『ランブリングハート』
- 2010年01月14日更新
「こんなにキュートで美人だったら、恋愛で失敗するわけ、ないじゃない」と、ロマンティック・コメディのヒロインを見やりながら、感じることがある。そう思うときは、たいてい、嫉妬やひがみが、大いに混じっているわけだけれど。
『ランブリングハート』の冒頭でも、そんなふうに考えた。主人公は、臼田あさ美の演じる双子の姉妹。彼女は二役に初挑戦とのことだ。
東京でひとり暮らしをしている翠(みどり)は、婚約者の克也との関係も良好のはずなのだが、「彼と結婚してよいのだろうか」と、どこか不安を抱えたまま、毎日を送っていた。そんな翠のもとに、双子の妹・葵(あおい)が転がりこんでくる。アイドル・タレントの伊月に恋心を寄せる葵は、彼に会いたい一心で、故郷から上京してきたのだ。眉をひそめる翠をよそに、葵は近所のラブホテルでアルバイトを始めた。葵が伊月の追っかけでアルバイトに行けないとき、翠は彼女に成り代わってホテルで働くようになる。そこには、無口だが仕事熱心な青年・南がいて……。
姉の翠は、慎重派の現実主義者。その「お固さ」と「融通の利かなさ」は、「もっとゆるく生きたほうが、うまく世渡りできるでしょうよ!」と、うしろから羽交い絞めにして諭してやりたくなるほど。
妹の葵は、「思い立ったが吉日」を地で行く、まっすぐで奔放な女の子。こちらはこちらで、「待って! 早まっちゃだめだって!!」と、彼女の腕をつかんでひきとめたくなるくらい。
姉妹が似ているのは顔だけで、性格は正反対なのに、「見ている側をはらはらさせる危なっかしさ」は同じ。「翠ちゃん! 今こそ、行動するべきときなんだよ!!」とか、「葵ちゃん! 男に都合のよい状態になっちゃってるよ!!」とか、スクリーンを見つめながら、胸中で何度もわめいているうちに、「パーフェクトな美人のヒロイン」へのひがみが消えて、主人公を応援する気持ちでいっぱいになっている自分に気づく。
「日本には意外と、ロマンティック・コメディが少ない」と、本作のメガフォンを執った村松亮太郎監督は言う。たとえば、アメリカでは、『恋人たちの予感』や『ユー・ガット・メール』に主演したメグ・ライアンが、「ロマンティック・コメディの女王」と呼ばれた時代があった。現代なら、『キューティ・ブロンド』シリーズや『メラニーは行く!』のリース・ウィザースプーンが、新ロマコメ女王として記憶に新しい。
村松監督が「コメディエンヌ」として見いだした臼田あさ美は、ときにきわどい台詞と演技で観客を爆笑させつつ、「ほら、いろいろ大変だけど、恋愛って、こんなに素晴らしい!」というロマンティック・コメディならではのメッセージを、体当たりで届けてくれた。エンド・ロールを眺めながら、「私も、恋がしたいなぁ」と、つい、ため息を落としてしまったとしたら、村松監督の思惑と臼田あさ美の輝きに、嬉しく完敗した証拠だ。
ロマンティック・コメディには、「イイ男」がつきもの。翠と葵の恋模様に大きな波を巻き起こすのは、どこか謎めいた寡黙な男の子・南。演じるのは、2010年1月現在、放映中の『仮面ライダーW』の主演としても注目されている桐山漣。翠の婚約者・克也を演じるのは、『クローズZERO II』や『海猿』の大口兼悟。ラヴ・ストーリーに甘いアクシデントを引き起こす旬のイケメン俳優からも、目が離せない。
▼『ランブリングハート』作品情報
日本/2009年/109分
監督:村松亮太郎
出演:臼田あさ美 桐山漣 大口兼悟 ダイアモンド☆ユカイ 斎藤洋介 他
配給:ネイキッド
2010年1月16日より、シネマート新宿、伏見ミリオン座他にて、全国順次ロードショー。
『ランブリングハート』公式サイト
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文:香ん乃
- 2010年01月14日更新
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