『恋の罪』小林竜樹さんインタビュー -鬼才・園子温監督作品で映画デビューした期待のイケメン俳優がみせる、不思議な存在感に大注目!

  • 2011年11月12日更新

いま、世界が最も注目する鬼才・園子温監督の最新作『恋の罪』がいよいよ公開される。1990年代に渋谷区円山町で起きた実際の殺人事件にインスパイアされたというオリジナル・ストーリーは、女刑事・和子(水野美紀)、大学のエリート助教授・美津子(冨樫真)、人気小説家を夫に持つ清楚で献身的な主婦・いずみ(神楽坂恵)という立場の違う3人の女たちの愛と性の地獄を見事に描き切った極上のエンターテインメント作品。女優たちの壮絶な演技バトルが繰り広げられるなか、美津子といずみを結びつける重要な役どころであるカオルを演じるのが、本作が映画初出演となる小林竜樹(こばやし・りゅうじゅ)さん。渋谷という街で風俗店を経営しながら飄々と生きる若者を演じ、独特の存在感をみせたミニシア大注目の新人俳優、小林さんのインタビューに伺ってきました!



カオルと自分自身がリンクする部分も凄く感じました。
- 映画初出演、おめでとうございます。カオル役に決まったときの率直な感想を教えてください。
小林竜樹(以下、小林): ありがとうございます。以前から園子温監督の作品は何本も観ていたので、出演が決まったときは本当に嬉しかったですし、同時に緊張もしました。難しい役だなという印象はありましたが、カオルと自分自身がリンクする部分も凄く感じました。それは、つまらない日常をぶち壊したいと思っているようなところですが、作品の中でカオルがピンクの塗料が入った水風船を破裂させるところに、そういった感情が表現されていると思います。


- カオルという人物像について、園監督からはどういった説明やアドバイスがありましたか。
小林:監督からは、カオルは上流階級の家で苦労なく生まれ育って、なんでもできてしまうから大学にも行かず、こっちの方が儲かるからという理由でデリヘルを経営しているやつなんだよという説明がありました。もうひとつ、カオルは渋谷というジャングルを好奇心だけで冒険していて、渋谷にいる男や若い女たちはカオルにとってジャングルにいる動物たちなんだというお話をしていただいて、カオルという役が自分にとって凄くわかりやすくなりました。

- 小林さんからみたカオルというのは、どんな人物なのでしょうか。
小林:難しい質問ですが、おそらく、カオルは愛に飢えているのに、きっとそれにも気づいていなくて、自分は何でもできるんだという風に思っている男だと思うんです。今までの人生で挫折すら経験したことが無い、まだまだ青い人間なんだと思います。


監督からは「ふざけんじゃねー、バカヤロウ! ちゃんとやれ!」って怒られて。結局8回くらい撮り直しました。
- いきなり全裸や濡れ場などの強烈なシーンを演じられましたが、一番苦労されたシーンを教えて下さい。
小林:全体的に苦労はしたんですが(笑)、やはり一番は神楽坂さん演じるいずみとホテルで絡むシーンですね。撮影のわりと最初の方でしたし、長回しのシーンだったので段取りを覚えるのが本当に大変でした。抵抗するいずみを抑え付けつつ、脅しつつ、襲うというというのがなかなかできなくて、監督からは「ふざけんじゃねー、バカヤロウ! ちゃんとやれ!」って怒られて。言われれば言われるほど、どんどん焦ってしまい。神楽坂さんも本気で抵抗してくれるので、それを抑えるので精一杯でした。神楽坂さん、力つよっ! って(笑)。結局8回くらい撮り直しましたね。OKがでた時は、本当にほっとしたし、全身筋肉痛でした。

- 出演者の皆さんが、本当に鬼気迫る演技をみせていらっしゃいます。とくにカオルはクライマックスである、廃墟での美津子といずみが対峙するシーンにも居合わせますが、実際に目の前でご覧になる冨樫さんと神楽坂さんの演技バトルというのは、いかがでしたか。
小林:実際にあのシーンを撮っていたのは午前3時か4時くらいだったと思うのですが、お二人とも凄い緊張感のなか、雨にも濡れて体力も限界のなかでずっと本気で演技されていて。涙を流すシーンでは毎回本気で泣くし、ただもう、圧倒されました。

- 現場は常に張りつめた雰囲気があったと思いますが、休憩時間などは共演者同士でお話されたり、打ち解けられたりはしたのでしょうか。
小林:休憩時間はお二人ともわりと普通に話してくださいました。冨樫さんは、普段はめちゃくちゃ天然で凄く可愛い方なんですよ。神楽坂さんも同じように、ほわんとした柔らかい雰囲気の方で、それが撮影がはじまると全然違う。セリフを言い始めた瞬間にもう普段のお二人じゃなくなる。とても刺激になりました。


オーストラリア人のなかでは日本人であることをコンプレックスに感じる部分もあったのですが、マイノリティであることが長所になるんだと。それがきっかけになって、本気で役者を目指しました。
- 小林さん自身のことについても教えてください。そもそも、俳優になられたきっかけはなんだったのでしょうか。
小林:僕は中学校までは東京の実家を離れて、北海道にある寮制の学校に通っていたんです。高校1年生のときに東京に戻ってきたら、いろいろと刺激のあるものが多くて。映画館もたくさんあって、そこから凄く映画を観るようになりました。それらの映画のひとつとして覚えているのは、渋谷のシネマライズで観た『ロード・オブ・ドッグタウン』(2005年・アメリカ/ドイツ)です。凄く衝撃を受けて、英語でお芝居ができたらかっこいいんじゃないかといきなり思い立って。親に頼んで3年間オーストラリアに留学させてもらったんです。

- いきなり、海外ですか(笑)!? それでは、オーストラリアで演技の勉強をされたのですか。
小林:そうです。当時は洋画ばかり観ていて、日本映画はほとんど観ていなかったので英語で演じることしか考えていなかったですね。向こうの学校で演技の授業を受けて、初めてお芝居をやりました。そのとき、たまたま舞台で第2次世界大戦中に強制収容所に入れられた日系アメリカ人の役をやらせてもらったのですが、その役にとても共感してもらえたんです。それまで、たくさんのオーストラリア人のなかでは日本人であることをコンプレックスに感じる部分もあったのですが、マイノリティであることが長所になるんだと、そのときに凄く思えて。それがきっかけになって、本気で役者を目指しました。

- それでは、今後は海外でご活躍されたいのですか?
小林:とくに海外だけに目を向けているということは無いですが、国内外の作品を問わず、英語でお芝居をしたいというのは夢のひとつとしてありますね。

- 最後にミニシア読者のために、ぜひとも好みの女性のタイプを教えて下さい!
小林:(とても照れながら)恥ずかしいですが、男まさりの女性が好きです。女優さんでいえば吉高由里子さんとか、じゃじゃ馬タイプがけっこう好きですね。


映画ではエキセントリックな演技をみせてくれた小林さんでしたが、素顔はとてもシャイで透き通るような瞳が印象的でした。中性的な雰囲気のなかにも、時折みせる鋭さや気骨あふれる発言に思わずドキドキしたインタビュー。これからの活躍もますます楽しみです。


ミニシア恒例の靴チェック!
愛用の黒いレースアップブーツで登場した小林さん。ブーツが好きで、スニーカーはあまり履かないそう。いい感じに履きこなしてます!

◇ 小林竜樹プロフィール
1989年、神奈川県生まれ。コマーシャルやプロモーションビデオ出演の経験を経て、2011年に鬼才・園子温監督の『恋の罪』で映画初出演。また、近年の舞台では、岩松了演出の『カスケード〜やがて時がくれば〜』がある。趣味は映画鑑賞、読書、旅、カメラ、絵画。



▼『恋の罪』作品・上映情報
2011/日本/144分/R-18
監督・脚本:園子温
英題:Guilty of Romance
出演:水野美紀、冨樫真、神楽坂恵、児嶋一哉(アンジャッシュ)、二階堂智、小林竜樹、五辻真吾、深水元基、内田慈、町田マリー、岩松了(友情出演)、大方斐紗子、津田寛治ほか
製作:「恋の罪」製作委員会
配給・宣伝:日活
宣伝:T-BASIC.(WEB)
●『恋の罪』公式ホームページ 
©2011「恋の罪」製作委員会
※11/12(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー

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取材・編集・文:min スチール撮影:荒木理臣

  • 2011年11月12日更新

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