『マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』-サイモン・ペッグ主演。オトナの男女が「イタさ」を炸裂させながら繰り広げるラブ・コメディ。
- 2016年07月17日更新
7月16日(土)から8月19日(金)まで開催される「カリテ・ファンタスティック! シネマコレクション2016」。3回目の今年はバラエティに富む70本の作品を上映。今回はその中からイギリス映画『マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』を紹介したい。
サイモン・ペッグが主演・製作総指揮を務め、『ショーン・オブ・ザ・デッド』『宇宙人ポール』『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』のスタッフが参加したこの作品、面白くないわけがない。『007 スペクター』でMI6の幕僚長ビル・タナーを演じたロリー・キニアの暴走変態ぶりにも注目!
誤解から生じた出会いは怒涛の1日の始まりだった!
舞台はイギリス・ロンドン。34歳のナンシーは、長年彼氏もできず家族に心配をかけてばかり。友人から紹介された男性もしっくりこない。年を取るごとに理屈っぽくなり、可愛げがなくなっていることは自分で百も承知だ。ある日、彼女は両親の結婚40周年パーティーに向かう途中で、ジャックという男性からブラインドデートの相手に間違われる。出会いのチャンスと思った彼女は、24歳のシティーで働く女子(!)になりすましてデートをすることに。40歳になる彼と話も弾み、運命的な出会いをした2人だったが、それはトラブルだらけの1日の始まりだった。
化けの皮はいつか剥がれる
同じコメディとはいえ、上記3作品とは全く異なる「恋愛」がテーマの本作。当然サイモン・ペッグの役どころも違ってくる。そのほかの出演作をすべて見ているわけではないが、彼演じるジャックの初登場シーンはちょっとイイ男風だ。緊張からか一方的にペラペラ話しかけてくるものの、人懐っこく優しそうでナンシーと趣味も合う。
だが、実際は妻と離婚間近で前に進めない傷心男。それにちょっと夢見がちなところもある。一方ナンシーは彼の話に笑顔で嬉しそうにうなずいているも、やがて理屈好き、下ネタ好きの本性が露呈(なぜかは本編で)。だが、ウォータールー駅での出会い、テムズ河畔でのデートなど一見ロマンチックなシチュエーションが、意外にもいろいろな「こじらせ病」を患っている2人に似合っている。
イタくて面倒くさい愛すべきダメっぷり
脚本は「ハリウッド業界人が選ぶ未映画化の優秀脚本」に選ばれた1本。ナンシーに執着する元同級生の変態ショーン、ジャックのワケアリ妻など、脇役にもスパイスが効いている。また、40年連れ添ったナンシーの両親の息の合ったやり取りと、ゆるがない愛情も印象的。人それぞれだとは思うが、30、40代での恋ではこんな結婚生活を思い描いている人が多いのかもしれない。
「年齢を重ねたオトナなのにスマートな恋愛ができない」というギャップから生まれる笑いは決して嘲笑的なものではなく、「イタい」部分を持つナンシーとジャックがとても愛すべき人物に描かれ、好感が持てる。自分の「面倒くささ」や「イタさ」を認識しているオトナたちは自分と重ねながら、予備軍の人たちは今後の勉強を兼ねて、彼らのダメっぷりを堪能し、ゆるく恋の行方を見守ってほしい。
▼『マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』作品・公開情報
原題:MAN UP
2015年/イギリス映画/英語/88分/シネスコ/ステレオ
監督:ベン・パーマー
製作総指揮:ジェニー・ボーガーズ、サイモン・ペッグ他
脚本:テス・モリス
撮影:アンドリュー・ダン
出演:サイモン・ペッグ、レイク・ベル、ロリー・キニア、ケン・ストット、ハリエット・ウォルター他
配給:「マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり」上映委員会
(C) STUDIOCANAL Limited/British Broadcasting Corporation 2014. All Rights Reserved.
7月16日(土)より新宿シネマカリテにて公開!!
☆カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2016☆
- 2016年07月17日更新
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