『ハウンター』-時間のループに閉じ込められた少女の恐怖
- 2014年02月19日更新
16歳の誕生日の前日が、延々と繰り返される。そんな悪夢のような事実に自分以外の家族は気づいていない。閉塞感と孤独感、浮遊感が混在した、何とも摩訶不思議な感覚が体を包む。『CUBE キューブ』の鬼才ヴィンチェンゾ・ナタリ監督が、またしても独得な世界観を持つサスペンス映画を送り出した! 「未体験ゾーンの映画たち2014」にて2014年2月19日(水)より公開。
異様ループな世界に陥った少女
毎朝、トランシーバーから響く弟のモーニングコール、母の小言も食事のメニューもいつも同じ。いつのころからか、リサは“自分が16歳の誕生日の前日を繰り返し過ごしていること”に感づいていた。しかし、家族がそれに気づいている気配はない。外は霧が深く、外出することもできない。家の中を調べると、どうやら彼女以外に少女がもうひとり住んでいるらしい。そして、ある驚愕の事実を知る。
息が詰まるような閉塞感
リサを襲うのは、奇妙な事実を自分しか認識していないという孤独と、家から出られない息苦しさ。本作には、『CUBE キューブ』で描かれた“空間の閉鎖性”に、“閉ざされた時間”という要素が加味されており、なおさら閉塞感は大きい。その絶望的な不安にこちらまで押しつぶされそうになる。
謎解きの先に待っていたものは?
やがて、同じだったはずの日々は少しずつ変わっていく。だが、その先にあるのは、家にまつわる忌まわしい出来事とリサ自身の悲劇だ。彼女は状況を打ち破るために、その事実と果敢に向き合う。リサを演じるのはミドルティーンになった『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリン。戸惑いと恐怖、悲しみに身を置きながらも、得体の知れない存在に立ち向かう表情は凛々しい。
“もうひとりの少女”オリヴィアに会い、徐々に謎は解かれていくものの、ラスト近くになるまで鬱々とした雰囲気が続いていく。家に閉じ込められたリサが辿る運命の結末は、その目で確かめるしかない。
▼『ハウンター』作品・公開情報
2013年/カナダ=フランス/97分/ドルビーデジタル/Blu-ray上映
原題:HAUNTER
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
脚本・ブライアン・キング
出演:アビゲイル・ブレスリン、スティーヴン・マクハティ、ミシェル・ノルデン
配給:クロックワークス
「未体験ゾーンの映画たち2014」にて 2014年2月19日(水)より公開
(C) 2012 HAUNTER (COPPERHEART) PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED
文:吉永くま
- 2014年02月19日更新
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