【インタビュー】『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』でスクリーンデビュー! 俳優・日穏(KANON / STARGLOW)が語る夢と成長の実感

  • 2025年10月11日更新

木村聡志監督(『違う惑星の変な恋人』)が描くのは、ユーモラスでほろ苦い10代の青春群像劇。映画『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』は、風変わりな高校生・代々木ジョニーと、ミスマガジン2023受賞者が扮する6人のヒロインたち(今森茉耶、松田実桜、西尾希美、一ノ瀬瑠菜、加藤綾乃、吉井しえる)が織りなす“厄介系青春物語”だ。

主人公ジョニーを演じるのは、SKY-HI率いるBMSGから誕生した新星ボーイズグループ「STARGLOW」のKANON。本作では俳優“日穏”としてスクリーンデビューを果たした。そんな日穏が幼い頃から抱き続けた俳優への思い、そして未来に描く大きな夢を語ってもらった。

取材・撮影:富田旻
ヘアメイク:津谷成花/Seika Tsutani(MASTER LIGHTS)
スタイリスト:Yuki Tsuchida


SKY-HI氏から突然の『おめでとう』—— 映画主演決定の瞬間と、夢見続けた俳優への道

― 約1年前に、本作の主演決定をSKY-HIさんに告げられる瞬間を捉えた動画*が、YouTubeやSNSにアップされましたよね。それから、映画の公開を心待ちにしていたファンの方も大勢いらっしゃると思います。あらためて、主演決定を告げられた時の心境を教えてください
*YouTube /BMSG TRAINEE Official「KANON主演決定㊗️社長から発表された瞬間の様子をお届けします」)

日穏さん(以下、日穏):日髙さん(SKY-HI氏)のライブの日だったのですが、始まる直前に日髙さんから突然「おめでとう!」って言われて。何のことかわからなかったですし、主演と聞いても『映画の主演? 初作品なのに? 自分でいいの?』みたいな気持ちで信じられなくて。でも、アーティスト活動をやりながら俳優のお仕事もやりたいということは、以前からマネージャーさんたちにも言っていて、ずっと夢見ていたことだったので、すごく高揚しました。

― 不毛な会話の応酬の中に、突然核心をつく言葉が出てきてドキっとさせられたり、独特な会話劇で織りなす人間模様が木村聡志監督作品の魅力です。作品の空気感と代々木ジョニーのキャラクターに、日穏さんが絶妙にハマっている印象でした。セリフも表情もすごく自然で、映画初出演とはとても思えませんでしたが、ジョニー役を演じるにあたって、どんなことを意識されましたか?

日穏:脚本を読んだ時点で、ジョニーはあまり感情が表に出るタイプじゃないなというのは思ったんですけど、実際は現場で動きながら少しずつ役を掴んでいったという感じです。実は木村監督に対してジョニーっぽいなと思うところがあって、現場で監督の雰囲気を観察していました(笑)。

― 会話劇かつ主演ということもあり、セリフ量も多かったと思いますが、当時BMSGのトレーニーとしても忙しく活躍しながら、どのようにセリフを覚えたのですか。

日穏:初めての映像作品だったので「なるほど、映画主演ってこれくらいのセリフ量なんだ」と思っていました。台本を読むことに関しては、劇団に入っていたこともあって、自分の中のやり方が染み付いていたので、そんなに苦労ではなかったです。

― どのようなやり方か教えてください。

日穏:最初はひたすら脚本を通して読んで、次に覚えたところを手で隠しながら読んでいって、それを3、4回やるとだいたい頭に入ります。

気がつくと盛り上げている!? ——共演者たちとの絆でつくり上げた芝居の空気感

― 1対1の会話シーンが多いことも木村監督作品の特徴ですが、今作で日穏さんはジョニーとして6人のヒロインはじめ、たくさんの共演者の方と1対1の場面を演じられました。それぞれの方とお芝居の空気を作りあげるうえで、意識されたことはありますか

日穏:やはり1対1の場面をやるからには、一人ひとりの方と仲良くならないといけないなという気持ちはあったので、撮影前になるべくコミュニケーションをとるようには意識しました。もともと人見知りするタイプでもないので、すぐ皆さんと仲良くなって、そういうところからちょっとずつ空気感も定まっていったのかなと思います。

― 撮影前に皆さんで交流を持つ機会があったのですね。

日穏:特に交流の機会があったというわけではないですが、現場までの移動とかでみんなで話して、すごく仲良くなりました。日常の出来事とか、最近食べた美味しい物とか他愛のない話をしたり、1日の撮影が終わって夜遅くに解散場所に向かう高速道路の中でゲームをしたり、そういう時間がとても楽しかったですね。

― なんだか、青春ですね。「STARGLOW」が誕生したオーディションの『THE LAST PIECE』の舞台裏やVlogでも、全力でふざけていた姿が印象に残っています(笑)。結構盛り上げるタイプなんですね。

日穏:盛り上げようっていう気持ちは特にないんですけど……勝手に体が動いて盛り上げていることはよくありますね(笑)。

― 最高です(笑)!

コメディドラマ『コドモ警察』から始まった俳優の夢。そしてジョニーとの共通点

― ジョニーと日穏さんの共通点はありますか。

日穏:ジョニーほどではないですけど、人が冗談で言ったことも「マジですか!?」みたいな感じで真っすぐ受け止めてしまうところがあります。事務所の先輩アーティストであるBE:FIRSTのLEO くんとかコア(Novel Core)くんが、嘘か本当か分かんないみたいな冗談をたまに言うんですけど、そのたびに本気にしちゃうんですよ。

― そんなところも、日穏さんの魅力だと思います。ジョニーは子どもと大人の境界線にいて、自ら大人の世界に踏み込もうとせずうろうろしているモラトリアムなキャラクターですよね。でも、日穏さんご自身はずっと何か目標に向かって走ってらっしゃる方なのかなという印象があります。ここは日穏さんとジョニーの大きく違う部分なのでは?

日穏:確かに子どもの頃から、ずっと何かしらの目標があって人生を過ごしてきたので、ジョニーみたいに迷ったりする時期はあまりなかったですね。幼稚園の時から俳優になるという目標もありましたし、アーティストになろうって決めた時からその道にずっと進んできたので。でも、年齢的に周りにいる友達や自分の兄がジョニーのように悩む姿も見ていたので、その悩みや迷いみたいなものも自分の中で理解はできるんです。

― 俳優になりたいと思ったきっかけはなんだったのですか。

日穏:子どもの頃、朝起きてから録画していたドラマを観るのが趣味で、その中にたまたま録画されていた『コドモ警察』(2012)というドラマがあって、幼稚園の時にすごくハマって。

― 懐かしい! 福田雄一監督作品ですよね。めちゃくちゃコメディですね。

日穏:そうです! 福田雄一監督。コメディ作品が始まりなんです。僕もこういうテレビの中に入りたいと思って、そこから俳優になりたいという意志が固まりました。

― そこからすぐ劇団に入られたのですか。

日穏:劇団に入ったのは小学6年生で、それまではただの悪ガキみたいな小学生でした。幼稚園の時から俳優になりたいとは言っていましたけど、「役者になるなら、いろんな経験を積んで、いろんな人の気持ちがわかるようになってからのほうがいい」という母の考えで、6年生になるまでは劇団には入らずに、たくさん習い事をさせてもらいました。

― そういえば本作では、ジョニーの父親はアメリカ人という裏(?)設定があったそうですね。劇中に英語のセリフはなかったですけど、日穏さんは英語が堪能なこともファンの間では有名です。英語はどこで学ばれたのですか。

日穏:インターナショナルスクールの幼稚園に通っていました。幼稚園だけなので、かなり忘れてしまってはいますけど、今も日常会話程度なら、という感じです。それから特に勉強はしていませんが、洋画は英語で観るとか、忘れないように少しずつ意識はしていました。

― 今後、俳優やアーティストとしてグローバルな活躍をされる際に、英語は大きな力になりそうですね。多才な日穏さんですが、中学・高校では部活はやっていたのですか?

日穏:中学の時は劇団に入りながら、野球部に入っていました。高校では、1年生で今の事務所のオーディション(『MISSION×2』)を受けたので、その前に1学期だけ軽音部に入っていました。

『THE FIRST』に感化されて芽生えたアーティストへの憧れ

― もともと俳優志望で、いつからアーティスト志望に気持ちが移っていかれたのですか?

日穏:中3の時に『THE FIRST』*を観て、これはすごい事務所ができたなと思って。それまでアーティストになろうとは思っていなかったですし、ボーイズグループとかも正直あまり興味がなかったのですが、番組にものすごく感化されて。みんながキラキラして見えて、僕もなりたいなぁと思ったし、BMSGだったらもしかしたら自分も受け入れてくれるかもしれないと思ったんです。
*:BMSGによる最初のオーディション番組、BE:FIRSTなどを輩出)

― 本作やドラマ『ゲート・オン・ザ・ホライズン〜GOTH〜』(2025年/堤幸彦監督ほか)での主演経験を経て、俳優としての意識は変わりましたか。

日穏:演技をするということに対して、一瞬の意識とか動きとかが感覚としてわかってきた実感は少しずつ湧いています。演技がうまくなったかどうかは正直、自分ではわからないですけど、先日撮り終えた別の映画作品でも、自分の中でちょっとずつ成長している実感を持つことができました。

― 『THE LAST PIECE』のVlogでも、オーディションの合間に映画撮影をこなしている姿が映っていましたね。運命をかけるオーディションと映画撮影を同時に進行するのは大変な部分もあったのでは?

日穏:そうですね。1ヶ月のオーディション合宿が終わって、翌日からすぐ映画の衣装のフィッティングなどがあったので、「デビューしたら、こんなスケジュール感なんだ!」と思いました、でも、自分の中で切り替えはできていたので、ストレスとかは全然なかったです。

― 演技経験がアーティストとしてのパフォーマンスに役立っている部分はありますか。

日穏:昨日もボイトレの時に、「顔で歌えるようになったね」と褒めていただいたんです。昔は、歌いながら自然に表情をつけるのが課題で、あまり得意ではなかったんですけど、「本当にうまくなったよね」って言っていただいて。トレーニーとして練習を積んだことや、演技経験のおかげでやっとできてきたのかなと思えて、すごく嬉しかったです。

― 日々ものすごいスピードで成長されて、そこに実感や確信が伴っていく……本当に貴重で素晴らしい人生経験だと思います。アーティストのKANONさんがパフォーマンスしている時の目線や表情、歌声が醸し出す世界観は、そういったことが苦手だったとは思えないほど素敵で、いつも引き込まれます。

日穏:本当ですか? ありがとうございます!

夢は助演男優賞と、音楽で多くの人の心に寄り添うこと——星の輝きのような大きな夢に向かって

― 『THE LAST PIECE』のテーマが「夢を見づらい10代に、夢を見ることの尊さや叶え方、そして夢を持ち続ける生き様の美しさを伝え、背中を押すこと」というものでした。また、日穏さんご自身も過去のインタビューで「夢は口に出すことが大切」とおっしゃっていました。ぜひ、今後の俳優としての夢と、アーティストとしての夢、それも今描けるできる限り大きな夢をお聞かせいただけませんか。

日穏:俳優としての大きな夢は……助演男優賞をとれるような俳優になることです。もちろん主演には憧れますし、そういう機会をいただけたらすごくありがたいですが、「一番目立っているものからちょっと外れた、面白いやつ」みたいな役にすごく惹かれるんです。そういう役で賞をとれるような俳優になりたいです。

アーティストとしての夢は、できるだけたくさんの方に、自分たちにしかできない音楽を提示しながら、聴いてくださる人に寄り添って、メッセージを届けていきたいです。『THE LAST PIECE』のYouTubeのコメント欄で「正直、人生終わってもいいかなと思っていたけど、ラスピを見てすごく救われました」というコメントや、自分たちの姿を見て希望や元気を持ってくれたというコメントがあるのを見て、音楽を通してたくさんの方に手を差し伸べられるような存在になりたいと思っています。

― まさに星の輝きのような素敵な夢ですね! きっとこれからもたくさんの夢を叶えていかれるのだと思います。 最後になりますが、いま、毎日を楽しく過ごせていますか。

日穏:はい! 楽しいです!!

― 即答ですね! 今後の俳優そしてアーティストとしてのご活躍を楽しみにしております!

 

【Profile】日穏/KANON(かのん)
2006年4月3日・福岡県生まれ。SKY-HI率いるBMSG主催のオーディション『THE LAST PIECE』から誕生した新星ボーイズグループ「STARGLOW」のメンバーとして、Digital Single『Moonchaser』で2025年9月22日にプレデビュー。俳優としては、FODオリジナルドラマ『ゲート・オン・ザ・ホライズン〜GOTH〜』でBMSGのRUI、TAIKIとトリプル主演を務めた。本作が映画初出演にして初主演。

衣装:Top ¥62,700 by CMMN SWDN(コモンスウェーデン)、Pants ¥77,000 by Feng Chen Wang(フェン・チェン・ワン)
問い合わせ:KOH’S LICK CURRO
その他スタイリスト私物 

作 品 概 要

天然で生真面目な高校生・代々木ジョニーの奇妙で絶妙な青春事情!

【STORY】ちょっと天然で⽣真⾯⽬な⾼校⽣男⼦・代々⽊ジョニー(⽇穏)は、今カノ・熱⼦ちゃん(松⽥実桜)を怒らせてしまったり、スカッシュ部のクセ強メンバー・バタコさん(加藤綾乃)、神⽗さん(髙橋璃央)たちと部室で無駄話をしたり、引きこもり⽣活中の幼なじみ・神楽(⼀ノ瀬瑠菜)に会いに⾏ったり、マイペースな放課後を過ごしていた。しかし、スカッシュ部の熱⾎新⼈部員デコ(吉井しえる)の⼊部により突如スカッシュ部の活動が本格化したり、バイト先で出会った何やらワケあり⼥⼦の出雲さん(今森茉耶)と惹かれ合ったりするうちに、恋愛・友情・部活と少しずつジョニーの⽇常や周辺の事情が変化していく。そんな中、スカッシュ部の団体戦の⽇が近づいてきて……。

▼『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』
(2025/日本/108分)
監督・脚本・編集:木村聡志
出演:日穏、今森茉耶、松田実桜、西尾希美、一ノ瀬瑠菜、加藤綾乃、吉井しえる、高橋璃央、瑚々、根矢涼香、平井亜門、綱啓永、中島歩、前田旺志郎、安藤聖、マキタスポーツ
主題歌:カネヨリマサル「君の恋人になれますように」(Getting Better/Victor Entertainment)
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©2025「代々⽊ジョニーの憂鬱な放課後」製作委員会
『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』公式サイト

※2025年10月24日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

 

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