『ノーザン・ソウル』— 最盛期の“ノーザン・ソウル”シーンがスクリーンに蘇る、苦くてアツくてエモい青春映画!

  • 2019年02月08日更新

スクリーンに蘇る最盛期の“ノーザン・ソウル”シーンの熱狂

映画『ノーザン・ソウル』メイン画像映画『ノーザン・ソウル』が待望の日本公開を迎える。“ノーザン・ソウル”とは、1960年代にイングランド北部の労働者階級の若者から誕生したユース・カルチャー(若者文化)であり、ロンドンを中心に盛り上がりをみせたモッズ・カルチャーを引き継ぐ形で、マンチェスター周辺のクラブで醸成された音楽ムーヴメントだ。後のレイヴ・カルチャーの先駆けともいわれるこのシーンでは、DJたちがこぞって「レア盤」のソウル・ミュージックをかけまくり、足下がすべりやすいようにわざとパウダーが撒かれたダンスフロアで、オーディエンスたちが動きやすいバギーパンツを履いてアクロバティックなステップに興じる。先行き不透明な社会と日常の鬱屈をぶつけるような、激しいエネルギーのうねりがそこにはあった。

映画『ノーザン・ソウル』サブ画像5本作は、“ノーザン・ソウル”最盛期である70年代を舞台に、このシーンに魅了された青年たちの葛藤と成長を描く、ほろ苦くもとびきりアツい青春映画だ。メガホンを執ったのは、ユース・カルチャーの描写に定評がある人気ファッション・フォトグラファー、エレイン・コンスタンティン。彼女自身が当時リアルに経験した“ノーザン・ソウル”の熱狂を、初監督作品ながら生々しくスクリーンに投影している。本国イギリスでは2014年に公開されたが、日本では“ノーザン・ソウル”というカルチャーがそこまでメジャーではないためか、即時公開には至らなかった。しかし、2017年に阿佐ヶ谷・高円寺を拠点に活動する自主上映団体「After School Cinema Club」が限定的に上映イベント(ほぼ丸ごと未公開!傑作だらけの合同上映会)を開催したことをきっかけに、5年の歳月を経てSPACE SHOWER FILMS配給作品として晴れて日本でも公開へと漕ぎ着けた。

イケてない男子高校生ジョンが出会った新しい世界

映画『ノーザン・ソウル』サブ画像2物語の舞台は、経済の低迷が続く1974 年、イングランド北部の町バーンズワース。学校にも家庭にも居場所を見つけられない高校生のジョン(エリオット・ ジェームズ・ラングリッジ)は、退屈な毎日を過ごしている。唯一の楽しみは、優しい祖父と過ごす時間と、密かに恋心を抱くキュートな黒人看護師に会えるバス通学のわずかな時間だけ。そんなある日、両親に勧められ渋々行ったユースクラブで、ソウル・ミュージックに合わせて激しく踊る青年マット(ジョシュ・ホ ワイトハウス)に出会う。初めて聴く音楽と、ブルース・リーのアクションのような激しいステップ。ケンカに巻き込まれたマットを救ったことをきっかけに、2人は親友になる。マットが傾倒する“ノーザン・ソウル”に魅了され、新たな世界を知ったジョンは、ついに高校を退学し家も飛び出してしまう。一緒に暮らし始めた2人は、コンビの“ノーザン・ソウル” DJ として活動を始め、トップDJになるためにレアなレコードを求めてアメリカに行くことを夢見るようになるが……。

“ノーザン・ソウル”フォロワーも、そうでない人も楽しめる王道の青春映画

映画『ノーザン・ソウル』サブ画像1英国ユース・カルチャーやクラブシーンを描いた傑作映画はこれまでにも数多くあるが、謎が多いとされる“ノーザン・ソウル”シーンを音楽、ダンス、ファッション、ドラッグカルチャーまで詳細に描いたところが、本作の大きな見どころだ。「誰も持っていない超イケてるレコード」を掘り起こしてフロアをいかに熱くさせるかが“ノーザン・ソウル”DJの勝負どころ&ステータスであるため、アメリカ帰りの水兵から7インチのソウル・レコードをとりあえず箱買いする姿や、その中に、大物DJがカバーアップ(レコードの曲名やアーティスト名を伏せるために、レコード盤のラベルをわざと剥がしたり、隠したりすること)した音源を見つけた時の驚喜っぷりなど、観ているだけでワクワクしてしまう。とはいえ、マニアだけが楽しめるオタク映画には決して留まっていないところも本作の魅力だ。イケてない高校生のジョンが、自らが輝ける世界の扉を開け、身も心もどっぷりハマって不器用に成長していく姿は、まさに王道の青春映画であり、多くの人の共感を得るに違いない。音楽、ダンス、初恋、親との確執、親友とのケンカ、仲間の死……そんな普遍的なキーワードが散りばめられたエモーショナルな青春映画の傑作として、本作の日本公開を心より祝いたい。

 

>>映画『ノーザン・ソウル』予告編映像<<

 

▼『ノーザン・ソウル』作品・公開情報
映画『ノーザン・ソウル』メインビジュアル(2014年/イギリス/102分/R-15+)
原題:NORTHERN SOUL
監督・脚本:エレイン・コンスタンティン
出演:エリオット・ジェームズ・ラングリッジ、ジョシュ・ホワイトハウス、スティーブ・クーガン ほか
制作総指揮:デビー・グレイ
撮影:サイモン・ティンダール
編集:スティーブン・ハーレン
美術:ロビン・ブラウン
日本語字幕:升本直子 字幕監修:NIGHT FOX CLUB
協力:After School Cinema Club 宣伝協力:VALERIA
配給:SPACE SHOWER FILMS
Film © 2014 Stubborn Heart Films ( Heart Of Soul Productions) Limited All Rights Reserved.

『ノーザン・ソウル』公式サイト

※2019年2月9日(土)より東京・新宿シネマカリテ、兵庫・神戸・元町映画館 ほか全国順次公開

文:min

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