『スーパークレイジー極悪列伝』― “最狂&最凶”の90年代香港バイオレンスムービーを特集上映!
- 2015年08月01日更新
猛暑続きの夏は、涼しい映画館で過ごすのがオススメ! さらにヒンヤリしたいなら、身の毛もよだつカオスな世界を覗いてみるのはいかがだろうか。
8月1日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷にて開催中の『スーパークレイジー極悪列伝』では、香港映画界の鬼才ハーマン・ヤウ監督と怪優アンソニー・ウォンが90年代にタッグを組んだ幻のカルトムービー3作を上映する。
1997年の中国への返還を目前に、誰もが不安を募らせていた90年代の香港。混沌とした時代の空気に呼応するように、映画界では過度な暴力やエロスを前面に打ち出した【Ⅲ級片(成人映画)】ブームが巻き起こる。中でも、ハーマン・ヤウ監督がアンソニー・ウォンを主演に撮りあげた作品群は、ぶっちぎりの狂気と破壊力で世界中の映画ファンや映画作家たちを魅了。日本でも三池崇史監督や園子温監督らに多大な影響を与えたという。
そんな最狂で最凶な監督と俳優による傑作を集めたのが今回の特集上映。3作品とも広東語音声に日本語字幕を付け直した〈新字幕バージョン〉でお届けする。あまりの問題作ゆえ、これまで一部の映画ファンしか観る機会の無かった作品や日本初公開となる作品など、文字通り“スーパークレイジー”なラインアップ。この機会にぜひご鑑賞あれ!
観て後悔するか、観ずに後悔するか!? スーパークレイジーな3作品の貴重な劇場上映!
『八仙飯店之人肉饅頭』
劇場初公開! 実際の猟奇殺人事件をモデルに描いた“キング・オブ・III級片”
(1993年/香港/96分)
原題:八仙飯店之人肉叉焼包
監督:ハーマン・ヤウ
出演:アンソニー・ウォン、ダニー・リー、エミリー・クワン、シン・フイオンほか
©Golden Sun Film
【ストーリー】1986年。マカオの海岸で腐敗の進んだバラバラ死体が発見される。身元を判明させた警察は、八仙飯店を営むウォンの身柄を拘束。犯行を否認するウォンを非道な尋問で追い込んでいく。ついに、ウォンは、元の雇い主であったチェン一家を子どももろとも惨殺したと自供。さらには、店を乗っ取っていただけでなく、死体を切り刻んで饅頭の具にして客に食わせていたという、地獄のような供述をはじめる……。
◆トラウマ度 100パーセント! 過激なスプラッター&カニバリズム描写で93年の本国での公開以来、各地で話題をさらった伝説のカルト作品。マカオで実際に起こった猟奇殺人事件をモデルに描いたというから恐怖も倍増だ。日本でも過去に映画祭で数回上映されたものの、内容が内容なだけに今回が初の劇場公開となる。アンソニー・ウォンは本作で第13回香港電影金像奨の最優秀主演男優賞を受賞。演技派俳優としての地位を確立するも、彼自身はこの作品が大嫌いらしい。言わずもがなだが、食前の鑑賞は絶対にオススメしない。
『エボラ・シンドローム~悪魔の殺人ウイルス~』
どこまでも下衆な主人公が巻き起こす、恐怖のパニック・ホラー!
(1996年/香港/98分)
原題:伊波拉病毒
監督:ハーマン・ヤウ
出演:アンソニー・ウォン、ロー・マン、ビンセント・ワン、シン・フイオンほか
©Golden Harvest
【ストーリー】カイはサエないチンピラ。ある日、ボスの女房との情事がバレて殺されそうになるが、逆にボス夫婦を殺してアフリカへと逃亡。十数年後、アフリカの中華料理店で働くカイは、肉の仕入れでサバンナの奥地の村を訪れる。その村はエボラ出血熱に侵されていたが、そのことを知らずにカイは現地の女性をレイプ。しかし、彼は一千万人に一人のエボラウイルス耐性を持っていた! 歩く病原体となったカイは、香港へ戻り人々を恐怖へと陥れていく……。
◆18年振りのリバイバル上映となる本作は、昨今、世界の話題となっているエボラ出血熱を扱ったパニック・ホラー。今回の上映作品の中では最も悪ノリ度が高く、ロン毛のアンソニー・ウォン演じる主人公・カイの突き抜けた下衆っぷりに、思わず笑ってしまうシーンも多い。ただし、こちらも食欲減退効果は高め。本作では、殺した人間をハンバーガーに変えてしまう。
『タクシーハンター』
日本初公開! 妻を殺された男が悪徳タクシー運転手に狂気の制裁!
(1993年/香港/89分)
原題:的士判官
監督:ハーマン・ヤウ
出演:アンソニー・ウォン、ユー・ロングァン、ン・マンタ、アテナ・チュウほか
© Media Asia Group
【ストーリー】保険会社のエリート社員であるキンは、仕事にも家庭にも恵まれ満ち足りた日々を送っていた。しかし、妊娠中の妻がタクシーに引きずられて死んでしまう。失意の底でタクシー運転手への憎悪をたぎらせたキンは、ある日、悪態をつく運転手を殺し、後悔と同時に妙な達成感を覚える。それをきっかけに、香港中に蔓延る悪質なタクシー運転手に対し復讐をはじめるが……。
◆日本初公開作品。今回上映される3作品の中ではトラウマ度は一番低めと言える。もちろん、恐怖を感じるポイントは人それぞれだが、少なくとも殺した相手を料理にはしない。上記2作品では主人公の異常性は理解し難いものだったが、本作では愛する者を奪われた主人公・キンの不条理感や悪質なタクシー運転手への怒りに少なからず共感してしまう。それだけに、まじめなサラリーマンが復讐のダークヒーローと化していく様子は、常人の中に潜む狂気を見るようで胸がザワつく。『八仙飯店〜』同様に、ちょいちょい差し込まれる刑事たちのコミカルなやりとりも当時の香港映画独特のチープな雰囲気を醸し出していてたまらない。イケメンと美女キャラも登場、親子愛にぐっとくる場面もあり、エンタメ要素もてんこ盛り。製作当時の香港で蔓延していた悪徳タクシーを風刺した社会派作品でもあり、同じく93年に製作されたハリウッド映画『フォーリング・ダウン』の香港版として一部マニアの間で注目を浴びた作品でもある。
▼『スーパークレイジー極悪列伝』開催情報
開催期間:8月1日(土)~8月28日(金)
場所:ヒューマントラストシネマ渋谷
配給・宣伝:ユナイテッドエンタテインメント
※上映スケジュール・料金・その他の詳細は公式サイトをご覧ください
『スーパークレイジー極悪列伝』公式サイト
文:min
- 2015年08月01日更新
トラックバックURL:https://mini-theater.com/2015/08/01/90/trackback/