『ディリリとパリの時間旅行』- ベル・エポックのパリで少女が誘拐事件の謎に挑む

  • 2019年08月19日更新

『キリクと魔女』などを手掛けたミッシェル・オスロ監督作品。ベル・エポックの華やかな時代がアニメーションで見事に再現され、心浮き立つタイムトリップへといざなってくれる。主人公の少女ディリリとさまざまな名所を巡り、当時の芸術家など名立たる著名人と触れ合う贅沢な時間を堪能できるだろう。音楽は『ベティ・ブルー/愛と情熱の日々』や『イングリッシュ・ペイシェント』のガブリエル・ヤレドが担当。

名所を巡りながら事件を解決!?

ニューカレドニアの少女ディリリは、どうしてもその目で外国を見たいと思い、ひそかに船に乗ってパリにやってくる。折しも街では少女誘拐事件の多発中。彼女は友人となったオレルとともに事件の謎を解いていく。エッフェル塔、オペラ座、ヴァンドーム広場など美しいパリが描かれ、事件解決のためにこの時代に活躍した多くの天才たちがディリリたちに協力する。果たして2人は少女たちを助けられるのか?

華麗なる古き良き時代へタイムトリップ

ディリリが出会うのは、ピカソ、マティス、モネ、ロートレック、サティ、サラ・ベルナールなど稀代の芸術家をはじめとした誰もが知る人物たち。さらに、ロートレックの作品のモデルとなった踊り子ラ・グーリュや黒人芸人のショコラまでが命を吹き込まれている。優雅な時代の花の都。この魅惑の世界に瞬く間に心が奪われる。

本作では背景に加工された写真を使用。色彩豊かなアニメーションとの融合により、独特の雰囲気が醸し出され、平面的に描かれた人物の魅力を際立たせている。

パリの空の下、逞しく勇敢なヒロインが誕生

光があれば、そこには闇もある。ここでは輝かしい時代への憧憬だけでなく、誘拐事件や貧困、人種差別や性差別といった当時の負の部分も描かれる。驚くことに、これらの社会問題は100年経った今もなお存在し続けている。こうした状況下でさまざまな経験をする好奇心旺盛なディリリ。まだ幼いが賢く勇敢な彼女の姿は、その先の未来に新たな女性像を築くのではないかと思わせてくれる。

 

▼『ディリリとパリの時間旅行』作品・公開情報
(2018年/フランス・ベルギー・ドイツ/94分)
原題:Dilili a Paris
監督:ミッシェル・オスロ
音楽:ガブリエル・ヤレド
声の出演:プリュネル・シャルル=アンブロン、エンゾ・ラツィト、ナタリー・デセイほか
日本語吹き替え:新津ちせ、斎藤工 ほか
日本語字幕:手束紀子
配給:チャイルド・フィルム
後援:フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
© 2018 NORD-OUEST FILMS – STUDIO O – ARTE FRANCE CINEMA – MARS FILMS – WILD BUNCH – MAC GUFF LIGNE – ARTEMIS PRODUCTIONS – SENATOR FILM PRODUKTION

『ディリリとパリの時間旅行』公式サイト

※2019年8月24日(土)、EBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショー

文:吉永くま

  • 2019年08月19日更新

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