『Three☆points(スリー☆ポイント)』初日舞台挨拶-超インディーズ宣言をした監督とその世界に魅了された俳優が熱く語る

  • 2011年05月22日更新

沖縄、京都、東京の3つの場所で、山本政志監督が選んだ“自由に、なににも縛られないボーダーレスな人々”を描く『Three☆points」(スリー☆ポイント)』プロジェクト。5月14日渋谷ユーロスペースにて、山本政志監督を始め総勢9名の出演者、スタッフによる公開初日舞台挨拶が行われた。立ち見があふれ、入りきれないほどの会場で登壇者は初日を迎える喜びを語った。今回は山本政志監督、蒼井そらさん、村上淳さん、渡辺大知さんへの単独インタビューも掲載。超インディーズ宣言をした山本政志監督とその世界に魅了された3人の俳優に熱く『Three☆points(スリー☆ポイント)』を語っていただきました。

『Three☆points(スリー☆ポイント)』初日舞台挨拶

5月14日、渋谷ユーロスペースにて立ち見が入りきらない状況の中、『Three☆points(スリー☆ポイント)』初日舞台挨拶が行われた。山本政志監督、蒼井そらさん、村上淳さん、渡辺大地さんを始め総勢9人の登壇者が集結。挨拶の最後には登壇者と観客の『スリー☆ポイント』コールでにぎやかに締めくくられた。

  

山本政志監督コメント:
このスリーポイントはもう大体一年ぐらい前、急に思いついて急に始めた映画で、自分としてはかなり自由にやれて非常に面白い経験をしました。こうやってようやく東京で上映できるのでうれしく思います。本当にありがとうございます。楽しんでいってください。

 『Three☆points(スリー☆ポイント)』インタビュー
これは山本政志にしかできないんですよ。びっくりする映画ですけど。でも映画って自由なんですよ。(村上淳)
-Three☆points(スリー☆ポイント)』の見どころをお聞かせください
山本政志監督(以下山本):人間がみんな面白くなっているはずです。この映画のように楽に生きりゃあパワーがつくんじゃないかとか、落ち込んでる人でもちょっと突破口あるかもしれないとか、いろんな視点から思ってもらえれば幸せかな。物語がどうこうっていうわけでもないし、難しくは撮ってないんで、楽しみながら見てもらえればと思います。

村上淳(以下村上):難しくは撮ってないって監督おっしゃいましたけど、誰しもできることではなくて、これは山本政志にしかできないんですよ。行き当たりばったりで撮ってるとは思いますが、それが(他の人で)成立するかといったらそうでもない。見どころは監督が言っていた映っている人間、人の顔ですね。スクリーンは、やっぱり人の顔が似合うんですよ。艶だったり、ラインだったり、皺だったり。びっくりする映画ですけど。でも映画って自由なんですよ。

 ―沖縄、京都、東京の三つを異なったスタイルでつなげるっていうことの自由さに驚かされます。 

山本:みんなね、無駄なこと考えるんだよ。共通のテーマを決めて、とか小道具をこう揃えたりとか。

村上:監督はこうは言っても、ものすごく全部こだわってて、何かしらの線でつながってる、一貫性のあるものです。現場でも繊細な演出していましたよ。先ほど、渡辺大地君が舞台挨拶でも言っていたけれど、映画と向き合った時の初期衝動で(映画作ることを)今やったっていうのはすごいですよね、これだけのキャリアのある方が。だから僕がこの話に乗ったのは、(産業としての映画を見直して、情熱で映画を撮る)監督の超インディーズ宣言があります。インディーズ宣言じゃないんですよ、超なんですよ。超インディーズ宣言するとああなるんです。

映ってる人だけじゃなくてスタッフも見えてくるような映画の初期衝動が詰まった映画(渡辺大地)
渡辺大知(以下渡辺):この映画は、映画を観た人が映画を作りたいって思えるような映画だと思いました。監督が映画を作ろうぜって仲間を集めて映画を作る時の(原点を)僕は感じて。さっき(村上さんが)人間っておっしゃってたんですけど、映ってる人だけじゃなくて、カメラマンの人とか小道具の人とかも見えてくるような(映画の)初期衝動が詰まった映画なんです。今、簡単に映画が作れる中で、映画づくりの原点、映画作ろうぜっていうエネルギーみたいなのが出ているところが見どころだと思います。映画もそうだし音楽とかもそうやと思うんですけど、お金で雇ったりすることじゃなくて、結局は人と人が作り出すものなんですよね。

(渋谷の)スクランブルで泣きそうになっちゃって。一番怒って帰ったってとこ(笑)(蒼井そら)

蒼井そら(以下蒼井):山本さんとは『聴かれた女』で一緒にお仕事をさせていただいているんですけど、その時、山本さんの色であるゲリラ撮影はすごく少なかったんです。今回、東京編で人に見られながら冷静を保って芝居をするっていうことが初めてだったので、ゲリラ撮影が私の中ではすごく不安でした。撮影の時はこれどういう画になるんだろうって不安だったシーンを映画で見たときに、ああこんなにいい画になるんだって。あの時頑張った感じはこうなるんだって。

村上:あの(渋谷の)スクランブルのところなんか、かっこいいよね。

蒼井:スクランブルもうびっくりしました。泣きそうになっちゃって。ただあそこが一番怒って帰ったってとこ(笑)「もう無理ですー」って言って。

山本:後ろにバスが止まってたんだよね。それで、もう絶対無理絶対無理って言って、村淳からカメラ振ったら睨んでた。

村上:東京って、あれだけ異様な二人が立ってて、もちろんカメラもいるわけでしょ、それでも誰一人見ないんだよね。

蒼井:わかります。いや一応見られてるんですけど…。

村上:歩く速度を止めたりしないじゃないですか。東京の距離感。だからまあ東京編ってのはあそこに集約されてますよ。

蒼井:あの時にあんな感情になったんですけど、映像で見るとなんてすばらしいんだって思って。この映画に参加できてうれしいなって思ったシーンでした。そういうシーンも含め、自分の中では初めてのものが多くて、そういう(今までにない)ところを見て欲しいです。東京編のゲリラ以外に京都編も沖縄編もそうですけど、本当に人間が出てるんだなということを感じました。

―蒼井さんが最初はすごく弱々しかったのに、どんどん強くなっていきますね。
蒼井:そうですね。いつの間にか牛耳ってる(笑)。いる事が怖くて怖くて仕方ない女の子なのに、いつから強くなったんだ?みたいなその変わり目も面白さの一つだなと思います。

面白いやつと会うとなんかその人の良さを引き出そうとしたくなる。やっぱり人間ぽいやつって楽しい。(山本政志監督
―沖縄編は『熊楠KUMAGUSU』を彷彿させる映像が出てきますが意図的にあの場所を選ばれたのですか?
山本:いや、まったく意図的じゃないです。何にも考えてない。行ったらクマグス的だなあと思ったからそういう風景になっちゃったけど。自分が持ってるものが出ちゃうからそうなるんだよね。

-沖縄編に出られている方々もその場で選ばれているんですか?
山本:面白いやつと会うとなんかその人の良さを引き出そうとしたくなる。素人の面白さって結構あるから楽しいんだよね。金武町での基地問題とかなんとかっていう形で頭で考えると人間が見えなくなっちゃう。基地に来ているアメリカ人兵士だって田舎から出てきてさ、金もなくて色々あって。そうやって話を聞けば、色眼鏡でだれも見なくなる。

―京都編の柴田監督は9日間でキャスティングから撮影まで全てを行ったと伺ったのですが。
村上:内容も考えたの?向こうで?

山本:内容もそう。前日に、ヒップホップというテーマを剛(柴田剛ラインプロデューサー)に電話して京都に行ったから。「Youtubeで見たこいつに会いたい。明日会えるようにしといて」ってところから始まった。まあ京都と沖縄はその場で決めていく形で、東京は作りこんだ形かな。人によっては、京都編がいいとか、いや東京編だけがいいとか、結構みんな意見が違うから、それが結構面白いよね。

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取材・編集・文:白玉 スチール撮影:鈴木友里

  • 2011年05月22日更新

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