吉永くま
『ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女~』-斬新な視点が光るイランを舞台にしたヴァンパイア映画
東欧のイスラム世界にも吸血鬼伝説はあるものの、十字架や聖水など、キリスト教と関連するイメージが強いヴァンパイア。だが、注目のイラン系新人監督アナ・リリ・アミリプールは、チャドルに身を包み男たちに襲いかかる美しいヴァンパイアを誕生させた。モノクロ映像と全編を流れる音楽が印象的な本作は、デヴィッド・リンチや初期のジム・ジャームッシュの作品と比較されることが多いというが、その世界観は独特かつ斬新で高い評価を受けている。9月19日(土)新宿シネマカリテ他全国順次公開。
『犬どろぼう完全計画』-話題の韓国天才子役主演。キュートなコメディ作品
ある事情から車の中で生活する少女が、家ほしさのあまり富豪から犬を盗み、謝礼金をもらうことを計画。果たしてこの完全計画はうまくいくのか? 『ソウォン/願い』の天才子役イ・レや、『母なる証明』のキム・ヘジャ、FITSLANDのボーカル イ・ホンギなど、豪華キャストにも注目したい。韓国史上初の欧米小説の映画化作品。7月18日(土)より、シネマート新宿ほか公開。
『雪の轍(わだち)』-冬のカッパドキアのホテルを舞台にした重厚な人間ドラマ。パルドール受賞作
夏は観光客で賑わうが、冬は閑散とするカッパドキアのホテル・オセロ。閉塞感に覆われた空間で、「夫と妻」「兄と妹」間の軋轢が、哲学的要素を含む会話を通して表面化していく。一方、主人公である裕福な家主と貧しい借主一家との対照的な暮らしぶりと、そこから生じる両者の言い分や考え方のずれもシビアに描かれる。監督はトルコ映画界の巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン。チェーホフの短編3作が発想源だという。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。6月27日(土)より、角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。
『追憶と、踊りながら』-文化も言葉も異なる母と息子の恋人ををつなぐのは、愛する人を失った悲しみだった
ロンドンに住む中国人女性と、息子の恋人であるイギリス人青年の心の軌跡と葛藤を描く。『007』シリーズのQ役などで、今最も注目を集めるイギリス人俳優ベン・ウィショー主演。悲しみと静かな情熱を胸に秘めた彼の演技が心を打つ。5月23日(土)より、新宿武蔵野館、シネマ・ジャック&ベティほか全国順次ロードショー
『イマジン』-目の見えない男女は“音”を介して恋に落ちた
舞台は情緒溢れるポルトガルの古都リスボン。視覚障害者施設で働く盲目の教師と美しい女性との淡い恋や、彼と生徒たちとの交流が描かれる。自然光を駆使して詩的な映像を作り上げたのは1963年生まれのアンジェイ・ヤキモフスキ監督。近年評価の高い作品を続々と生み出しているポーランド映画界期待の新鋭である。4月25日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開、その後全国順次公開。
『インド・オブ・ザ・デッド』-インドでゾンビが暴れまくる! ボリウッド映画初のゾンビコメディ
火葬が一般的なインドで、なぜかゾンビが大量発生! 仲良しトリオと美女とロシアンマフィアが、武器を片手に時にゆる~く時に真剣にゾンビに立ち向かう。年間1000本以上製作されるボリウッド映画において、なんと初のゾンビコメディである。3月21日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、4月よりシネ・リーブル梅田にてレイトショー。
『君が生きた証』-たとえ許されなくても、父親は息子を身近に感じていたかった-
人はどんなにつらく苦しいことがあっても、いずれは前に進まなければならない。本作の主人公は、ある事件で息子を失った父親だ。彼は大きな秘密を抱えながらも、息子が遺した歌を演奏することでその人生に近づいていく。また、その父親と彼に転機を与えるミュージシャン志望の青年との交流も清々しく描かれる。2月21日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー。
『トレヴィの泉で二度目の恋を』-2大ベテランスター競演! 人生の黄昏時に訪れた恋のときめき
シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマーというベテランの2大オスカー俳優が繰り広げる、チャーミングな大人の恋の物語。「何歳になっても恋は人生を輝かせる」という素敵なメッセージを伝えてくれる。フェデリコ・フェリーニ監督『甘い生活』(60)の名場面を再現したロマンチックなクライマックスは必見! 1/31(土)より、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー。
『バッド・マイロ!』-甘えん坊でキュートな腸ポリープ(!)が大暴れ!
映画界に新たなアイドルが誕生した。彼の名はマイロ。平凡なサラリーマン、ダンカンの腸内で、ストレスにより誕生したポリープだ。愛らしいけどいったんキレると何をするか分からない危険な奴。マイロは愛するパパ(ダンカン)のために、敵=ストレスの元凶を血祭りにあげていく。なんとも奇想天外な話は年末年始にぴったり。12/20(土)より、新宿武蔵野館お正月レイトショー、全国順次公開。
『ラスト・デイズ・オン・マーズ』-火星ミッション最終日に起こる戦慄の出来事
地球以外の生命体の発見は、人類のロマンであり夢である。一方、それは脅威でもあり、これまで多くの映画で宇宙生命体との戦いが描かれてきた。今回の舞台は、砂漠のような大地が広がる火星。地球に近く、生物の存在の可能性を指摘されている星だ。監督は実写版『AKIRA』の候補にも挙がったルアイリ・ロビンソン。人間の体に入り込み、凶暴な異生命体に変異させるバクテリアの恐怖を描く。2014年11月22日(土)新宿ミラノほか全国順次ロードショー。