園子温監督、内田伸輝監督、想田和弘監督の新作に注目!―第11回 東京フィルメックス ラインアップ記者会見
- 2010年10月02日更新
「どこの映画祭で、どの作品を観ようか」と、映画祭の開催ラッシュで、予定の調整が嬉しくも大変な秋がやってきました。11月の大本命は、もちろん、東京フィルメックス。今年で第11回を迎えるこの映画祭は、2010年11月20日(土)~28日(日)に、有楽町朝日ホールほかにて開催されます。
開催に先だって、2010年9月16日(木)に京橋の映画美学校にて、ラインアップ発表の記者会見がおこなわれました。東京フィルメックスの顔である林加奈子ディレクターと市山尚三プログラム・ディレクターに加えて、今年の審査員のひとりである脚本家の白鳥あかねさんが登場。そして、特別招待作品『冷たい熱帯魚』の園子温監督、コンペティション作品『ふゆの獣』の内田伸輝監督、同じく『Peace』の想田和弘監督が、ゲストとして駆けつけました。上の写真、左から、内田監督、市山プログラム・ディレクター、園監督、想田監督、林ディレクター、白鳥さんです。
ラインアップの詳細は、東京フィルメックスの公式サイトでじっくりご確認いただくとして、この記事では、ゲストとして来場した3監督の作品を、林ディクレターと市山プログラム・ディレクターの言葉、そして、会見での各監督のコメントを引用して、ご紹介致します。
▼『冷たい熱帯魚』 日本/2010年/146分 英題:”Cold Fish” 監督:園子温 出演:吹越満 でんでん 黒沢あすか 他 ●『冷たい熱帯魚』公式サイト ※特別招待作品 |
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既に、第67回ヴェネチア国際映画祭と第35回トロント映画祭で上映されて話題の『冷たい熱帯魚』。「ストーリー紹介といった情報をなるべく頭にいれないで、観ていただきたい作品です。驚きます」と、市山プログラム・ディレクター。その言葉を尊重して、あらすじは書きません。園監督の新作、どうぞご期待ください。
園子温監督 (ヴェネチア、トロントでの上映を終えて)自分の身近でしかまだわかりませんが、非常に反響はあったと思います。
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▼『ふゆの獣』 日本/2010年/92分 英題:”Love Addiction” 監督:内田伸輝 ※コンペティション |
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第23回PFFアワード2003で審査員特別賞を受賞して以降、国内のみならず海外からも高い評価と注目を集めている内田監督。『ふゆの獣』は、長編第3作目となります。
同じ職場で働く4人の男女の激しい恋情を描いた本作。「4人のキャラクターの感情をどんどんつきつめていく、力強い作品。激昂の感情がぶつかる音が聞こえたような気がしました」と林ディレクターは語ります。
内田伸輝監督 (これまでの作品と)作風は変えていません。ただ、前回の作品は数年がかりで作ったのですが、今回は2ヶ月で撮影し終えるという形をとりました。実はまだ編集の途中なので、フィルメックスの開幕までには、必ず完成させます(笑)。
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▼『Peace』 日本・アメリカ/2010年/75分 英題:”Peace” 監督:想田和弘 ※コンペティション |
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『選挙』、『精神』の想田監督が手がける、観察映画の第3弾となる『Peace』。2010年9月に開催された第2回DMZ(=非武装地帯)韓国・国際ドキュメンタリー映画祭で、ワールド・プレミアがおこなわれたばかりです。
福祉車両の運転をおこなっている柏木寿夫氏と、ヘルパーを派遣するNPOを運営しているその妻・廣子さんの姿を映しています。柏木夫妻は、想田監督の奥様のご両親です。
「(メッセージを)声高に叫んだり、押しつけたり、アピールしたりということをしていない作品です。だからこそ、より深く心に沁みます。『選挙』や『精神』での被写体との距離感とはまた違って、これまでよりも近いと言えるかもしれません。撮影の距離感が、とてもユニークです」と、林ディレクターは語ります。
想田和弘監督 第2回DMZ韓国・国際ドキュメンタリー映画祭では、オープニング作品として上映される予定で、出演した義父が来てくれたこともあり、僕もとてもはりきっていました。韓国と北朝鮮を結ぶ橋のたもとで野外上映をする予定だったのですが、当日、豪雨に見舞われてしまったんです。現地のスタッフは気合いがはいっていて、豪雨をもろともせずに強行しようとしてくれましたが、さすがに屋外で映画を観られる状態ではない、ということでキャンセルになり、義父は(予定的に)そのまま日本に帰らなくてはならなかったので、非常に残念でした。でも、そのあと、室内で上映した際にはうまく進んだので、よかったです。
▼第11回 東京フィルメックス 開催情報
期間:2010年11月20日(土)~28日(日)
場所:有楽町朝日ホール 他
●東京フィルメックス 公式サイト
※上映スケジュール、チケット購入方法等の詳細は、上記の公式サイトをご参照ください。
取材・編集・文:香ん乃 スチール撮影:荒木理臣
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