最新作品情報

『明日(アシタ)の空の向こうに』-子どもたちは国境の先にある幸せを夢見て走る。

2011年、日本で公開されたミニシアター系映画で最大のヒット作となった『木洩れ日の家で』。その監督であるポーランドの名匠ドロタ・ケンジェジャフスカの新作であり、第61回(2011年)ベルリン国際映画祭でジェネレーション部門グランプリと平和映画賞を受賞した『明日(アシタ)の空の向こうに』が、1月26日(土)からシネマカリテほかで公開される。
住む家も食べ物もない孤児3人が、幸せな明日を探して過酷な冒険の旅に出る物語。あの手この手で困難を乗り越える彼らの逞しさと、その純粋な愛らしさに多くの人が魅了されるだろう。2013年1月26日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開。 © Kid Film 2010

逃げる老人、追うゾンビ。世界最遅のデットヒート-『ロンドンゾンビ紀行』

祖父が入居しているイースト・エンドの老人ホームを手伝うアンディとテリー。立ち退きを要求されている老人ホームを救うため、二人は銀行強盗を画策するが、あっけなく警官隊に囲まれてしまう。もはやこれまでと覚悟を決めた瞬間、ゾンビが再開発の発掘現場から蘇り、警官を襲い始める。その頃、老人ホームの老人たちはゾンビの魔の手から逃れようと世界最遅のデットヒートを繰り広げていた。イースト・エンドの再開発エリアで目覚めたゾンビは人肉を食らう、恐るべきゾンビでありながら、老人とのユーモラスな死闘繰り広げる、イギリスらしくシャープに笑える今年注目のゾンビ達だ。ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開(C)Bishop Rock Films Limited / Cockneys vs Zombies Limited 2012

第4回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル— 現実にそこにある「境」を知り、感じ、深めるイベント

今年で4回目を迎える座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルが2月7日よりスタートする。映画・テレビを問わず良質なドキュメンタリーを上映する映画祭の今年のテーマは『越境』。国と国、男と女、フィクションとノンフィクション、映画とテレビ。様々な「境」に挑んで来た作家と作品にスポットを当て、ドキュメンタリー映像の可能性を探っていく。会期中は作品上映とともにゲストスピーカーによるトークイベントを開催。作品の中の出来事は全て現実に起こったこと。現実にそこにある「境」を知り、感じ、深めるイベントだ。(作品:『YMO PROPAGANDA』)

『シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』-パリの空の下で繰り広げられる愛と美味しさに満ちたドラマ

パリの由緒ある高級レストランを舞台に、新人&素人シェフたちが三ツ星を守るため奇跡を起こす、何とも痛快な物語。美味しい食事は人生の醍醐味であることに納得し、それを目と舌で味わう幸福を疑似体験できるだろう。繊細かつ華麗な伝統料理以外にも、科学を取り入れた分子料理が登場(そしてなぜか謎の日本人も!?)。 12月22日(土)から銀座テアトルシネマ、新宿シネマカリテ他全国順次ロードショー

『ルビー・スパークス』―とびきりロマンティックな“世にも奇妙な物語”

小説に書いた女の子が、ある日、目の前に現れた! 『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督による6年ぶりの新作は、自分の創作物である女の子と恋に落ちる小説家を主人公にした、ロマンティックでほろ苦い恋物語だ。ヒロインのルビー・スパークスや、主人公の破天荒な母親とその恋人など、個性的なキャラクターの自由な生き方や恋愛哲学に、心打たれる作品である。いま恋の悩みを抱えていたら、この104分間の物語のなかに、解決の糸口が見つかるかもしれない。2012年12月15日より、渋谷シネクイント他にて全国順次ロードショー。 (C) 2012Twentieth Century Fox

『HICK ―ルリ13歳の旅』―少女の理想と現実との隔たりはこんなにも大きい

2010年に公開された、『キック・アス』(マシュー・ヴォーン監督)で、放送禁止用語を連発するヒット・ガールを演じ、同年公開の『モールス』(マット・リーヴス監督)では、寂しげな表情のヴァンパイア役で注目を集めたクロエ・グレース・モレッツ。これまで、クールで大人びた少女を演じることが多かったクロエだが、初の単独主演作品である、『HICK ―ルリ13歳の旅』では、自意識過剰で不安定な思春期の少女を演じている。美しい絵の世界や作り物の物語に逃避していた少女が、現実と向き合ったとき、どう変化するのか。過酷な経験を経たあとでルリが見せる決意の表情を、どうか見逃さないでほしい。

記憶に突き刺さるハンサムな女の生き様-新・女性映画祭

オーディトリウム渋谷ではヒロインにくぎ付けになる映画13本を一挙公開。王妃、芸妓、従軍看護婦、シングルマザーなど、登場するヒロインは様々な立場の女性達だ。決して幸せとは言い難い状況の中でも、自分の立場を卑下することなく、しなやかに、したたかに、艶やかに生きる女性の姿は記憶に深く刻まれること間違いなし。ヒロインの生き様にどっぷりとつかって、離れられない“運命の女性”を見つけてみてはどうだろう。作品画像:『ハネムーン・キラーズ』

「ジェラール・フィリップ生誕90年 デジタルリマスター版特別映画祭」 ― 永遠の貴公子に会える最後の映画祭

2012年の今年は、不世出の俳優ジェラール・フィリップの生誕90年。彼は1959年に36歳の若さで亡くなったが、忘れ去られるどころか、半世紀以上経った今もなお、映画祭が開催されるごとに新たなファンを生み出しているという。今回は、デジタルリマスターで鮮やかに蘇った5本の作品を上映。『赤と黒』『パルムの僧院』など、文芸作品を中心としたラインナップだ。残念ながら、これが「永遠の若者ジェラール・フィリップにスクリーンで会える最後の映画祭」になるそうだ。「スクリーンの恋人」という言葉は、すでに使い古されて陳腐に聞こえるかもしれないが、半世紀前と変わらず、今年も多くのファンが“恋人”に会いに映画館に出向くことだろう。ジェラールの輝くオーラが堪能できる5作品。彼の一挙手一投足から目が離せない。11月24日(土)から2週間限定 ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開(画像は『悪魔の美しさ』)。

ピアノ伴奏で楽しむサイレント映画の夕べ『肉体と悪魔』 ― ハリウッドの「伝説」グレタ・ガルボの出世作に豊洲で酔う。

初期のハリウッドを代表する大女優グレタ・ガルボ ― ハリウッドの「レジェンド」のひとりとも言える存在で、美しく神秘的な彼女を、日本のファンは「神聖ガルボ帝国」と呼んで讃えた。ガルボが一躍注目されるきっかけになった作品『肉体と悪魔』が、11月16日(金)にユナイテッドシネマ豊洲で上映される。サイレント映画ピアニスト・柳下美恵氏の生伴奏とともに鑑賞できる、稀有な機会だ。シネコンにコンサート用のグランドピアノを設置しておこなわれるという、非常に珍しく貴重な公演でもある。ぜひお見逃しなく。

『あの娘が海辺で踊ってる』-消費されることを前提とした処女たちのたくらみ。

アイドル志望のわがままな舞子と彼女の全てを許す「ホトケの」菅原の女子高生二人の依存関係を描く、山戸結希監督『あの娘が海辺で踊ってる』。第24回東京学生映画祭で、瀬々敬久監督・井土紀州監督・石井裕也監督に「賞をあげないわけにはいかない」と評され審査員特別賞を受賞した。スタッフ全員が処女で作り上げた『あの娘が海辺で踊ってる』を含む山戸結希監督作品三本が~処女の革命3本立て~と銘打って期間限定上映される。純粋な乙女の狡猾なたくらみをのぞき見しよう。11月10日~16日ポレポレ東中野にて。