ミニシアター情報

第15回東京フィルメックス―映画に刺激される9日間

11月22日より第15回東京フィルメックスがスタートする。カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭をはじめとする国際映画祭が今後必ずや注目するであろう映画作家を、世界に先駆けて、いち早く紹介し続けてきた映画祭、東京フィルメックス。15回目の今年は『長江哀歌』を始め国際映画祭で高い評価を受けるジャ・ジャンクー監督を審査委員長に迎え各賞が決定される。コンペティション部門9本をはじめ「映画好きを刺激する」25作品がそろい踏み。「ミニシアターに行こう。」流の楽しみ方をご紹介します。(作品画像は『さよなら歌舞伎町』) © 2014年『さよなら歌舞伎町』製作委員会

『悪童日記』〜戦時下を生き抜く、無垢な魂をもつ双子。アゴタ・クリストフ衝撃のベストセラーがついに映画化〜

亡命作家と呼ばれるハンガリー出身のアゴタ・クリストフ。その衝撃のベストセラーがついに映画化された。原作者アゴタ自らの体験をモチーフに書かれた、戦時下に生きる無垢な魂をもった双子の物語。戦争で親元を離れた双子の兄弟は、過酷な環境にさらされる中、したたかに冷酷に変化していく。「殺すこと」すらいとわなくなった2人は恐るべき行動を起こし、その日々を淡々と日記に綴る。戦時下を生き抜くため、果敢に現実に立ち向かう双子の姿が、倫理を超え、魂を揺さぶる感動作。
Ⓒ 2013 INTUIT PICTURES – HUNNIA FILMSTUDIO – AMOUR FOU VIENNA – DOLCE VITA FILMS
10月3日、TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテほか全国ロードショー。

『不機嫌なママにメルシィ!』〜ジェンダーをめぐる世界の旅「僕は女の子じゃないの?」〜

フランス国立劇団の演技派俳優が、自伝的舞台を映像化し監督デビュー。初監督作品にして、フランス最大の映画賞、セザール賞で5部門受賞。さらにリュミエール賞、カンヌ国際映画祭でも、それぞれ受賞を果たした話題作。ギヨーム・ガリエンヌが本人役のみならず、一人二役、女装して、敬愛するママ役まで演じる。しかも本人のセクシュアリティがテーマの、ウソのようなホントのストーリー。名門出身のおっとりしたギヨームが、傷つき迷いながらもあくまで明るく、本当の自分を見つけようと奮闘する。そんな愛すべき彼の青春時代を描いた、じんわり心があたたまる母親讃歌だ。2014年9月27日(土)より 新宿武蔵野館ほか全国順次公開 ©2013 LGM FILMS, RECTANGLE PRODUCTIONS, DON’T BE SHY PRODUCTIONS, GAUMONT, FRANCE 3 CINEMA, NEXUS FACTORY AND UFILM

【画像で楽しむイベントレポート】『第7回したまちコメディ映画祭in台東』オープニングセレモニー

東京の「したまち」から映画を通して世界中の笑いを届ける『第7回したまちコメディ映画祭in台東』のオープニングセレモニーが、2014年9月13日(土)に東京・浅草で開催された。レッドカーペットと開会式&特別招待作品上映には、したコメ常連のゲストから喜劇王チャーリー・チャップリンのお孫さんまで多彩な顔ぶれが登場。集まった多くの観客たちとともに、映画祭のスタートを賑々しく盛り上げた。

お刺身の達人のような監督になりたいー『マルティニークからの祈り』 パン・ウンジン監督インタビュー

映画『マルティニークからの祈り』は、平凡な主婦が、ある日突然に予想もしなかった事件に巻き込まれるという恐怖と、家族の闘いを描いた珠玉の人間ドラマ。事実を基に描かれた本作は、韓国随一の実力派女優、チョン・ドヨンを主演に迎え、美男子俳優のコ・スが平凡な夫役を演じたことでも注目の作品だ。監督を務めたのは女優としてのキャリアをもつパン・ウンジン。複雑な人間心理を繊細に描くことに定評のある監督が、本作で描きたかった真実とは……?

『シュトルム・ウント・ドランクッ』山田勇男監督インタビュー(特別ゲスト:淺井カヨさん)

大正時代に実在したアナキスト集団「ギロチン社」を描いた映画『シュトルム・ウント・ドランクッ』。クランクアップから約1年、待望の劇場公開が、渋谷・ユーロスペースで始まる。この公開直前に山田勇男監督に撮影秘話など、興味深いお話をうかがうことができた。また、最近メディアにも登場している、日本モダンガール協會代表の淺井カヨさんを特別ゲストとしてお迎えし「大正時代を描く映像作品」という視点での、ディープなお話も聞かせていただいた。

第7回したまちコメディ映画祭in台東-どこをとっても笑いが止まらない映画祭

今年で七回目を迎える、したまちコメディ映画祭in台東、通称“したコメ”。いとうせいこうさんを総合プロデューサーに「映画(Cinema)」「したまち(Down town)」「笑い(Comedy)」という3つの要素を掛け合わせた、映画人、喜劇人、映画・喜劇を愛する人々が一体となって盛り上がれる住民参加型の映画祭だ。喜劇映画の上映にとどまらず、声優口演ライブ、DVDスルー・コメディ大賞、コメディ栄誉賞を受賞した西田敏行さんのリスペクトライブなど、どこをとっても笑いにあふれた企画ばかり。連休を楽しむなら台東区に出かけよう。はずせないミニシアおすすめの4イベントをご紹介します。(C)2014 安齋肇/「したまちコメディ映画祭in台東」実行委員会

『VHSテープを巻き戻せ!』-ブーム再燃。関係者やコアなファンがVHS愛を激白!

どんなに小さな部屋も映画館になる。そんな夢の生活の実現に大きな役割を果たしたのが、1980年代に普及したVHSテープとデッキだった。今やソフトもハードも見かけることは少なくなり、“巻き戻す”“爪を折る”という言葉は死語同然に。そんな時代の遺物になりつつあるVHSだが、近年ブームが再燃しているという。本作は、このメディアに魅了された(取り憑かれた)人々のインタビューで構成された、懐かしさと映画への愛に満ちたドキュメンタリーだ。7月26日(土)より渋谷アップリンクにて▶再生開始!

『リアリティのダンス』〜幼少期の悪夢である故郷へ。ホドロフスキーとめぐる、トラウマと家族再生の旅〜

世界中のクリエーターを熱狂させてきたアレハンドロ・ホドロフスキー。その最新作は、自身の幼少期と家族を描いた、パーソナルな癒しの物語。過激さが印象に残る過去の作品とは、ある意味一線を画しているが、濃厚さ・パワフルさは衰え知らず。85歳という年齢も23年ものブランクもものともせず、さらに慈愛のまなざしが加わり円熟味あふれた作品になっている。色彩いっぱいの映像美、シュールな事象、ユニークな登場人物が力強く躍動する。以前からのホドロフスキーファンも、ホドロフスキー作品を初めて観るかたでも存分に楽しめる、ファンタジックでリアルな人間讃歌である。
2014年7月12日(土)より 新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷アップリンクほか、全国順次公開 © “LE SOLEIL FILMS” CHILE・“CAMERA ONE” FRANCE 2013

『マダム・イン・ニューヨーク』-インドの伝統菓子ラドゥに込められたインド女性のプライド

シャシはごく普通のインドの専業主婦。なに不自由ない暮らしの中で、彼女を傷つけるのは英語が苦手な彼女をからかう夫や娘の心無い言葉だった。そんな時、NYに住む姉から姪の結婚式準備の手伝いを頼まれ、単身NYに向かうことになる。世界の大都市NY。思い切って一人で入ったカフェでシャシは英語がしゃべれないみじめさをあらためてかみしめる。せわしない街角で目に留まったのは「4週間で英語が話せます」という英語学校の広告だった。様々な国から様々な境遇の人々が集っていた英語クラスは楽しく、シャシは英語に夢中になる。4週間の英語レッスンを締めくくる、最終試験の日、その日はくしくも姪の結婚式と同じ日だった。シャシは無事に英語レッスンを終了させることができるのだろうか?ラストシーンに込められた優しくも、凛としたインド主婦の生き方に心が動かされること間違いなしのボリウッドムービー。シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。© Eros International Ltd.