大人の真似事でヤケドした女子高生〜『17歳の肖像』より

  • 2010年04月11日更新

17歳の肖像ファイル003: ジェニー(イギリス)
〜『17歳の肖像』より〜

「彼さえいれば、怖くない」
そう思ったとき、女の悲劇ははじまる。

原作はイギリスの人気女性作家ニック・ホーンビィ(『アバウト・ア・ボーイ』)の回想録で、本年度アカデミー賞の主要3部門(作品賞・主演女優賞・脚色賞)にノミネートされた注目の話題作。

1960年代、ビートルズがデビューする直前のロンドンで、年上男性との恋により、それまでの生活が一変してしまった女子高生ジェニーの波瀾万丈な運命が綴られている。

「プリティー・ウーマン」などでも、年上男性とのゴージャスな恋愛は描かれてきたけれど、この映画、ただハッピーなだけでは終わらない。

教育熱心な両親の期待を背負ったジェニーは、オックスフォード大を目指す優等生。将来憧れのパリで好きなだけシャンソンを聴くという夢をはげみに、勉強だけの退屈な日々を送っていた。

17歳の肖像

ところがある雨の日、ジェニーはチェロの練習の帰りに、年上のリッチで魅力的な男性ディヴィッドに出会う。紳士的でウイットに富んだ彼の言動が、ジェニーの心を捕えるのに時間はかからなかった。
そればかりか、厳格なジェニーの両親さえも、一瞬にして彼に絶大な信頼を寄せてしまったほど。外泊禁止なんていうハードルは、ディヴィッドにとって、あってないようなものだったのだ。

華やかなデートにゴージャスなお買いもの、知的な会話など、自分の夢を次々に叶えてくれる王子様の“パワー”に、ジェニーは魅了されていく。同時に、これまでの自分の価値観に疑問を抱くようになってゆく。

彼さえいれば、怖くない」 そう思ったとき、女の世界は一変する。

実はここからが、この映画の見どころ。ジェニーの驚くべき行動やストーリー展開は、なかなか示唆に富んでいて、年齢に関係なく、多くの女性にとって興味深いものになるはず。聡明で意志的ゆえ、ジェニーはこの恋によって「2度」目覚めることになるのだけど、原題はズバリ「AN EDUCATION=教育」。恋という課外授業で直面した現実と代償は、17歳の女子高生にとって苛酷なものであった。

主演のキャリー・マリガン(当時22歳)の繊細で凛とした演技が、未知の世界へ憧れるジェニーの聡明さや複雑な心情を「リアル」にしている。

4月17日(土)より、TOHOシネマズ シャンテTOHOシネマズららぽーと横浜にてロードショー!

▼作品紹介
17歳の肖像2008年/イギリス/100分
出演:キャリー・マリガン、ピーター・サースガード、エマ・トンプソン
監督:ロネ・シェルフィグ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題:AN EDUCATION
公式HP:17-sai.jp
(C)2008 AN EDUCATION FILM DISTRIBUTION LTD.

文:おすず
改行

  • 2010年04月11日更新

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