千年の祈り

  • 2009年12月14日更新

sennen_sub1_low_top 夫と別れ、一人で異国に暮らす娘を気遣い、北京から父親が訪ねてきた。父親と娘の生活、考え方には、大きな隔たりがあるが、父親は娘との距離を縮めようと毎晩、得意料理をつくり、娘の遅い帰宅を案じる。生まれ育った中国よりも、自由なアメリカでの生活になじんだ娘にとって、父親の気持ちは理解できても、いまさらながら鬱陶しく、会話も弾まない。父親にとって、娘の離婚と孤独な生活は謎であり、なんとかしてやりたいと思うのだが…。

隠していた心の痛み、悲しみで人は心を通じ合う。淡々とした日常描写と、抑えた演技が小津安二郎の映画を思わせる。監督は、『スモーク』(1995)で、ブルックリンの煙草屋を舞台にそこに集う人々の日常をユーモラスに描いたウェイン・ワン。父親を『ラスト・エンペラー』に出演したヘンリー・オー、娘を『ジョイ・ラック・クラブ』のフェイ・ユーが演じる。中国人女性作家のベストセラー小説を、多民族国家アメリカを舞台にウェイン・ワン監督が小津作品へのオマージュとして映画化。暖かくも切ない叙情性を感じさせる作品。恵比寿ガーデンシネマにて公開中。

▼作品情報
アメリカ・日本/2007/83分
原作:イーユン・リー

監督: ウェイン・ワン

原題:A Thousand Years of Good Prayers

文:ホウキョウ チアキ
改行


 

  • 2009年12月14日更新

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