モチアン、ジャック・ディジョネット、ジョー・ラバーベラ、チャック・イスラエルズ、ゲイリー・ピーコック、マーク・ジョンソン、トニー・ベネット、ジム・ホール、ジョン・ヘンドリックス ほか 配給:オンリー・ハーツ © 2015 Bruce Spiegel

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