『フローズン・リバー』
- 2010年01月06日更新
ニューヨーク州最北端の町で働くシングルマザーのレイ。夫はギャンブル依存症で家族を捨てて家を出た。レイは1ドルショップの店で働き、2人の息子を養っている。ぎりぎりの生活で、経済的に追い込まれた彼女は、夫の車を運転していたライラと出会い、ある犯罪に手を染めてしまう。それは、国境を隔てている川を渡って、不法移民をアメリカに”密輸“することだった。映画のタイトルでもある国境の川は冬の間だけ凍るため、渡ることができる。川の向こう側はカナダだが、パスポートは不要。そして、町に存在する先住民モホーク族の保留地は、治外法権区域。不法入国者を運ぶという裏社会のビジネス。こうした複雑なルールの下で、ドラマが進行していく。
生きていくために後戻りができないレイとライラの苦境と、それでも家族で幸せに暮らすというささやかな夢、母親である二人の間にいつしか生まれる友情にうたれる。
監督のコートニー・ハントは、タバコを密輸しているカナダ人の話を聞いて、この作品を構想したという。アメリカ・ニューヨーク州とカナダ・オンタリオ、ケベック州の国境に存在する川が映画の舞台となっており、モホーク族の保留地という特殊地帯の存在も含め、このような日常があり得る現実にすっかり引き込まれてしまう。そしてレイ役のメリッサ・レオの迫力のある熱演は本当にすごい。『21グラム』でベニチオ・デル・トロふんする犯罪者の妻役を演じたメリッサは、本作品で2009年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。2008年のサンダンス映画祭グランプリ受賞。
『フローズン・リバー』は、2010年1月30日よりシネマライズ(東京)他にて、全国順次ロードショー予定。
▼作品情報
アメリカ/2008/97分
監督: コートニー・ハント 出演:メリッサ・レオ(『21グラム』』、『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』)、ミスティ・アップハムほか
原題: Frozen River
公式サイト
文:ホウキョウ チアキ
改行
- 2010年01月06日更新
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