吉永くま

ポーランド映画祭2013-今年も開催! スコリモフスキ監督監修、戦後ポーランド映画の傑作を一挙上映

昨年大盛況のうちに幕を閉じた「ポーランド映画祭2012」。今年もファンの熱い要望に応え、「ポーランド映画祭2013」が開催される。今回メインとなるのは、戦後ポーランド映画界を代表するアンジェイ・ワイダ監督の作品。50年代後半ポーランド派時代の代表作や、70年代後半、“連帯”を支持していた時期の社会派作品群など、多彩な7本が揃った。また、上記のワイダ映画を含め、60年代を中心とした作品を新たに10本、昨年人気の高かったアンコール作品7本、さらに60年代の人気児童アニメやジャパンプレミア作品を上映。そのラインナップの充実ぶりに注目が集まる。同映画祭は、11月30日(土)~12月13日(金)の2週間限定で、渋谷シアター・イメージフォーラムにて開催。

『僕が星になるまえに』-友情が叶えた青年の人生最後の願い。カンバーバッチ初主演作。

あらゆる命はいつかその時を迎える。ジェームズは29歳、末期がん患者。普通なら「死はまだ先のこと」「別の世界の話」だと感じる年代だ。だが、彼のように、思いもかけない出来事にその考えが打ち砕かれることもある。自分の余命を知ったジェームズは、友人たちと旅に出て生と死に真っ向から向き合おうとする。BBCのTVシリーズ『SHERLOCK/シャーロック』で大ブレイクしたベネディクト・カンバーバッチ初主演作。10月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー。

『スティーヴン・キングは殺せない!?』-パロディが満載のド○級ホラー!

モダンホラーの帝王、スティーヴン・キング。その代表作、『シャイニング』『ミザリー』『IT(イット)』『ザ・スタンド』などのパロディが満載のド○級ホラー(○の中は鑑賞後、ご自由に文字を入れてください)が公開される。キングは本物の殺人鬼だった!?というこわ~い噂から誕生した、“血まみれの恐怖+バイオレンス+お下劣な笑い”が詰まった本作は、7月27日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷にてレイトショー。

『ロマン・ポランスキー 初めての告白』-栄光と苦悩に満ちたスキャンダラスな人生を語る

祖国ポーランドで撮影した『水の中のナイフ』(62)で長編デビュー後、約50年にわたり世界を舞台に活躍し続けるロマン・ポランスキー。『ローズマリーの赤ちゃん』(68)、『テス』(79)、『戦場のピアニスト』(02)など、傑作、話題作を発表する一方、私生活では映画のような波欄万丈な人生を送ってきた。このドキュメンタリーは、そのあまりにも重い人生をスイスでの軟禁中(2010年時点)のポランスキー自身が回顧する、貴重なドキュメンタリーである。初期の作品 『水の中のナイフ』(62)、『反撥』(65)、『袋小路』(66)、『ローズマリーの赤ちゃん』(68)も同時上映。6月1日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて6週間限定ロードショー。©2011 ANAGRAM FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

『建築学概論』-再会で蘇る過去の甘く切ない想い。15年前の初恋の結末は?

韓国で恋愛映画初の400万人超が見た大ヒット作。特に男性の心をわしづかみにし、2012年の韓国映画振興委員会主催のイベントで、「もう一度見たい映画No.1」に選ばれたという。誰もが経験する“初恋”をテーマに、15年ぶりに再会した1組の男女の心の揺れが描かれる本作。甘すぎず辛すぎず、ファンタジーのようであり現実的でもある、美しく透明感のあるラブストーリーだ。5月18日より、新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー。

『メッセンジャー』-イラク戦死者の遺族に訃報を伝えるメッセンジャーの苦悩

2003年、イラクの大量破壊兵器を摘発するという名目で、アメリカを中心とする多国籍軍はイラクに侵攻する。結局大量破壊兵器は見つからず、戦争の大義名分は崩壊した。イラク戦争における米軍の死者数は約3500人。本作のタイトルにもなっている“メッセンジャー”とは、故郷で帰りを待ちわびる家族に、悲しい報告を伝える軍人のことだ。ここでは、自らも負傷し、この過酷なミッションに任命された軍曹の苦悩と心の再生が描かれる。『プライベート・ライアン』のプロデューサーが製作し、第82回アカデミー賞でも助演男優賞と脚本賞にノミネートされた秀作である。3月9日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー © All the Kings Horses, LLC ALL RIGHTS RESERVED

『明日(アシタ)の空の向こうに』-子どもたちは国境の先にある幸せを夢見て走る。

2011年、日本で公開されたミニシアター系映画で最大のヒット作となった『木洩れ日の家で』。その監督であるポーランドの名匠ドロタ・ケンジェジャフスカの新作であり、第61回(2011年)ベルリン国際映画祭でジェネレーション部門グランプリと平和映画賞を受賞した『明日(アシタ)の空の向こうに』が、1月26日(土)からシネマカリテほかで公開される。
住む家も食べ物もない孤児3人が、幸せな明日を探して過酷な冒険の旅に出る物語。あの手この手で困難を乗り越える彼らの逞しさと、その純粋な愛らしさに多くの人が魅了されるだろう。2013年1月26日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開。 © Kid Film 2010

『シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』-パリの空の下で繰り広げられる愛と美味しさに満ちたドラマ

パリの由緒ある高級レストランを舞台に、新人&素人シェフたちが三ツ星を守るため奇跡を起こす、何とも痛快な物語。美味しい食事は人生の醍醐味であることに納得し、それを目と舌で味わう幸福を疑似体験できるだろう。繊細かつ華麗な伝統料理以外にも、科学を取り入れた分子料理が登場(そしてなぜか謎の日本人も!?)。 12月22日(土)から銀座テアトルシネマ、新宿シネマカリテ他全国順次ロードショー

「ジェラール・フィリップ生誕90年 デジタルリマスター版特別映画祭」 ― 永遠の貴公子に会える最後の映画祭

2012年の今年は、不世出の俳優ジェラール・フィリップの生誕90年。彼は1959年に36歳の若さで亡くなったが、忘れ去られるどころか、半世紀以上経った今もなお、映画祭が開催されるごとに新たなファンを生み出しているという。今回は、デジタルリマスターで鮮やかに蘇った5本の作品を上映。『赤と黒』『パルムの僧院』など、文芸作品を中心としたラインナップだ。残念ながら、これが「永遠の若者ジェラール・フィリップにスクリーンで会える最後の映画祭」になるそうだ。「スクリーンの恋人」という言葉は、すでに使い古されて陳腐に聞こえるかもしれないが、半世紀前と変わらず、今年も多くのファンが“恋人”に会いに映画館に出向くことだろう。ジェラールの輝くオーラが堪能できる5作品。彼の一挙手一投足から目が離せない。11月24日(土)から2週間限定 ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開(画像は『悪魔の美しさ』)。

『ATM』 - 殺人鬼が選んだ場所はATMコーナー! 日常空間が一転、惨劇の場になる。

先月、エレベーターに閉じ込められた人々の極限状態を描いた作品を紹介したばかりだが、今度の“密室”は何とATMコーナー。恐怖映画の舞台が廃墟の病院や邸宅だったのは、もう過去のこと。今は現金を下ろす日常の空間まで、その選択肢は広がっている。閉所に惨劇あり。ただ、今回のこの小部屋、外からはカードがなくては入れないが、内側からは出られる仕組みになっている。それなのに被害者はなぜ逃げられないのか? なぜ犯人は執拗に彼らを狙うのか? 不可解さマックスの90分。10月20日(土)から11月2日(金)までシネクイントにてレイトショー。©2011 GOLD CIRCLE DEVOLOPMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.