『アイドル・イズ・デッドーノンちゃんのプロパガンダ大戦争ー』 ―生き残りをかけて戦うアイドルたちのバトルロイヤル!

  • 2014年01月12日更新

新生アイドル研究会・BiSという現役のアイドルを主演に据えながら、アクション、スプラッターなど過激な描写を盛り込んだ映画『アイドル・イズ・デッド』(加藤行宏監督/2012)は、音楽×映画のコラボレーション作品を集めた映画祭『MOOSIC LAB 2012』に出品され、観客賞を受賞するなど好評を博した。続編である本作は、アイドル同士の生死をかけた殺し合いやパワーアップしたアクションシーンに加えて、原発問題にまで踏み込んだ非常に濃~い内容となっている。イバラの道をかいくぐらなければ生き残っていけない現代のアイドルたち。心身ともに傷だらけになりながら、それでも笑顔でステージに立つ彼女たちの姿は、最高にカッコイイ! 2014年1月11日より、テアトル新宿にてレイトショー他全国順次公開© 2014『IID2』製作委員会

 

 
なりすましアイドル「BiS」のその後を描くストーリー
とあるきっかけから先輩アイドルを殺してしまい、なりすましのために結成されたアイドルグループ「BiS」(プー・ルイ、ヒラノノゾミ、テラシマユフ)。数多の困難を乗り越えて、アイドルとしての地位を確立し始めた彼女たちだったが、科学者の手で蘇った先輩アイドルの通報によりついに殺人罪で逮捕されてしまう。その後、ただ1人罪を逃れたヒラノノゾミ(通称、ノンちゃん)は、ルイとユフの帰りを待ちながら、「BiS」拡大のために有志を集めてレッスンに励んでいた。

 

 

 
映画ファンにはたまらない、キューブリックの名作を想起させる「洗脳」シーン
そんななか、世間では放射能漏れの問題に揺れるハピネス電力の幹部・タケコ(三輪ひとみ)がプロデュースするアイドルグループ「エレクトリック★キス」(三浦透子、柳英里紗、金子沙織)がブレイクしていた。彼女たちの裏稼業は、ハピネス電力のために忠実な暗殺を実行する暗殺者。死刑を免れたいルイも、犯罪につながる思考を除去するという「リードベック療法」の被験者となり、まんまと洗脳され、「エレクトリック★キス」のメンバーに加わることになる。「エレクトリック★キス」で活躍するルイの姿を見て同様を隠せないノンちゃんのもとに、留置場から逃れてきたユフが現れる。その後、ハピネス電力の陰謀を知った2人は、ルイ奪還のために「エレクトリック★キス」が主催するアイドルフェスに乗りこむことを決意。新メンバー「ミッチェル」を引き連れて会場へと向かった彼女たちを待ち受ける運命とは―。 アイドルたちの過激な死闘はもちろんのこと、水澤伸吾や三輪ひとみなど脇を支える実力派俳優たちの演技も要チェックだ。

 

 
アナーキーなアイドルグループ「BiS」に絶対不可欠な「ノンちゃん」の存在感
新生アイドル研究会「BiS(Brand-new idol Society)」とは、何者か。「全裸で樹海を走り回るPVを発表」、「ファッションデザイナーのコシノジュンコが名誉メンバーに就任」など、過激な活動スタイルで世間を騒がせてきた彼女たち。ライブのブッキングや振付などを自分たちの手で行う「自給自足アイドル」というのがグループのコンセプトだ。テレビで見ない日はないメジャーなアイドルから一部の熱狂的なファンに支えられている地下アイドルまで多数のアイドルが乱立する、まさに「アイドル戦国時代」の現代。かわいいだけではダメ、目新しい活動も数回ののちに飽きられてしまう。アイドルとして生き残っていくには、強力な個性が必要だ。で、「ノンちゃん」である。失礼を承知でいえば、彼女は決して華があるタイプではない。第1作の初登場シーンでは、ボサボサ頭にグレーのスウェットという、アイドルらしからぬ姿をさらしていた。しかし、不思議なことに、ストーリーが進むにつれて彼女の動きから目が離せなくなっていくのだ。加藤監督にノンちゃんの魅力を聞いてみたところ、「画面で映える存在」という答えが返ってきた。弱々しい口調ながら、「アイドルとは何か」を語るノンちゃんの表情は誰よりも熱い。アナーキーなアイドルグループ「BiS」を支えているのは、間違いなく彼女だ。これまでアイドルに興味がなくても、本作を観て、「ノンちゃん、いいじゃん」ないし「アイドル、いいじゃん」と、価値観をあらためる人が多く現れることを期待したい。
 

 
▼『アイドル・イズ・デッドーノンちゃんのプロパガンダ大戦争ー』
監督・脚本:加藤行宏
劇中歌・主題歌:BiS(avex trax)
出演:BiS(プー・ルイ、ヒラノノゾミ、テラシマユフ、ミチバヤシリオ)、三浦透子、柳英里紗、金子沙織、水澤紳吾、國武 綾、大島葉子、三輪ひとみ
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
コピーライト:© 2014『IID2』製作委員会
『アイドル・イズ・デッドーノンちゃんのプロパガンダ大戦争ー』公式サイト
2014年1月11日より、テアトル新宿にてレイトショー他全国順次公開

『アイドル・イズ・デッド(PART1)』キングレコードよりDVD/BD発売!

 

文:南天

  • 2014年01月12日更新

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