『悪魔の起源 -ジン-』-巨匠トビー・フーパーが贈るアラブの妖魔の恐怖
- 2014年03月29日更新
ジン(DJINN)とは、変幻自在に姿かたちを変えることができる、イスラムにおける魔人や精霊のこと。そんなジンの怒りに触れた人間が襲われる、アラブを舞台にしたパラノーマル・スリラーだ。『悪魔のいけにえ』『ポルターガイスト』のトビー・フーパー監督最新作。
砂漠の中の豪華マンションで起こる怪奇現象
サラーマとハリドの夫婦はまだ赤ん坊だった自分たちの子供を失う。失意の中、彼らはアメリカから故郷のアラブの国へ帰国。会社が用意した砂漠の中の新居に向かうが、そこはどこか場違いな雰囲気の豪華な高層マンションだった。サラーマが家に1人でいると、いるはずのない赤ん坊の泣き声が聞こえ、全身を黒い民族衣装に包んだ何者かが現れては消える。隣人も運転手も管理人もどこか不気味だ。夫は仕事中なのか、電話にも出ない。家の中で不気味な現象が続き、彼女はかつて自分が産んだ子が悪霊に取りつかれる悪夢を見る。
アラブと西洋の文化の融合も
舞台はアラブ首長国連邦(と思われる)。主人公夫婦やその家族は裕福で民族衣装を着用せず、夫婦間の会話も英語が中心と極めて西洋的。それが、アラブ風のマンション内観、外に広がる黄色い砂の世界、ヒジャブを着た女性のエキゾティックな雰囲気と融合し、独特の世界を作り上げている。また、ポランスキーやキューブリック、ヒッチコック作品などへのオマージュと思われるシーンも登場。映画ファンにはたまらない演出だ。
若い妻を襲う、畳み掛けるような衝撃
住み慣れたアメリカを離れ、夫とも心がすれちがい、サラーマは孤独感に苛まれる。追い打ちをかけるように彼女を襲う黒い魔物。この得体の知れない存在への恐れと、自分だけが疎外されているという孤独感、罪悪感、衝撃の真実の重奏は、彼女の心を疲弊させるのに十分過ぎる。
ところでかなりの余談だが、ディズニーのジーニー、ハクション大魔王、シャザーン(40代以上にしか分からない?)も、どうやらジンの一族らしい。でも、このジンは人間の味方ではないので、決して侮らないように。
▼『悪魔の起源 -ジン-』作品・公開情報
2013年/アラブ首長国連邦/86分/英語・アラビア語
原題:DJINN
監督:トビー・フーパー
脚本・デヴィッド・タリー
出演:アイシャ・ハート、ハリド・レイス、アハド、ラザン・ジャマル、ポール・ルーブク
配給:ファインフィルムズ
2014年3月29日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開
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- 2014年03月29日更新
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