第23回東京学生映画祭授賞式―グランプリは東京造形大学女性監督に
- 2011年06月03日更新
中村義洋監督、青山真治監督など多くの映画人を輩出してきた、学生映画の登竜門、第23回東京学生映画祭が5月27~29日 に開催された。今回はゲスト審査員に大森立嗣監督、田口トモロヲ監督、林家しん平監督を迎え、41団体106作品の内から厳正なる審査、観客投票を経て、各賞を決定。受賞者の喜びの声をレポートします。
<東京学生映画祭授賞式レポート>
各賞は以下の通り。
グランプリ&観客賞:『デリバリーファッションヘルス』
東京造形大学映画研究会 監督:古地良子
準グランプリ:『短編映像作品「死神」』
東京芸術大学「死神」制作委員会 監督:山口直哉
役者賞 :山田拓実さん『うそのなみだ』
グランプリ&観客賞:古地良子監督
まさかグランプリをもらえると思っていなかったので、言葉が出ません。すごくうれしいです。コンプレックスや嫌なことをこねくり回して作品にして賞をもらったり、人に観てもらえることで映画を撮ることの意味が見えた気がします。観てくれた方、手伝ってくれたスタッフの方、出演してくださった方、本当に感謝しています。ありがとうございました。
講評(大森立嗣監督):
人間を描こうとしている姿勢が好きでした。コンプレックスは皆なあるんですけれど、コンプレックスをどうやって見せものにしていくのかというのは難しい。監督はそれが出来ていたと思います。
準グランプリ:山口直哉監督
とてもありがたいです。スタッフの方には感謝しきれません。勝手に言いだして勝手に思いついて、勝手に振りまわしている感じでそれでも最後まで楽しそうにやってくれていてうれしかったです。感無量で言うこと考えてなかったのでなにも言えないんですけれど、ただただありがとうございます。これからも作っていくのでよろしくお願いいたします。
講評(田口トモロヲ監督):
本当にすばらしくて、コメントにも書いたのですが、世界観が明確で今の環境の中で出来る限りのことを映像的に出して撮っていました。そのクオリティと志の高さを評価しました。
役者賞:山田拓実さん
途中からきた僕がこのような賞をいただいてよろしいのでしょうか?頂いたからには全力で取り組みます。『うそのなみだ』に出て本当に良かった。ありがとうございました
古地良子監督インタビュー
「 出せるだけのことを全部出してやろうと思いました」
-『デリバリーファッションヘルス』はどのようにして生まれたのでしょうか?
古地監督:私には危害を加えてくる吉田君みたいな人がいたんです。復讐じゃないけどあいつをどうにかしてやりたい、これだけ嫌な思いをしたんだから、元をとってやらないとすんだもんじゃない。このモヤモヤを映画を撮って、最後にしたくて、出せるだけのことを全部出してやろうと思いました。ものが書けない自分は小説家のキャラクター、ちょっと乙女の部分を童貞の男の子に重ねたり。それぞれのキャラクターの中に少しずつ自分が反映されています。誰かに観て、共有してもらって嫌だったことが意味のあるものになりました。
-講評でもありましたが、コンプレックスを描く面白さが秀逸な作品です。
古地監督:誰に向けての映画ではなくて、私が私のコンプレックスとケリを付けるための映画。その作品に観客賞をいただけたりするのはありがたすぎます。ある写真家さんの「コンプレックスはいつか身になる」という言葉を聞いてその言葉が自分に返ってきたような感じがしてよかったなと思いました。
-次回作についてお聞かせください。
古地監督:卒業制作になるので、学生として最後の作品として自分をむき出せていけたらと。むき出すことが目標です。
グランプリ受賞作品『デリバリーファッションヘルス』は7月9日、第23回東京学生映画祭にて上映されます。
▼第23回東京学生映画祭情報
日時:2011年7月9日(土)24:00〜29:00(予定)
場所:新宿バルト9
※ 詳細は後日東京学生映画祭公式サイトで発表予定です
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取材・編集・文:白玉 スチール撮影:東京学生映画祭(授賞式) 荒木理臣(古地監督インタビュー)
- 2011年06月03日更新
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