ミニシアター情報
『ホーリー・モーターズ』レオス・カラックス監督トークショーレポート-ドニ・ラヴァンは特殊な体をつくりだしていきました。それは素晴らしい体で、いつも私はそれを撮影したいと思います。
『ポーラX』から13年ぶり、レオス・カラックス監督の新作となる『ホーリー・モーターズ』はドニ・ラヴァン演じる、オスカーの『行為の美しさ』をたどるSFでありファンタジーな物語。今回は、カラックス監督の来日中に行われたトークショーをレポートします。30年来、共に作品を作り続けている俳優ドニ・ラヴァンさんとの関係、カラックス監督自身の出演の経緯など監督がこの作品を作るに至る聖なる原動力(ホーリー・モーターズ)についてたっぷりと語っていただきました。
『コズモポリス』― 鬼才クローネンバーグが終末感ただよう映像でスリリングに描く、資本主義社会の“膿”
鬼才デイヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作『コズモポリス』は、若くして巨万の富を手中にした投資家エリック・パッカーが破滅へと向かう1日を描いた、緊迫感溢れるサスペンススリラー。独自の世界観から映像化は不可能といわれた現代アメリカ文学の巨匠ドン・デリーロの同名小説を、終末感ただよう映像でスリリングに描く。70歳にして枯渇知らずのクローネンバーグ監督の想像力、そして映像センスには「さすが鬼才!」と唸ることだろう。すべてを手に入れながらも深い虚無感を抱える美青年を演じたロバート・パティンソンの演技と存在感、顔色の悪さにも大注目!?
4月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!
(c)2012–COSMOPOLIS PRODUCTIONS INC. / ALFAMA FILMS PRODUCTION / FRANCE 2 CINEMA
【実践映画塾シネマ☆インパクト】シネマ☆インパクト第3期 いまおかしんじ監督インタビュー-映画を作るには仲間が必要
受け身の授業じゃない。実践で映画を撮りながら学ぶんだという気概にあふれた試み〈シネマ☆インパクト〉。開講から1年、できた映画の上映もついに第3弾、いよいよ完結となりました。毎回、監督たちが好きに暴れまくった粋のいい作品が発表されている中、今回は、熊切和嘉、いまおかしんじ、大根仁、廣木隆一、山本政志の5人の監督作の上映です。これまでは、撮影地は新宿などの共通項目が設定されていましたが、今回はそういうこともなくなって自由度アップ。廣木監督はオール福島ロケ、大根監督は138分の大作、山本監督は長編映画のプロローグと皆、自由過ぎ!熊切監督は32分の短編ながら、人間の心の中に痛烈に迫っていって、濃密な時間を作り出しています。さて、「UNDERWATER LOVE-おんなの河童」の記憶も未だ鮮やかな、いまおかしんじ監督はどんなトライをしたのでしょうか。スペシャルインタビューです。制作者コースを受講した甘利類さん(24歳)も加わって受講の実感を語ってくれました。
『セックスの向こう側~AV男優という生き方』-極めつくしたものが語る女性とは?セックスとは?
2012年、アダルトビデオ=AVが誕生していから30年。現在ではメーカー数100社以上、月間販売タイトル推定4500本、業界年間売上約550億円の一大産業へと発展している。業界を支える現役AV女優は推定10,000人ともいわれるが、一方AV男優は約70人と驚くほど少ない。男優の数が少ないという事は、一人の男優が“からむ”女優の数は数千人に上り、休む間もなくフル稼働をしているのが現状だ。本作はセックスを仕事とし、日々セックスと向き合う男達20人の生の声を追い求めるドキュメンタリー。加藤鷹を始めとする伝説の男優から新世代のイケメン男優が女性について、セックスについて語りつくす。極めつくした者だけが語れる言葉に男性だけでなく、女性も耳を傾けていただきたい。2月23日(土)より渋谷アップリンクにてレイトショー以降全国主要都市にて順次公開!
『メッセンジャー』-イラク戦死者の遺族に訃報を伝えるメッセンジャーの苦悩
2003年、イラクの大量破壊兵器を摘発するという名目で、アメリカを中心とする多国籍軍はイラクに侵攻する。結局大量破壊兵器は見つからず、戦争の大義名分は崩壊した。イラク戦争における米軍の死者数は約3500人。本作のタイトルにもなっている“メッセンジャー”とは、故郷で帰りを待ちわびる家族に、悲しい報告を伝える軍人のことだ。ここでは、自らも負傷し、この過酷なミッションに任命された軍曹の苦悩と心の再生が描かれる。『プライベート・ライアン』のプロデューサーが製作し、第82回アカデミー賞でも助演男優賞と脚本賞にノミネートされた秀作である。3月9日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー © All the Kings Horses, LLC ALL RIGHTS RESERVED
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』―老齢を迎えてから旺盛に生きるための7つの事例
大切なひととの再会のため、病気の治療のため、様々な事情を抱えた7人の老男女が旅に出る―行き先はインド。「神秘の国インドの高級リゾートホテルで、穏やかで心地よい日々を」という謳い文句に惹かれて、はるばるイギリスからやってきた彼らが目にしたのは、熱気溢れるインドの文化と、リゾートとはほど遠いボロホテルだった! 異国の地で彼らが見つける人生の機微とは? ウイットに富んだ会話と、画面から溢れんばかりの色彩が楽しいこのイギリス式インド映画を観たあとは、少しだけ、心のしこりがほぐれているに違いない。2013年2月1日よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開。©2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
「演劇」と映画館の『親密さ』- 映画館で、演劇を、観る?生でしか味わえないはずの演劇が、映画という違ったフィルターを通した時、新たな創造として生まれ変わる。
オーディトリウム渋谷で2月9日(土)から行われる〈「演劇」と映画館の『親密さ』〉のラインナップが充実している。“演劇を題材にした映画”と言っても、その切り口は実に多彩。山下敦弘監督の舞台演出作品の記録『ぶたい版・中学生日記』、昨年公開されて話題になった想田和弘監督の平田オリザの演劇制作現場を追った長編ドキュメンタリー『演劇1』『演劇2』から、実在する歌舞伎を題材に作られ、原田芳雄の遺作となった『大鹿村騒動記』まで様々。演劇ファンと映画ファンを同時に満足させる有意義な11作です。
【実践映画塾 シネマ☆インパクト】さらに熱さを増す シネマ☆インパクトVOL.2 公開記念 撮影現場レポート
ともかく実践あるのみ!の映画製作ワークショップ・シネマ☆インパクトが開講されて1年が経つ。昨年秋の第1期作品公開に続き、いよいよ第2期作品5作が公開される。講師及び監督は、橋口亮輔、ヤン・イクチュン、山下敦弘、松江哲明、山本政志の5人。今回は「新宿」を共通テーマにして、その条件だけ入っていれば、あとは自由な競作が行われました。橋口コースの初日、「やり方次第でどうにでもなるので、あとはあんたたちが遊んでね」と山本監督が、生徒たちに発破をかけたように聴こえたが、「遊んでね」じゃなくて「学んでね」の聞き間違いだったのでしょうか……??? ともあれ、「学び」と「遊び」はよく似てる、ということで(!?)各コースとも、この上もなく贅沢でハードな2週間となりました。ミニシアターに行こう。では、橋口監督、ヤン監督の現場を取材。
そのもようをお届けします。
『明日(アシタ)の空の向こうに』-子どもたちは国境の先にある幸せを夢見て走る。
2011年、日本で公開されたミニシアター系映画で最大のヒット作となった『木洩れ日の家で』。その監督であるポーランドの名匠ドロタ・ケンジェジャフスカの新作であり、第61回(2011年)ベルリン国際映画祭でジェネレーション部門グランプリと平和映画賞を受賞した『明日(アシタ)の空の向こうに』が、1月26日(土)からシネマカリテほかで公開される。
住む家も食べ物もない孤児3人が、幸せな明日を探して過酷な冒険の旅に出る物語。あの手この手で困難を乗り越える彼らの逞しさと、その純粋な愛らしさに多くの人が魅了されるだろう。2013年1月26日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開。 © Kid Film 2010
逃げる老人、追うゾンビ。世界最遅のデットヒート-『ロンドンゾンビ紀行』
祖父が入居しているイースト・エンドの老人ホームを手伝うアンディとテリー。立ち退きを要求されている老人ホームを救うため、二人は銀行強盗を画策するが、あっけなく警官隊に囲まれてしまう。もはやこれまでと覚悟を決めた瞬間、ゾンビが再開発の発掘現場から蘇り、警官を襲い始める。その頃、老人ホームの老人たちはゾンビの魔の手から逃れようと世界最遅のデットヒートを繰り広げていた。イースト・エンドの再開発エリアで目覚めたゾンビは人肉を食らう、恐るべきゾンビでありながら、老人とのユーモラスな死闘繰り広げる、イギリスらしくシャープに笑える今年注目のゾンビ達だ。ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開(C)Bishop Rock Films Limited / Cockneys vs Zombies Limited 2012